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2006年12月05日

世界の糖尿病人口は2億4,600万人に増加 国際糖尿病連合

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 世界の糖尿病人口は、2025年までに3億8,000万人に増え、有病率は成人の7%に及ぶだろうと、南アフリカのケープタウンで今月7日まで開催された第19回国際糖尿病連合(IDF)会議で発表された。

20年後は3億8,000万人に

 国際糖尿病連合(IDF)は150カ国以上の約190の加盟協会で構成される組織で、糖尿病医療、予防、治癒を促進することを目的に活動している。

 IDFは糖尿病のシンボルであるブルーサークルを掲げ、全世界に支援を呼びかけている。

 世界の糖尿病の有病数は、20年前は3,000万人ぐらいだったが、現在は2億4,600万人に増えた。20年後に3億8,000万人に増えるだろうと考えられている。

 2型糖尿病の増加は日本などの先進国だけの話ではなく、途上国でも急速に増えている。南米では糖尿病の有病率が2倍になり、アフリカでは80%増加し、インドでは56%増加すると予想されている

 患者数が最も多いのはインドと中国で、それぞれ約4,000万人以上。特に急速に糖尿病が蔓延している地域は東地中海諸国と中東。アラブ首長国連邦とサウジアラビアは、糖尿病の有病率が成人の16〜20%に上る。

糖尿病は経済的な脅威 早急な対策が必要
 380万人が糖尿病で1年に亡くなっている。糖尿病はいまやエイズに並び、21世紀の全世界的な課題となった。

 IDFのジャン・クロード・ムバニヤ副理事長は、「糖尿病の蔓延は多くの病気と死を引き起こしているのに、不十分な対策しかとられていない。インドや中国のような経済成長国が目立っているが、多くの国がそれに続くだろう。有効な対策を施さなければ、多くの国で経済成長をする上での重大な障害となる」と指摘している

 さらに、会議では次のことが発表された

  • 糖尿病の有病者数は20年後に3億8,000万人に増え、うち3億人が途上国で占められるだろう

  • 世界の糖尿病と糖尿病の合併症の医療費は、年間で2,320億米ドル(約27兆円)だが、年々増えている。20年後に3,025億米ドル(約35兆円)を超える。
     糖尿病の増加により引き起こされる社会的な影響、患者やその家族に与える影響などを考えると、糖尿病の脅威はより深刻だ。糖尿病を健診で早期発見し、食事や運動などの生活習慣の改善に取組み、予防のために投資をすれば、経済的な損失ははるかに少なくて済むだろう

  • 糖尿病の医療費の80%以上が、豊かな先進国で使われている
     世界の糖尿病の医療費の50%以上が米国で占められるが、米国の糖尿病人口は世界の約8%に過ぎない。欧州がさらに25%を占め、オーストラリアや日本などが残りのほとんどを占めている。

  • 世界の貧しい層の人々では、糖尿病による負担はより深刻
     医療費を払えず十分な治療をうけられないために、糖尿病合併症が進行し苦しんでいる人々がたくさんいる。例えば、中南米では糖尿病の医療費は収入の40%から60%に及ぶ。インドの貧しい糖尿病患者は収入の34%を医療費にあてている。
国際糖尿病連合(IDF)(英文/プレスリリース)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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