いま、1型糖尿病は/内潟 安子 先生

2025年05月19日

小児ヤングの皆さんへ、JADEC(日本糖尿病協会)のサポート

  長らくご無沙汰しました。13年ぶりに戻ってきました。大学業務や病院業務でキリキリ舞いの年月でしたが、JADEC(日本糖尿病協会)の活動は委員の皆さん(医師、看護師、お仕事に従事している患者さん、メーカーの方々)と引き続き行っておりました。全国の小児、ヤングの皆さんの顔を思い浮かべながら、「こんなことができることになったらいいだろうな」という案件を持ち寄り、委員会で申請書を作り上げ、JADECの各会議体の理解と承認を得て進めてきました。
 いくつかご紹介したいと思います。これはすべて、JADECの月刊誌「さかえ」にその都度紹介されたことですが、わかりやすく、もう一度書きたいと思います。くわしくはJADECのHPをご覧ください。

『インスリンメンター』のお兄さんお姉さん

 JADEC主催の小児キャンプで、『インスリンメンター』のお兄さんやお姉さんに会ったことがあるぞという皆さんがおられるかと思います。各地の小児キャンプや関連集会で、講演をしたりキャンパーやご家族と膝をつきあわせてお話しできる1型のお兄さんお姉さんたちです。インスリンメンター制度はJADECが2015年に立ち上げた制度で、認定したインスリンメンターは現在11人。平生は社会人として各方面で活躍していますが、小児キャンプや各地の集会ではリーダーとして活躍してきた経験を持っています。今年も、メンターのお兄さんお姉さんに各地の小児キャンプに出向してもらう予定です。こんなときはどうしたらいいんだろう?という悩みや、不安に思っていることなどをしっかり聞いてくれるでしょう。

保育園、幼稚園、学校の先生方との勉強会

 2つめは『キッズプロジェクト』です。これは、保育園、幼稚園、学校の先生方からJADECにご依頼をいただいて実施する「医師とインスリンメンターによるダイアベティス教室」で、専門医とインスリンメンターがご依頼のあった保育園、幼稚園、学校に出向いてお話しします。インスリンのことがわからない先生方のご不安を少しでも取り除くことができたらという目的で、2017年から実施しています(対面もオンラインもあり)。

小児科から内科への移行期サポート

 さて、若い患者さんが小児科医から内科医に診療を移行する時期は、大学や専門学校への入学や就職などで親元を離れる時期と重なることが多いのが現状です。主治医の小児科の先生にとって、土地勘もないところの医療機関の内科のどの先生に紹介したらいいのか、情報がなかなか入りにくいことが多々あります。こんなときは、JADECのHPに掲載の『移行期医療コーディネーター制度』をご利用ください。その地域で診療にあたってくれる1型糖尿病に精通した専門内科医を探し、仲介します。仲介をしてくれる糖尿病内科医師を『移行期コーディネーター』としてお願いしております(関連学会の協力を得て)。かかりつけの小児科の先生にぜひ利用してもらいたいです。

園・学校の先生が『グルカゴン点鼻薬』を投与

 最後に、学校での『グルカゴン点鼻薬』の投与についてお伝えします。重症低血糖時の救急処置として使用されるグルカゴン点鼻薬の投与は、本人のほか、医療従事者と家族にのみ認められていましたが、2024年1月に、かねてよりJADECが要望していた園・学校の先生によるグルカゴン点鼻薬の投与が文科省、厚労省の認可を得ました。学校の先生向けのマニュアルも作成され、関連学会の承認を得て、JADECのHPに掲載されています。

 どうぞ、上記のことが必要になったとき、JADECのHPをご覧いただき、ご利用ください。

参考サイト

[ DM-NET ]



プロフィール

内潟安子先生 写真

内潟 安子
YASUKO UCHIGATA
東京女子医科大学名誉教授

1977年金沢大学医学部卒業
金沢大学医学部大学院卒業
富山医科薬科大学医学部 第1生化学に国内留学
米国国立衛生研究所(NIDR)に海外留学
東京女子医科大学 内科学第三講座主任教授 糖尿病センター長、
東京女子医科大学東医療センター 病院長、
東京女子医科大学附属足立医療センター 病院長を歴任

※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。

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