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2012年06月19日
やせ型糖尿病の遺伝子が判明 糖尿病は肥満者だけの病気ではない
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- 糖尿病と肥満

この研究は、英国のオクスフォード大学、ケンブリッジ大学、ロンドン大学、ダンディー大学、エディンバラ大学などの研究者が参加した国際的研究チームによるもの。
やせいている人でも遺伝的な条件があると、2型糖尿病を発症しやすいことは、これまでの研究でも指摘されていた。スリムな体をもたらす遺伝子、いわゆる「やせ遺伝子」が、コレステロール値や血糖値を上昇させて、通常は肥満と関連する糖尿病のリスクを増加させると考えられている。
研究チームは、9万3000人の遺伝子情報を調べて、LAMA1と呼ばれる遺伝子がやせ型糖尿病と強く関係することを発見した。5,000人のやせ型2型糖尿病患者と1万3,000人の肥満型糖尿病患者、さらに7万5,000人の健常者の対照群の遺伝子マーカーを検討した。
その結果、肥満の患者とやせの患者の間には遺伝子的に異なる背景があって、やせ形患者において遺伝子がより発症に関与するという仮説を支持する研究データが得られた。LAMA1と呼ばれる遺伝子に似た遺伝子異型がやせ形2型糖尿病患者にのみに発現しており、この遺伝子が発症に深く関わっていることが判明した。
糖尿病遺伝子のタイプがわかかれば、自分により適した食事スタイルや、運動の種類を選ぶことができる。このため「糖尿病を効率的に予防・改善できるようになる」という。
「新しい原因遺伝子の発見により、新しい治療薬のターゲットやバイオマーカーの開発が進むことが期待される。2型糖尿病の遺伝子がこのように作用するとわかかったのは、これがはじめてだ」とオクスフォード大学のJohn Perry博士は話す。
「糖尿病は多様な病気で、患者1人ひとりで原因は異なることが示された。ただし、この遺伝子をもっていても、糖尿病を発症する人と発症しない人に分かれる。遺伝子がどのように作用しているか、今後の研究で確かめる必要がある」とPerry博士は述べている。
'Jack Spratt' diabetes gene identified(ペニンシュラ医科歯科大学 2012年5月31日)
Stratifying Type 2 Diabetes Cases by BMI Identifies Genetic Risk Variants in LAMA1 and Enrichment for Risk Variants in Lean Compared to Obese Cases(May 2012 Issue of PLoS Genetics)
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