ニュース

2012年07月17日

低カロリー甘味料は血糖コントロールの強い味方になる

 米国糖尿病学会(ADA)と米国心臓学会(AHA)は共同で、「低カロリー甘味料を効果的に使うと、体重や血糖のコントロールに有用である可能性がある」との声明を発表した。

 ADAとAHAの共同声明では「低カロリー甘味料の適正な使用は、体重コントロールに役立つ」として、さらに「糖尿病患者においては、血糖コントロールに役立つ可能性がある」と明言している。

 対象となった甘味料は「アスパルテーム」、「アセスルファムカリウム」、「ネオテーム」、「サッカリン」、「スクラロース」、「植物性ステビア」の6種類。

 「低カロリー甘味料が食事の悩みのすべてを解決するわけではないにしても、上手に活用すればカロリー摂取量を減らすことができる。カロリー摂取量のコントロールは、適正な体重の維持や、心臓病と糖尿病の改善・予防の助けになる」とスタンフォード大学医学部のChristopher Gardner博士は説明する。

 「コーヒーやお茶など飲料を含むすべての食品において、低カロリー甘味料のもたらす潜在的な便益は明白だ。砂糖を加える代わりに低カロリー甘味料を使うだけで、炭水化物量とカロリー摂取量を減らすことができる」とGardner氏は言う。

 「低カロリー甘味料を添加した清涼飲料は血糖値を増加させないが、甘味をしっかり楽しむことができる。糖尿病の食事療法にも、低カロリー甘味料は活用できる」と研究者らは述べている。

 炭水化物の摂取量は血糖コントロールに影響する。また、カロリー摂取量をコントロールすれば、肥満を予防・改善でき、糖尿病と心臓病の危険性を低下することができる。「ただし、とにかく低カロリー甘味料を使えばよいというものではない」と米国糖尿病学会のDiane Reader氏は話す。

 「以前は150kcal分の砂糖が加えられた清涼飲料を飲んでいた人が、砂糖の代わりに低カロリー甘味料を使えば、摂取カロリーを150kcal減らすことができる。しかし、カロリーを減らした分、ケーキやクッキーなど、さらに高カロリーの食品を食べてしまっては意味がない。低カロリー甘味料の上手な使い方が求められる」とReader氏は強調する。

 米国心臓学会は、清涼飲料やお菓子などに含まれる糖分の摂取を、1日当たり男性では150kcal、女性では100kcalに抑えるよう勧めている。糖質の過剰な摂取が肥満と中性脂肪を増やし、冠性心疾患の危険性を高めることが、これまでの研究で確かめられている。また、糖分の多い食品は、高カロリーでありながら、栄養バランスが悪い食品が多い。

 「食事療法の基本となるのは、食事のカロリー摂取量と栄養バランスのコントロールだ。一般的に勧められる食品は、野菜、果物、食物繊維の多い全粒粉、低脂肪・無脂肪の乳製品だ」とGardner氏は説明している。

 低カロリー甘味料に関する合同声明は7月9日付の米医学誌「Circulation」(電子版)と米医学誌「Diabetes Care」(電子版)に発表された。

Nonnutritive Sweeteners: Current Use and Health Perspectives(米国心臓学会)
American Heart Association/American Diabetes Association Scientific Statement:Non-nutritive sweeteners: A potentially useful option ? with caveats(米国糖尿病学会 2012年7月9日)
低カロリー甘味料(米国糖尿病学会)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲