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運動療法の効果判定とフォローアップ(3)
■運動療法に役立つ運動支援機器
 血糖値やBMI、血圧などの医学的指標は、運動の効果を的確に判定し、患者さんのモチベーションを維持するうえでも大切ですが、患者さん自身が日々の運動の効果を手軽に実感できると、より運動に対するモチベーションが高まります。現在では、下表のように運動を支援するための様々な機器が出ており、それぞれ特徴があります。

【主な運動支援機器の特徴】
製品名 歩数計/活動量計
歩数計/活動量計
胸装着心拍計
胸装着心拍計
腕装着脈拍計
腕装着脈拍計
腕装着心拍計
腕装着心拍計
計測
方式
動きで歩数・
カロリー計算
電極で心拍計測 光で脈拍検出 電極で心拍計測
装着
場所
腰、ポケット、
バッグ等
胸+腕
使い
勝手
  • バッグに入れたままで測れるタイプが多く、常に身に着けた状態で計測できる
  • 運動しながらの計測が可能
※運動の種類によっては計測不可の場合あり
  • 胸ベルトを装着して計測するため、装着の手間がある
  • 運動しながらの計測と確認が可能
※肌の乾燥やズレにより計測不可の場合あり
  • 腕時計と同じ感覚で簡単に装着できる
  • 歩数計測、カロリー計算も可能
  • 運動しながらの計測、確認が可能
※運動の種類によっては測定不可の場合あり
  • 腕時計と同じ感覚で簡単に装着できる
  • 静止状態でしか計測できない(運動しながらの計測は不可)

 歩数計や活動量計は、運動後に歩いた量や消費エネルギーなどを把握することができます。これらの機器は運動後に自分の運動量を振り返ることができますが、最近では、運動しながら自分の運動中の状態を確認できる「脈拍計」が出ています。

 運動しながら脈拍数を把握することは、本連載の第3回でも述べていますが、運動を効果的に実施するとともに、心臓に余計な負荷がかかっていないかなど、安全に運動を行ううえでも重要です。効率よく安全に運動できていることを実感できると、モチベーションがアップし、運動の継続にもつながります。
 また、スマートフォンでは、歩数記録機能や運動記録機能、体重記録機能などの運動を継続するためのアプリやサービス(糖尿病ネットワーク アプリ・ツール)があります。これらの機能を上手に活用して、運動を行うことも勧められます。

■まとめ
 運動療法は、食事療法と並んで糖尿病治療の基本ですが、食事療法に比べると十分に指導が行われていないという現状があり、正しい指導方法がわからないという声もありました。そこで、本連載では4回にわたって患者さんを指導する側にある医師や医療スタッフが、糖尿病の運動療法について正しい知識を持ち、効果的に指導するために役立つ情報を紹介してきました。

 患者さんが積極的に運動療法に取り組むためには、最初に運動療法が糖尿病の治療に有効であることなど、正しい知識を伝え、理解してもらうことが大切です。そして、運動療法を開始するにあたっては、メディカルチェックによって患者さんの病状や合併症、併発症などをしっかり把握し、運動に伴うリスクを避けるよう配慮し、個々の患者さんに合った運動を処方します。運動処方の内容は、①運動の種類・生活活動、②運動強度、③継続時間と実施頻度、④実施時間帯の4点から構成され、患者さんの年齢や体力、ライフスタイルなども十分に考慮に入れ、適切に処方を行います。さらに、運動療法の効果が現れているかどうかを定期的に判定し、フォローアップを行っていき、患者さんが運動を継続できるように導いていきます。

 限られた時間の中で、個々の患者さんに合った運動指導を行っていくことは、苦労や困難を伴うこともあるかと思います。特に、患者さんの中には、夜勤のある変則的な勤務の方、膝や足に痛みがある方、高度な肥満がある方など、特別な状況に応じた運動指導が必要な場合もあります。運動することに高いハードルがある患者さんに対しては、医師や医療スタッフは運動指導をためらいがちなこともありますが、できることを一緒に考え、少しずつでも継続して取り組んでもらえるよう指導していきましょう。

 最後になりましたが、この連載を運動指導にご活用いただき、患者さんの糖尿病の治療にお役立ていただけることを願っています。
2012年09月 

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