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2011年11月10日

世界糖尿病デー 糖尿病とともに生きる人は世界に3億人

昨年の東京タワーのブルーライトアップ

 11月14日の世界糖尿病デーには日本を含む世界中で、糖尿病の啓発キャンペーンが実施される。
11月14日は世界糖尿病デー
 世界糖尿病デーは、国際糖尿病連合(IDF)とIDFに加盟する組織が中心となり、毎年11月14日に開催される。糖尿病の脅威が世界的に拡大しているのを受け、IDFと世界保健機関(WHO)によって1991年に開始され、2007年には国連の公式の日になった。

 11月14日は、1922年にチャールズ・ベストとともにインスリンを発見したカナダの医師フレデリック・バンティングの誕生日にあたる。

 この日を中心に、糖尿病に対する注意喚起と、治療と予防の必要性が社会に広く呼びかけられる。キャンペーンのスローガンは「さあ糖尿病のコントロールを始めよう(Let's take control of diabetes. Now.)」。今年は、5年間続けられるキャンペーンテーマである「糖尿病の教育と予防」の2年目にあたる。

日本でも約100ヵ所でブルーライトアップ
 世界糖尿病デーには、さまざまな方法で参加できる。

ブルーラットアップ
 日本を含む30ヵ国で、有名な建造物が世界糖尿病デーのシンボルカラーであるブルーにライトアップされる。ブルーは国連を象徴する色でもある。
 日本でも東京タワー、レインボーブリッジ、西東京スカイタワー、横浜マリンタワー、鎌倉大仏、長谷観音堂、札幌時計台、万代橋、名古屋城、岐阜城、二条城、東寺五重塔、京都タワー、大阪城天守閣、通天閣、岡山城、高知城 福岡タワー、眼鏡橋、熊本城など、全国な著名な建造物など約100ヵ所がブルーにライトアップされる。
 世界各地のブルーラットアップの映像は、インターネットでつながれ世界に向けて公開される。

世界糖尿病デー 啓発キャンペーン
 世界各地で糖尿病教室や市民向けの講演会が開催され、糖尿病の予防と治療を呼びかけられる。

日本の世界糖尿病デー
 日本の世界糖尿病デーは、日本糖尿病学会、日本糖尿病協会の「世界糖尿病デー実行委員会」が中心となり開催される。全国各地のブルーライトアップや関連イベントの情報がホームページで公開されている。
ビッグブルー・テスト
 11月1日〜14日に、インターネットで「ビッグブルー・テスト」が公開される。世界中で一斉に血糖自己測定を行い、14〜20分間の運動を行い、ふたたび血糖値を測定する。検査値をオンラインで登録することで、世界中で運動と血糖コントロールの重要さを共有できる。このキャンペーンは「糖尿病ハンズ財団」と「IDFライフ・フォー・チャイルド・プログラム」が支援している。
7秒に1人が糖尿病が原因で死亡
昨年の世界糖尿病デーには、世界中の1000を超える著名な建造物などが、シンボルカラーであるブルーにライトアップされた。
WDD Lighting Guide(IDF)

世界糖尿病デーの世界共通ポスター
「糖尿病には年齢や貧富、性別の区別はありません」
 糖尿病の脅威は世界中で拡大し続け、社会的に深刻な課題となっている。国際糖尿病連合(IDF)の最近の調査では、次のことが示された。
  • 世界の糖尿病有病数は3億6600万人。
  • 世界で糖尿病が原因で死亡する人は年間460万人に上る。7秒に1人が亡くなっている計算になる。
  • 糖尿病の治療費は約30兆円(3780億USドル)に上り、2030年までに約39兆円(4900億USドル)に上昇すると予測されている。
  • 糖尿病は失明や下肢切断といった深刻な障害の原因の上位10位に入る。
  • 中国、ロシア、インドでも糖尿病により引き起こされる心疾患や脳卒中の負担は深刻。これらは適切な糖尿病の治療により予防が可能だ。
  • 糖尿病の脅威を受けているのは豊かな先進国だけではない。途上国でも糖尿病は急増している。
  • 世界には糖尿病の十分な治療を受けられない貧しい人々が多くいる。
 世界糖尿病デーは、IDFに加入する世界の160以上の国や地域の医療組織や企業、医療従事者、糖尿病とともに生きる患者と家族などが参加して開催される。

 これまで行われた世界糖尿病デーのテーマは以下の通り――
2005年:糖尿病とフットケア
2006年:途上国や貧しい人々の糖尿病
2007〜2008年:小児や若者の糖尿病
2009〜2013年:糖尿病の教育と予防

「ビッグブルー・テスト」のビデオ あなたを助け、皆を助けよう
画面をクリックするとビデオの再生が開始されます
糖尿病の研究を世界規模で共同発展
 2型糖尿病は、米国や欧州、日本などの先進国で、肥満の増加と関連が深いと考えられていた。しかし現在では、途上国でも安価で高カロリー、栄養バランスの悪い食品の消費が増加している。特に都市化の進む地域で、不健康な食事、運動不足といった生活スタイルが定着しており、それに合わせて糖尿病は急増している。

 IDFはアルバート・アインシュタイン医科大学広域ヘルスセンターなどと共同で、9月18日にニューヨーク市で「世界糖尿病シンポジウム」を開催した。

 「糖尿病は世界で第4の主要な死因となっている。糖尿病と糖尿病合併症は、適切な治療と予防を行うことで防ぐことができる。世界の医療機関や政府機関、民間企業は糖尿病に対策するために力を合わせる必要がある。このままでは多くの人の生活と医療資源の損失は拡大する一方だ。国連総会のハイレベル会合で糖尿病を含む非感染症は主題となった。今回のシンポジウムが糖尿病の問題解決に向けたより良い理解の促進につながると期待している」とアルバート・アインシュタイン医科大のLouis M. Weiss氏は話す。

 「糖尿病はもはや流行病ともいえる危険なレベルに達している。我々は行動を始めるのを先延ばしにする余裕をもっていない。糖尿病や糖尿病合併症は、多くの苦難や困難を引き起こす。糖尿病の研究を世界規模で共同で発展させることで、糖尿病の脅威を抑えることができる」とIDF理事長のJean Claude Mbanya氏は述べている。

世界糖尿病デー(国際糖尿病連合)
世界糖尿病デー 公式ホームページ [世界糖尿病デーイベント実行委員会]
Albert Einstein College of Medicine Joins International Diabetes Federation to Address Global Diabetes Epidemic(アルバート・アインシュタイン医学大学 2011年9月13日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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