ニュース
2014年04月24日
HbA1cが8%を超えると心不全のリスクが高まる 血糖管理が大切
- キーワード
- おすすめニュース 糖尿病の検査(HbA1c 他) 糖尿病合併症
国立循環器病研究センター(国循)は、血糖コントロール不良群では心不全の入院が多く、特に心臓病を発症したことのある患者では、心不全を防ぐために良好な血糖コントロールが必要であることを、5年間の追跡調査で明らかにしたと発表した。
血糖コントロールが不良の患者では心不全入院が多い
心臓は、全身に血液を送るポンプの働きをしており、「心筋」と呼ばれる筋肉でできている。そして、心筋に酸素や栄養を送る血管である「冠動脈」が、心臓を取り巻くように走っている。「心不全」とは、この心筋や厚くなったり、冠動脈が詰まったりして、血液を全身に送り出す、あるいは心臓に取り込む力が落ちた状態を指す。
糖尿病患者が血糖コントロール不良の状態が続くと、心筋梗塞や脳卒中、腎臓病などに加えて、心不全の危険性も高まる。しかし、糖尿病の管理状態と心不全発症との関係は明らかでなく、心不全予防の観点から、どの程度の糖尿病管理が必要かは不明だった。
そこで、国立循環器病研究センターの研究チームは、血糖コントロールが心臓病にもたらす影響を調べるために、2000年1月から2007年12月までに、糖尿病・代謝内科に紹介された608名の2型糖尿病患者を追跡調査し、入院が必要な心不全を発症した頻度を調査した。
対象となった患者の平均年齢は66歳、68%が男性だった。8割が高血圧と脂質異常症を合併しており、5割が心筋梗塞や狭心症を有していた。研究チームは、入院が必要な心不全を発症した頻度をカルテで調査するとともに、もともとのHbA1cの値とその後の心不全入院頻度の関係を解析した。
平均5.2年間の観察期間に、15%の患者が心不全で入院したが、事前に血糖コントロールが不良であるほど心不全入院が多いという結果になった。
日本糖尿病学会は、合併症予防のための血糖コントロール目標を「HbA1c 7%未満」として、治療強化が困難な際の目標値を「8%未満」と定めている(「糖尿病治療ガイド2012-2013」)。また、厚生労働省の定める「健康日本21(第二次)」では、2013年度から2022年度までの10年間の具体的な目標として「血糖コントロール指標におけるコントロール不良者の割合の減少(HbA1cが8.4%以上の者の割合の減少)」を挙げられている。
今回の研究でも、HbA1c値が8%を超えて悪くなると、心不全による入院も増え、特に心筋梗塞など心臓病の既往のある患者で糖尿病管理の影響が大きいことが示された。
関連情報
知っておきたい脳卒中の危険信号 早期治療が明暗を分ける
高血圧治療ガイドライン2014 糖尿病の降圧目標は130/80mmHg
肥満パラドックス論争に終止符 標準体重の人がもっとも健康的
魚を食べて脳卒中と心臓病を予防 日本人を20年以上調査
国立循環器病研究センター心不全(国立循環器病研究センター)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
おすすめニュースの関連記事
- 糖尿病が「治る」病気に? 100⼈に1⼈は⾎糖値が正常化し薬が不要に こんな人が「寛解」しやすい
- 【新型コロナ】糖尿病の人はワクチンの追加接種が必要 ワクチンはもっとも安全で効果的な方法
- 「糖尿病標準診療マニュアル2023」<製本版>プレゼント 糖尿病リソースガイド有料会員
- 「低炭水化物ダイエット」は植物ベースだと糖尿病に良い 1万人以上を34年調査
- 糖尿病の人は「脳卒中」にご注意 「前触れ発作」が起きたときは、すぐに医療機関を受診
- 【サンプル提供】間食指導に!糖類ゼロでおいしい甘さ「パルスイート® カロリーゼロ」&ヘルシーレシピ集 糖尿病リソースガイド
- 糖尿病があると命に関わる血栓症のリスクが1.4倍に上昇 どうすれば予防できる?
- 運動が糖尿病を改善 わずか「1分間の運動」でも効果 仕事や家事の合間に行う簡単な運動に効き目が
- 腸内細菌は糖尿病に影響 善玉菌が糖尿病から保護 腸内環境を健康にする方法とは?
- 「果物」を食べるとうつ病リスクが3分の1に減少 果物の天然成分がうつに予防的に働く?