血糖自己測定30年
インスリン注射と血糖自己測定

 血糖自己測定を導入した糖尿病の自己管理がスタートした頃(1976年〜)、今では誰もがあたりまえと思っているインスリン自己注射は、医師法に違反するという非合法のもとで行なわれていた。「日本医事新報」(1971年)の読者質問欄ではインスリン自己注射の正当性について、当時の厚生省担当官は「自己注射は全く不可であり、代わりに経口血糖降下剤の使用があるではないか」と回答している。これが1970年代の実態だったのである。

 このような状況に対して、当時の「日本糖尿病協会」は、インスリン発見50年を迎えて、なおインスリン自己注射が認められない現状を打破すべく10万人の署名をもって、厚生大臣をはじめ関係各方面に、インスリン自己注射の公認と健保給付を陳情したがこれも全く受け入れられなかった。
1. 正当化されたインスリンの自己注射(1981年)
 このような状況の中で、インスリンの自己注射が医師法に違反せずとされ、かつインスリン自己注射に関わる諸費用が健保適用を受けるまでには、なお多くの人の尽力と歳月を要した。そして1981年(昭和56年)ようやくインスリン自己注射の正当性の認知とこれの健保適用が得られた。これはその後の医療のあり方に大きな変革をもたらし、血糖自己測定も含め、患者を中心にした医療の実践の必要性と有用性の実証へと繋げられていった。
2. 血糖自己測定の健保適用(1986年)
 インスリン自己注射の健保適用は、当時行なわれていた慢性疾患指導料200点に、もう200点加算する形がとられた。それから5年後、すなわち血糖自己測定研究がスタートしてから10年目、大方の予想を上回る速さで血糖自己測定はインスリン自己注射指導料に加算する形で、その指導管理料が設定された。

 これが達成されるまでの経緯は、およそ次のようなものであった。すなわち、インスリン自己注射療法における血糖自己測定の有用性が明らかにされる中で、「血糖の自己測定と糖尿病の管理」と題したシンポジウムの第1回を、インスリン自己注射が健保適用となった1981年に開催し、このおり「尿糖から血糖検査時代へ」というスローガンを掲げた。

 次いで2年後の第2回に際しては「模索の時代から評価の時代へ」とし、さらに1989年の第3回に当たっては「血糖自己測定を健保適用へ」を呼びかけた。この間1982年、当時の厚生省は「健康保健事業の効率化に関する研究」の中で、「血糖自己測定に関する研究」をとりあげてくれた。この研究には全国から8施設の参加があり、大変有意義な報告書を完成することができた。

 この成果とともに特筆されるのは、(社)日本糖尿病学会の動きであった。当時の小坂理事長と平田理事は、連名にて日本医師会長宛てに「血糖自己測定用試験紙の健保給付についての申請」をなされた。これらをふまえて1986年(昭和61年)の健康保健医療費算定の大改正に際して「インスリン製剤の自己注射を毎日行なっている患者に対して、医師が血糖自己測定を1ヵ月に20回ないし39回、又は40回以上行わせ、血糖自己測定値に基づく指導を行なった場合は、それぞれ所定点数に500点、又は700点を加算する」が実現した。

 これをふまえ4回目の血糖自己測定シンポジウムのスローガンは「在宅医療の普及と向上」とされた。
3. 血糖自己測定指導加算
1回目の改更・加算の3段階区分
 1994年(平成6年)、血糖自己測定指導加算はインスリン自己注射指導管理料800点にプラスして、1日の血糖自己測定回数が1回以上2回未満については500点、2回以上3回未満については700点、そして3回以上は800点が適用されるようになった。


2008年08月


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