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2014年10月28日
薬局でHbA1cを測定したら4人に1人が糖尿病か予備群だった
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- 糖尿病の検査(HbA1c 他)

同プロジェクトは2010年10月にスタート。現在は東京都足立区と徳島県内のそれぞれ10店舗の薬局で展開した。参加薬局に、1マイクロリットル(1,000分の1ミリリットル)という微量の血液でHbA1c値を測定する小型検査機器を設置した。
HbA1cは、赤血球中のHb(ヘモグロビン)に糖分がどのくらい付着しているかをみる検査項目。過去1〜2ヵ月の平均血糖値を反映しており、「HbA1c値6.5%以上」では糖尿病が疑われ、「6.0〜6.4%」では糖尿病予備群が疑われる。
検査を希望する人は、薬剤師の説明を受けた上で、指先で自己穿刺採血を行い測定する。結果はその場でわかり、糖尿病や予備群が疑われる場合には、薬剤師が連携する医療機関への受診を勧め、早期治療へ導くという仕組み。医療機関や健診施設よりも身近な場所にある薬局を活用し、地域医療連携を活性化するのが狙いだ。
2010年10月〜2014年9月の4年間に検査を受けた4,113人のうち、糖尿病と強く疑われた人は約11%、予備群の可能性が高い人は約15%で、約4人に1人に医療機関へ受診勧奨を行い、症状が悪化する前に治療を始められる可能性が開けた。
一方、2014年3月まで、薬局などでの自己採血検査は法的位置づけが不明確で、いわゆるグレーゾーンとして扱われてきたため、糖尿病の早期発見へ向けた簡易検査の機会の提供は一部の研究用途などにとどまってきた。
しかし、「糖尿病診断アクセス革命」によって、薬局と医療機関との地域医療連携による糖尿病早期発見・受診勧奨システムの有用性が示された。これを受けて、内閣府の規制改革会議と産業競争力会議、厚生労働省との間で規制緩和について検討され、国の新たな仕組みとして「検体測定室」が2014年4月に誕生した。
「厚生労働省のガイドラインに準拠した“検体測定室”では、受検者が自ら採取したものに限って、簡単な血液検査を実施できることになりました。薬局を中心に現在、全国に600ヵ所以上が開設され、今後も増えていく見通しです」と、矢作准教授は話す。
地域住民の健康づくりの拠点として身近な薬局を活用しようという厚生労働省の取り組みは、全国の自治体で進められている。国と県庁・県薬剤師会との共同事業として「薬局・薬剤師を活用した健康情報拠点推進モデル事業」が進められている。
茨城県では、県薬剤師会と協力した「セルフメディケーション支援薬局」の活動が10月にスタートし、鳥取県でも月内にモデル事業を始める予定だ。茨城県では66ヵ所、鳥取県では15ヵ所の検体測定室が新たに開設され、指先HbA1c測定を行えるようになる予定だという。
筑波大学附属病院内分泌代謝・糖尿病内科と栄養管理チーム(病態栄養部)が現場のノウハウを結集し、クックパッド上の累計140万以上のおいしい料理レシピの中から厳選したものにさらに手を加え、全体の栄養バランスを整えた糖尿病食献立として制作した。
同サイトは、筑波大学が推進する産学連携事業のひとつとして、筑波大学とクックパッドが実施した「糖尿病献立に関するデジタルコンテンツ制作共同研究」の成果。プロの管理栄養士が栄養指導の現場でそのまま使える、信頼性の高いコンテンツとして継続的に発信している。
「糖尿病は医療のみならず社会全体の大きな課題です。地域医療の充実や高度先進医療の実践は重要ですが、こうした社会全体に働きかけるアウトリーチ活動を通じて、健康的な生活と社会のあり方を広く提案することも求められています」と、矢作直也・筑波大学医学医療系准教授は述べている。
糖尿病診断アクセス革命 [東京都足立区] 参加薬局
糖尿病診断アクセス革命 [徳島県] 参加薬局
検体測定室の自己点検について(厚生労働省 2014年10月22日)
筑波大学の安心献立(クックパッド)
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