ネットワークアンケート

インスリン注射の打ち忘れ

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 インスリン治療を受けておられる患者さんは、医師の指示を基本に、その日の食事内容や生活時間に合わせて、臨機応変にインスリン注射をされていると思います。
 でも忙しい毎日の中で、「注射を打ち忘れてしまった」「食前に打てなかった」「注射を打ったかどうかわからなくなった」という失敗をされることも、少なくないのではないでしょうか。485名の患者さんに、インスリン注射の実情を伺いました。

<ご報告>
今回のアンケートは、患者さん485名にご回答いただきました。糖尿病ネットワークより、国際糖尿病支援基金に お一人50円分、合計24,250円の寄付をおこないましたのでご報告申し上げます。ご協力ありがとうございました。

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アンケート調査結果のまとめ

患者さんの2人に1人が「打ち忘れ」「注射時間の遅れ」の経験あり

 インスリン注射による治療を受けておられる患者さんに、「インスリン注射を打つのを忘れたことはありますか?」と質問したところ、約半数の人が「はい」と回答しました。1型糖尿病患者さんと2型糖尿病患者さんの両方で、ほぼ半数の人が「打ち忘れ」を経験していました。

インスリン注射を打つのを忘れたことはありますか?

Q1 Q1 Q1

 また、「インスリン注射が、本来の注射時刻より1時間以上遅れることはありますか?」という質問にも、約半数の人が「はい」と回答しました。糖尿病のタイプ別でみると、1型糖尿病患者さんの方が、2型糖尿病患者さんよりも「注射時間の遅れ」を経験した人の割合が多い結果でした。

インスリン注射が、本来の注射時刻より1時間以上遅れることはありますか?

Q2 Q2 Q2

1型糖尿病患者さんの約半数が「打ったかどうかわからなくなる」を経験

 患者さんからときどき「食事前の一連の流れとしてあまり意識せずに注射をしているので、打ったかどうかわからなくなることがある」という声を耳にします。インスリン注射が生活の中にしっかり習慣化されているからこその失敗談かもしれません。

 今回のアンケートでは、1型糖尿病患者さんの約半数が、「打ったかどうかわからなくなる」経験をしていました。一方、2型糖尿病患者さんでは、経験者は2割程度にとどまりました。

インスリン注射を打ったかどうかわからなくなることはありますか?

Q3 Q3 Q3

 注射の単位数についてはどうでしょうか? 「注射した単位数がわからなくなることはありますか?」という質問に、1型糖尿病患者さんの約3割が「はい」と回答しました。一方、2型糖尿病患者さんでは、1割程度にとどまりました。

注射した単位数がわからなくなることはありますか?

Q4 Q4 Q4

「注射時間の遅れ」経験はどんな患者さんに多い?

 では、こうしたインスリン注射の「打ち忘れ」や「注射時間の遅れ」といった失敗には、どんなことが関係しているのでしょうか。今回のアンケートで「インスリン注射が、本来の注射時刻より1時間以上遅れることはありますか?」という質問に「はい」と答えた患者さん(260名)を、年代、インスリン注射による治療歴の長さ、注射回数別に見てみました。

インスリン注射が、本来の注射時間より1時間以上遅れることはありますか?

Q5 Q6 Q7
Q5 Q6 Q7

約7割の患者さんが、インスリン注射の失敗を未報告

 インスリン注射の「打ち忘れ」や「注射時間の遅れ」は、血糖コントロールに影響を与える可能性があります。今回のアンケートでは、医師や医療スタッフにこうした失敗を報告しているという患者さんは約3割。約7割の人は報告していないと回答しました。

打ち忘れたり、打つのが遅くなったことを、医師や医療スタッフに報告していますか?

Q8 Q8 Q8

インスリン注射の失敗と血糖コントロール改善への期待感

 また、「『打ち忘れ』や『時間の遅れ』といった失敗がなくなれば、血糖コントロールは改善すると思いますか?」という質問には、「とても思う」「まあまあ思う」という人と、「あまり思わない」「まったく思わない」という人は、それぞれ半数程度でした。糖尿病のタイプ別では、2型糖尿病患者さんの方が、血糖コントール改善を期待する声が大きいようです。

失敗がなくなれば、血糖コントロールは改善すると思いますか?

Q9 Q9 Q9

* 1型糖尿病患者さん322名、2型糖尿病患者さん157名、その他の糖尿病患者さん6名

まとめ

 インスリン注射の「打ち忘れ」や「注射時間の遅れ」が血糖コントロールに影響する可能性は示唆されていますが、具体的な影響度合いについてはまだ明らかではありません。しかし、インスリン注射は、主治医の指導に基づく適切な投与が大切なことは間違いなく、あまり頻度が多いようであれば、医師に対策を相談してみましょう。

 また、インスリン注射を打ち忘れないように、スマートフォンのアラーム機能を使う、食卓に食事と一緒に注射器を並べる、家族に協力してもらうなど、皆さんそれぞれに工夫されておられる方も多いと思います。皆さんで情報交換をしてみてはいかがでしょうか。

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調査概要
実施時期
2019 年 12月
調査方法
インターネット調査
対象
インスリン注射による治療を受けている糖尿病患者さん
共催
糖尿病ネットワーク・ノボ ノルディスク ファーマ株式会社 JP23DH00033
回答者数
485名
回答者属性
性別
男性 273名、女性 211名、その他 1名
年齢
10歳未満 10名、10代 14名、20代 16名、30代 29名、40代 104名、50代 156名、60代 99名、70代 49名、80歳以上 8名
タイプ
1型糖尿病 322名、2型糖尿病 157名、妊娠糖尿病 0名、その他の糖尿病 6名
病歴
1年未満 47名、1~2年 53名、3~5年 88名、6~9年 63名、10~19年 128名、20~29年 60名、30年以上 46名
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※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。

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