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2011年04月15日

破傷風にご注意 糖尿病の人は「ふだんの血糖コントロールが大切」

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糖尿病合併症
 破傷風は土の中にある破傷風菌が傷口から入ることで感染することで発症する病気。予防と治療ができるが、重症化すると命が危険にさらされることもあるおそろしい疾病。東日本大震災で被災した宮城県内沿岸部でも、破傷風の相次ぐ発生が報告された。
 糖尿病のある人が感染すると、特に重症化しやすいと報告されている。大切なのは、血糖コントロールをふだんから良好にすることと、感染した場合に早く医師の診察を受け適切なケアをすることだという。
破傷風は65歳以上、糖尿病患者で高リスク
 特に糖尿病の人が破傷風に感染すると重症化しやすいことが、米国の調査で分かった。破傷風の症例は、米国では1950年頃までは多かったが、ワクチン接種により予防できるようになり、1947年以降は米国での破傷風症例は95%以上、破傷風による死亡は99%減少しているという。

 しかし、予防接種を受けていない人では、現在も散発的な感染症例がみられる。米国疾病管理予防センター(CDC)が4月1日付で発行した最新の「罹患率・死亡率週報」によると、2001〜2008年に米国の届出感染症監査システム(NNDSS)に報告された破傷風の症例は233件だった。

 死亡の危険性の高い要因は共通している。「65歳以上の高齢」、「糖尿病患者」、「予防接種を受けていない」などの因子があてはまる人でもっとも高かったと研究者らは指摘する。予後がわかっている197件中では、死亡率は13.2%と高かった。うち4割は予防接種を受けておらず、15%は糖尿病だった。

 破傷風は予防接種で防ぐことが可能なので、特に65歳以上の高齢の糖尿病患者は、予防接種を受けるよう留意すべきだとしている。また、小児期に予防接種を受けていない人で、成人になってからの散発的症例がみられるので注意が必要だとしている。

がれき撤去で破傷風に感染 注意よびかけ
宮城県が配布しているチラシ

東北大学大学院医学系研究科感染
制御・検査診断学分野などが指導した
 破傷風は、土の中にある破傷風菌(クロストリジウム・テタニ)が傷口から入ることで感染する。風邪に似た発熱などの症状から始まり、手足の筋肉が硬直し、死にいたることもあるおそろしい病気で、発症するまで3日から3週間かかるとされる。

 日本では患者数、死者数が1950年代まで1000人を超えていたが、その後は外傷時の消毒などの感染予防対策や、予防接種の普及により患者数は減少し、現在の患者報告数は年間100人程度になっている。

 東日本大震災で被災した宮城県内沿岸部でも、破傷風の発生が相次いでいる。がれきの撤去作業時の負傷で感染するおそれがあるとして、国や県は各市町村や保健所を通じ注意を呼びかけている。県では予防のため、東北大大学院医学系研究科の指導を受けチラシを作製し、インターネットで公開している。

 「けが防止のため、素肌を露出しない服装(長袖、長ズボン)をしましょう」、「ケガをした場合は、清潔な水でよく洗浄し、傷が汚れた環境に直接さらされないように絆創膏などで保護しましょう」、「傷口が化膿したり、破傷風を疑う症状がみられた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう」などと注意を呼びかけている。

糖尿病の人は感染症にかかりやすく悪化しやすい
 糖尿病の人が血糖コントロールが不良の状態が続くと、皮膚炎、歯肉炎、かぜといった、感染症にかかりやすいことは、よく知られている。また、感染症になるとが急速に重症化することも多い。

 ヒトの体には、体内に侵入しようとするウイルスや細菌と戦う機能が常に備わっている。血糖値が高い状態が続くと、この防御機構がはたらきにくくなる。免疫反応の低下、白血球の成分である好中球の機能低下、血流が悪くなり白血球が感染部位に到達しにくくなるといった弊害がでてくる。また、一度感染してしまうと、インスリンの効きを悪くするサイトカインなどが増え、血糖コントロールがさらに難しくなるという悪循環におちいりやすい。

 糖尿病の人が感染症など糖尿病以外の病気にかかったときは、格別の注意が必要となる。「水分を十分にとり、炭水化物とビタミンを十分にとる」、「自己判断で薬物療法を中止しない」、「医師の診察を早めに受ける」といった注意事項に加え、「ふだんからの血糖コントロール」はもっとも重要だ。

 感染症のかかりやすさや治癒の早さにも、高血糖と高血糖が続いた期間の長さが影響する。より良い血糖コントロールを続けることが、感染症予防にもっとも効果がある。

Tetanus Surveillance - United States, 2001-2008(米国疾病管理予防センター 2011年4月1日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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