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2010年01月08日
日本人の2型糖尿病に関わる遺伝子多型を特定 発症リスクが2.5倍に
日本人の2型糖尿病の発症や進行に関わる遺伝子多型を特定したと発表された。日本人やアジアに特有にみられるもので、この遺伝子多型があると発症リスクは2.5倍に高まるという。徳永勝士・東京大学教授や東京女子医科大学などの研究チームによる成果。
日本をはじめアジア各国で2型糖尿病が急速に増えている。日本人やアジアでは欧米人などに比べ、インスリンの分泌量が少ない体質が多い。そうした人では高度な肥満でなくても、軽い肥満に脂肪のとりすぎや運動不足など生活習慣が重なることで、インスリン抵抗性が生じ糖尿病を発症しやすくなる。 肥満と糖尿病のなりやすさにDNAの微妙な違い(一塩基多型、SNP)が関係している。SNPはDNAを構成する塩基の配列が1ヵ所だけ異なっていること。研究チームは、日本人の2型糖尿病患者1568人と、糖尿病ではない人1700人のSNPを調べ統計学的に解析した。
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その結果、膵臓のβ細胞にあらわれた「KCNJ15」内のSNPが2型糖尿病と関わることを突きとめた。この遺伝子多型があると、2型糖尿病の発症リスクは1.76倍に高まり、肥満でない人に限ると2.54倍になるという。また、10年以内にインスリン分泌量が低下し、インスリン療法が必要となる頻度も高かった。
KCNJ15がみられた比率は、2型糖尿病でない人では6.1%だったが、2型糖尿病患者では10.2%だった。肥満でない患者では14.1%になった。KCNJ15のみられる人では、膵臓でのインスリン分泌が抑制される傾向があるという。この関連は欧米人ではあまりみられないので、研究者らは「アジア人特有のものであることが初めて分かった」と述べている。
これまでの研究で、「KCNQ1」という遺伝子のSNPが2型糖尿病の発症と関連することも分かっており、日本人をはじめとする東アジア人の2型糖尿病に関連する遺伝子として注目されている。
2型糖尿病の発症に、生活習慣とともに遺伝的な要素が影響していることが分かっており、日本人を含む東アジア人の2型糖尿病に関わる遺伝子の解明が進められている。患者によって異なる遺伝子の違いによる発症メカニズムがあきらかになれば、患者はより的確な生活習慣改善の方法を知ることができ、効果的な検査や治療も行えるようになると考えられている。
今回の研究は、米医学誌「American Journal of Human Genetics」(電子版)に発表され
肥満と2型糖尿病
BMI(体格指数)は、体重と身長の関係から算出した肥満度を表す指数。日本ではBMIが25以上の場合に「肥満」と判定されるが、欧米ではBMI 30以上を「肥満」と判定される。先進国ではBMI 30以上の「肥満」の平均比率は15%だが、日本は3〜4%と少ない。
日本人のBMI 25以上の比率は年々増えている。BMI 25以上の男性の比率は1976年は15.2%だったが、2008年には29.6%になり、30年でほぼ倍増した(国民健康・栄養調査)。
ゲノム研究のホームページ(文部科学省特定領域研究)BMI(体格指数)は、体重と身長の関係から算出した肥満度を表す指数。日本ではBMIが25以上の場合に「肥満」と判定されるが、欧米ではBMI 30以上を「肥満」と判定される。先進国ではBMI 30以上の「肥満」の平均比率は15%だが、日本は3〜4%と少ない。
日本人のBMI 25以上の比率は年々増えている。BMI 25以上の男性の比率は1976年は15.2%だったが、2008年には29.6%になり、30年でほぼ倍増した(国民健康・栄養調査)。
Identification of KCNJ15 as a Susceptibility Gene in Asian Patients with Type 2 Diabetes Mellitus
American Journal of Human Genetics, Volume 86, Issue 1, 54-64, 8 January 2010.
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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