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糖尿病3分間ラーニング
糖尿病患者は骨折に注意 骨を丈夫に保つ対策が必要
2015年05月29日
カテゴリー:2015年   糖尿病合併症 

第58回日本糖尿病学会年次学術集会
 糖尿病の人が血糖コントロールの悪い状態が続くと、骨が弱くもろくなり、骨粗鬆症を発症しやすくなる。「第58回日本糖尿病学会年次学術集会」では、糖尿病患者が骨を丈夫に保つための対策が必要と強調された。
糖尿病患者は骨折の危険性が2倍高い
 糖尿病の人が血糖コントロールの悪い状態が続くと、全身に合併症が起こりやすくなるが、骨粗鬆症や骨折とも深い関係がある。糖尿病の人は骨折しやすく、その頻度は糖尿病がない人の約2倍近くに上昇するという。

 骨粗鬆症は骨密度や骨質が低下することで起こる病気だ。骨粗鬆症があると、骨が弱くもろくなって骨折しやすくなる。高齢者に多い病気と思いがちだが、50歳代の比較的若い世代から注意が必要となる。特に女性の場合は、閉経により、50歳代を過ぎると骨密度は急激に低下していく。

 骨折の要因となる骨強度は骨量と骨質の2つの要因から構成されており、糖尿病における骨代謝異常は骨量の減少よりも、骨質の劣化が重要と考えられている。

 骨をコンクリートの建物に例えると、カルシウムなど骨の材料にあたるミネラルがコンクリート部分で、この密度を示すのが骨密度だ。鉄筋部分にあたるのが、細胞などのつなぎ役であるコラーゲンで、この支えが弱くなって強度を保てなくなるのが骨質の劣化となる。

 骨質にはコラーゲンが関係している。高血糖の状態が続くと、酸化ストレスが起こり、骨基質となるコラーゲンに終末糖化産物(AGE)がたまりやすくなると考えられている。高血糖のためにコラーゲンが劣化すると、骨はしなやかさを失う。

糖尿病の治療は骨粗鬆症の予防にも効果的
 骨粗鬆症を予防するために、糖尿病の人は血糖コントロールを改善するとともに、食事や運動で骨や筋肉を強くして、転倒や骨折を予防することが必要となる。

 インスリン分泌が低下している患者では、骨がもろくなることが知られている。インスリンには血糖値を下げる働きに加え、骨を作る作用もある。

 そのため食事療法と運動療法に加え、インスリンを必要十分に補充し、保持をする治療を続けることが、骨粗鬆症を予防するために大切だ。

 毎日の食事で十分にとりたいのがカルシウムだ。日本人は男女ともに、どの年代でも、厚生労働省が推奨するカルシウムの1日の推奨摂取量を満たしていない。50歳代の女性の場合、推奨量は約650mgですが、実際に摂取しているのは500喞度だ。

 サプリメントの利用を含めて、ビタミンDとカルシウムを積極的に摂取することが勧められる。また、日光浴にはビタミンDを生産する作用があるので、日光浴を含めて運動療法を行うとより効果的だ。

 さらに、ウォーキングなどの有酸素運動に加えて、「開眼片足立ち」や「スクワット」といった運動を行うと、骨密度を高める効果を期待できる。

骨粗鬆症の検査を受け治療することが重要
 糖尿病の人は50歳を過ぎたら自分の骨の状態をチェックする必要がある。骨密度の検査には、超音波でかかとの骨を測定する方法と、エックス線で前腕部や腰などの骨を測定する方法がある。

 検査は整形外科で受けられるほか、40歳から70歳までの女性は市区町村で5歳刻みで行われる骨粗鬆症検診を受けられる。

 大腿骨付け根・背骨の脆弱切性骨折がある場合や、骨密度が若年成人の平均値の70%未満の場合、または70%以上80%未満で骨折の危険性が高いと判断された場合に、骨粗鬆症と診断され薬物療法の対象になる。

 薬物療法の中心となるのは「骨を壊す働きを抑える薬」だ。ビスホスホネート薬が一般的だが、2013年からはデノスマブという注射薬も使用されはじめた。投与は半年に1回で、ビタミンD3薬やカルシウム薬を服用する必要がある。

 また、骨の形成を促進し、骨量を増やす副甲状腺ホルモン薬や、骨代謝のバランスを整えるカルシウム薬や活性型ビタミンD薬が使われる。50〜60歳代の比較的若い世代の女性には、女性ホルモンのエストロゲンと似た作用を持つSERMを用いる場合もある。

 日本では、骨粗鬆症全体での薬物治療率が20〜30%と低いことが問題視されている。骨粗鬆症自体は、症状がない病気だが、骨折を予防するためには、内服をきちんと継続することが重要だ。

 なお、2型糖尿病治療薬として広く用いられているチアゾリジン系薬剤は、インスリン抵抗性を改善する作用をもつが、骨形成を抑制する副作用があり、特に女性の骨折の頻度を高めるおそれがあると報告されている。

 一方で、インスリン抵抗性を改善する作用のあるメトホルミンは、骨を作る骨芽細胞に作用して骨形成を促進する可能性が指摘されている。DPP-4阻害薬にも骨折のリスクを低下する作用があるという知見が発表されている。

第58回日本糖尿病学会年次学術集会

[ Terahata ]
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