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2015年ベトナム初の糖尿病キャンプに参加して(IFLレポート)

 2015年6月26日から28日にかけて、ベトナム国内で初めての糖尿病キャンプが開催されました。参加したインスリン・フォー・ライフ(IFL)のスタッフであるタリー・ラーブさんより、レポートが届きましたので、ご紹介します。

 国際糖尿病支援基金はこの活動に賛同し、インスリン・フォー・ライフ(IFL)を支援しています。



2015年ベトナム初の糖尿病キャンプに参加して(IFLレポート)




Insulin for Life(IFL)オーストラリア
Talia Raab
タリー・ラーブ氏(写真左)




開催期間:
 2015年6月26日から28日
開催場所:
 ベトナム社会主義共和国 プー・ソー州サーン・スイ区エメラルドアイランド
参加スタッフ:
 IFLオーストラリア&グローバル:ロン・ラーブ、ニール・ドナラン、タリー・ラーブ、
    リズ・ラーブ
 台湾:シャロン・チェン(台湾エデュケーター協会)、
    デービッド・フアン(1型糖尿病患者のブロガー)
 日本:森田繰織(国際糖尿病支援基金会長)
 カンボジア:タッチ・クーン(医師)

■キャンプ開催地
 開催地である「 プー・ソー州サーン・スイ区エメラルドアイランド」は、首都ハノイからバスで数時間のところにあり、キャンプ地としては最適の場所でした。参加者は広々とした静かな場所で、1日数回にわたり医療従事者による講義、教育的な活動、血糖値測定を受け、食事を楽しみました。施設内にはプールやゲーム設備もあり、近くには遊園地もありました。

 キャンプ開催中の講義やレクレーションは、施設の1階にあたる床下駐車場において行われました。連日35度を超える暑さであったため、床下駐車場は日陰で強い日差しから逃れられ、幾分涼しさを感じました。しかし、次回以降は、扇風機がある涼しいダイニングホールにて実施することも課題の一つだと思います。それによって、主に小児糖尿病の患者さんが暑さで体力が消耗してしまう危険性を下げることもできるように思います。


今回のベトナム糖尿病キャンプの目的

(1)経済的に恵まれない状況下にある1型糖尿病の患者さんたちが、 得ることのできる利益の追及していくことを主たる目的とする。
  • ・他の1型糖尿病の子供たちと知り合い、友人となることで孤立感や孤独感を和らげる(孤独感や孤立感は、多くの1型糖尿病の子供たちが最初に経験することである)。
  • ・1型糖尿病の血糖コントロールについて、正確に血糖値を測定することや、インスリンの自己注射、1型糖尿病によって引き起こされる低血糖などの症状、運動などを学ぶこと。
  • ・このキャンプを十分に楽しむこと。
(2)国際連携の目的
  • ・ベトナムでの糖尿病キャンプが成功するために、必須事項を「IFLネットワーク」が主導する形で、アジア地域の糖尿病関係者、キャンプ主催者、医療従事者が連携し、効率的なコミュニケーションを得られる場を提供する。
  • ・過去に「IFLオーストラリア&グローバル」が主導で開催した、フィリピンやエクアドルでの糖尿病キャンプの事例を活かし、将来的にはIFLや他国の支援なしで、ベトナム側がキャンプの運営を自主的に年に一度、または定期的に運営できるようにすること。IFLは「コンサルタント」という立場で関わっていくこと。
(3)糖尿病治療機材・薬剤の提供
  • ・IFLオーストラリア&グローバルは、インスリンを始め治療に必要な機材をキャンプ参加者である子供たちに提供する。これには、キャンプ期間中に必要な全ての薬剤・機材が含まれ、医療従事者による日々の血糖測定に使用されるものも含まれる。


 このキャンプで参加者たちが絆を深めるために、患者さんやその家族に実用的なアドバイスをし、共同体としての意識や、精神面での安心に貢献することは、患者さん自身が精神面で豊かになることや自尊心、そして糖尿病をどの様に捉え、健康管理をしていくかに発展していく可能性があります。
 過去のフィリピンやエクアドルでの糖尿病キャンプにおいては、1型糖尿病と診断された子供たちが高い頻度で経験するイジメ、差別、仲間外れといった重要な見識を、同じ病気を持つ患者やその家族、医療従事者が触れ合うことで、共有する機会を得ました。


■糖尿病についての学習
 このキャンプに参加することで、1型糖尿病患者とその家族が、1型糖尿病をもつ外国人参加者、あるいは糖尿病関連の医療従事者から専門的な知識を提供されたり、実用的なアドバイスを得ることができます。

 また、患者さんや家族が1型糖尿病からくる合併症の不安のため、将来のライフステージにおける不確実さ(例として、学業、就職、結婚や子供を持つといったこと)に不安を隠せずにいることがあり、これらの心配事に取り組むことは、長期的、または一時的な取組であっても、外国人参加者等のアドバイスにより、安心感を得られることにつながる可能性があります。




ベトナムの糖尿病患者さんと、2015年糖尿病キャンプの様子が紹介されています。

■参加した感想
 キャンプ主催者と医師たちは、この上なく前向きなものでありました。ベトナム側スタッフのビン医師の提案のもと、最終日にディスカッションがハノイのセン・レストランにて開かれました。出席者は、主催者側スタッフ、IFLと外国人参加者が出席しました。ベトナム側からは、外国人参加者に対する感謝の気持ちが伝えられたと同時に、キャンプを実施できたことに対する自信や誇りを見せていました。1年前には構想だけはあったものの実現することができなかったのです。2014年5月にフィリピンで開かれた初の糖尿病キャンプに、ベトナムからはタン医師とサム医師が参加し、ここで糖尿病キャンプについてのノウハウを学びました。


■ご協力頂いた支援者、スポンサー、団体
 外国人参加者から1人150米ドルの資金が提供されました。
この資金は、初のキャンプ開催に当たって必要かつ有益なものであった一方、キャンプの資金調達やスポンサーが得られる可能性を考慮することが必要でした。参加者が参加費用を寄付する形が望ましいのですが、最終目的が自主運営であることを考えると、外国人参加者からの寄付に頼るべきではないのです。このことは、今後の課題の一つでもあると思います。




2015年ベトナムの糖尿病キャンプ

■スポンサー企業の参加
 韓国の食品会社「メディフード」より、将来的にこのキャンプに参加していきたいという強い希望がありました。このことは、ベトナムにおける糖尿病キャンプの資金源として、更なる協力を求めるための選択肢の一つとなるでしょう。

 また、オーストラリア大使館、イスラエル大使館が、恵まれない状況下にある1型糖尿病の患者さんたちの状況改善に対し、関心を寄せました。ベトナム滞在中にメイラフ・シャハール 駐越イスラエル大使の公邸にて夕食会が開かれ、ヒュー・ボローマン オーストラリア大使も参加しました。

 両大使とも、キャンプ地を訪れ視察をしました。ベトナムで活動をしている両大使がこのキャンプに関わることで、今後の発展・成功につながることが期待されます。オーストラリアとイスラエル各大使館の連携は、IFLオーストラリア&グローバルを通じて既に行われています。さらに、大使館や大使が地元の医療従事者と共に、将来、ベトナムにおいて継続的にキャンプが遂行できるよう、基金を設立するなどして協力していくでしょう。

 ダナンに住むベトナム人女性、キム・アイン・ダン氏が、ベトナムの1型糖尿病患者の状況改善に非常に意欲的で、ニール・ドナラン氏と数回に渡って直接交渉してきました。キム・アイン氏は、IFLや外国人参加者に挨拶をするため、短時間ながらキャンプに参加しました。彼女の参加は、将来の発展に貢献するでしょう。


■謝意
 この糖尿病キャンプに対して、資金の一部を支援していただいた日本の国際糖尿病支援基金、及び糖尿病治療に必要な資材を提供していただいた、ネンチュン・ユ医師にこの上ない感謝の意を表します。

【English】
Insulin for Life Vietnum Report 2015/Talia Raab
http://www.dm-net.co.jp/idaf/ifl2015/english3.pdf


●関連サイト
森田会長の「わが友、糖尿病」ベトナム初の糖尿病キャンプに参加して(国際糖尿病支援基金レポート)
インスリン・フォー・ライフ(IFL)(オーストラリア)
糖尿病アジアネットワーク「ベトナムの糖尿病事情」
国際糖尿病支援基金

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2015年10月
国際糖尿病支援基金
  • これまでに寄せられた寄付金
    1,956万265円 
  • これまでに実行した支援金
    1,941万7,033円 

(2024年03月現在)

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