ニュース

2008年06月25日

睡眠を十分とっている人は高齢になっても「良い感じ」

キーワード
糖尿病予備群
 十分な睡眠をとっている人は、高齢になっても健康的である傾向が強いという研究が、米ボルティモアで開催された「第22回睡眠専門家学会(APSS)年次集会」(SLEEP 2008)で発表された。

 米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の研究者らに研究で、60歳以上の女性2,226人を対象に、睡眠薬の使用、日中の眠気、仮眠、不眠、早朝の目覚め、いびき、全般的な睡眠の質、睡眠時間について調査し評価した。

 その結果、「よりよく歳をとっている(Successful Aging)」とされた女性は20.8%だった。老後の健康に関連が深かったは、日中の仮眠や、不眠の訴えが少ないことだった。睡眠薬の使用との直接的な関連はみられなかった。

 最近の研究で、睡眠障害が肥満、心疾患、2型糖尿病などの生活習慣病の危険性を増すことがわかっている。

 日中を活動的に過ごすために睡眠時間は7時間から8時間が必要とされるが、高齢者では十分な睡眠をえるのが難しい場合もある

 米国睡眠学会では、睡眠の質を改善するために、次のことを勧めている。

  • 就寝時刻を決め習慣化しましょう。
  • 日中起きている時間はベッドに近づかないようにしましょう。
  • 睡眠を妨げるアルコール、カフェイン、薬物を使わないようにしましょう。
  • 仮眠を避けましょう。仮眠しなければならないときは1時間より少なく、午後3時より遅くならないようにしましょう。
  • 入眠前の温浴、軽食、読書などの習慣を見直しましょう。リラックスできると思っていることが、実は睡眠を妨げているかもしれません。
  • 睡眠はリラックスするための時間です。ベッドに心配事や悩み事をもっていかないようにしましょう。
  • 眠れないときはベッドを離れて、静かにしていましょう。疲れているときはベッドに戻りましょう。
  • 寝室を暗く、静かに、少し涼しくしておくと眠りやすくなります。
 睡眠障害が増すにつれ、加齢にともなう自己評価は低くなり、自覚している年齢と実際の年齢の差は大きくなった。

 研究を行ったSonia Ancoli-Israel博士は「質の良い睡眠が健康的な加齢につながるという今回の研究結果は、睡眠がとても重要であることを裏付けるものです。医療スタッフは、年齢に関わらず患者に睡眠について聞き、よく眠れないという人は改善できるよう支援した方がよい」と話している。

 十分な睡眠をとれていないという高齢者は多く、原因のひとつに寝付きが悪い「入眠障害」が挙げられている。入眠するまで30分以上の時間がかかるという人は少なくなく、65歳以上の男性の13%と女性の36%が該当するという研究報告がある。

 眠りが浅いという高齢者は多く、夜間に目が覚めなかなか寝付けない「中途覚醒」などの睡眠障害もよくみられる。そうした人では日中に眠気が起こることがある。また、睡眠のスケジュールは年齢とともに変化し、高齢者の多くは夜の早い時間に眠くなり、朝早く起きる傾向がある。

 十分な睡眠をとれないことで、さまざまな障害が引き起こされる可能性もある。睡眠障害のある高齢者では、抑うつ、注意力や記憶力の低下、日中の眠気などが増え、催眠や眠気の作用のあるOTC薬の使用が増える傾向があるという。

米国睡眠医学会(AASM)(プレスリリース・英文)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲