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2014年09月05日
足りないのは炭水化物や脂肪の“質” 糖尿病を改善する食事療法

以下は血糖コントロールを改善するために有用な食品であることが、過去の研究で確かめられている。
・全粒粉を使ったパンや玄米
・低脂肪のヨーグルトや乳製品
・キャベツ、ホウレンソウ、ハクサイなどの葉菜類
・リンゴやブルーベリーなどの果物
・クルミなどのナッツ類
・カフェイン入りのコーヒー
逆に、下記は糖尿病リスクを上昇させる食品なので、なるべく食べない方が良いという。
・精製された小麦粉や米
・ハンバーガーなどの赤身肉を使った加工食品
・コーラなどの糖分が多く甘味の強い清涼飲料
・アルコールの過剰な摂取
これらの食品は容易に入手できるので、利用者が世界的に増えている。現代人の食生活は、血糖コントロールの観点から望ましくない食品で溢れているといえる。
「米国人の肥満は急増していますが、原因は炭水化物を含む精製された食品の食べ過ぎと、加工食品などに含まれる糖分の摂り過ぎです。これらは、食後のインスリンの分泌を増やし、肥満の原因になります。やがて、加齢などの影響でインスリンの分泌量が低下すると、血糖値が上昇していきます」と、ハムディ氏は言う。
一方、食後高血糖の改善に役立つのが、「グリセミックインデックス」(GI)だ。GI値は、食品に含まれる糖質の吸収の度合いを示す指数のこと。糖質を摂取すると、消化管でブドウ糖に分解され血液に入る。血中のブドウ糖の濃度、つまり血糖値が上昇するが、その食品の消化から吸収までの速度は食品によって異なる。
GI値が低いほど糖質の吸収が遅くなり、血糖値の上昇もゆるやかになる。逆に高GIの食品を食べると、一気に血糖値を上昇させるため、血中のブドウ糖を処理するために多量のインスリンが必要となり、分泌が追いつかなくなくなる。
また、オリーブオイルや、果物や野菜、全穀粒、魚を多くとる「地中海ダイエット」を続けている人では、血糖コントロールとインスリン感受性を改善することが確かめられた。オリーブオイルには一価不飽和脂肪酸が含まれていて、血圧を下げる効果や、悪玉のLDLコレステロールを減らす効果があるという。

ジョスリン糖尿病センターでは2005年から、集中的な治療による体重コントロールを目指す「Why WAIT」プログラムを展開している。このプログラムに参加し体重を減らした患者は、適正体重を5年間維持し、その結果、血糖降下薬を50%減らすのに成功したという。
「Why WAIT」プログラムで重視しているのは次の点だ――
・体重の減少に着目した糖尿病の薬物療法。
・より体に良い食品を選びやすくするための生活に根ざした食事ガイドライン。
・医師や療養指導士により週に1度の教育セッション。
・運動を1日に20〜30分(週に2〜4時間)行うことからはじめて、運動量を1日に45〜60分(週に5〜6時間)に増やす。
「WAITプログラムの生活パターンは糖尿病の予防・改善に効果的であることが実証されました。食事で何を食べれば良いのかを判断することは重要です。食事ガイドラインや、食品の流通、農業の開発など、広範囲に影響を与える必要があります」と、ハーバード公衆衛生大学院のフランク フー教授は述べている。
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