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糖尿病3分間ラーニング
糖尿病患者の脂質異常症は積極的に治療 心血管疾患のリスクが上昇
2015年05月29日

第58回日本糖尿病学会年次学術集会
 糖尿病患者は狭心症や心筋梗塞を防ぐために、脂質異常症を積極的に治療する必要がある。5月21日〜24日に開催された日本糖尿病学会の第58回年次学術集会では、糖尿病患者の脂質異常症の管理の重要さが確認された。
糖尿病患者では心血管疾患のリスクが2〜4倍に上昇
 「脂質異常症」は、血液中の脂質の量や質に異常がある状態。悪玉コレステロール多い「高LDLコレステロール血症」、善玉コレステロールの少ない「低HDLコレステロール血症」、中性脂肪(トリグリセライド)が多い「高中性脂肪血症」がある。

 脂質は本来、体をつくるために、あるいはエネルギーを貯蔵するために必要だが、異常値があらわれると、狭心症や心筋梗塞を発症しやすくなる。

 糖尿病患者は、日本人の死因第2位である心筋梗塞などの心血管疾患に2〜4倍かかりやすいことが明らかになっている。心血管疾患の危険因子は、糖尿病に合併する脂質異常症だ。

 最近になって、日本や米国で食事のコレステロールの摂取制限を設けないとするガイドラインが相次いで発表された。食事から取ったコレステロールの量と、体の中のコレステロール値との関連を示すエビデンスが不十分なためで、メディアは「コレステロール摂取制限は不要」と報道した。今年5月に発表された「2015年日本人の食事摂取基準」でも、「コレステロール摂取の制限を設けない」との新たな推奨が発表された。

 これに対し日本動脈硬化学会は、「こうしたガイドラインはあくまで健常者を対象としたもの」として、「肥満、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、高中性脂肪血症の患者は、摂取エネルギーを制限する必要があり、高LDLコレステロール血症の患者は、より飽和脂肪酸やコレステロールの摂取量に注意する必要がある」と強調している。

狭心症や心筋梗塞を予防するための管理目標
 余分なコレステロールは運動で燃焼されることなく、血液の中や血管などにたまっていき、動脈硬化の進行につながる。ハワイなどに移住した日系米国人などを対象とした調査で、コレステロール値が高いことと心血管疾患になる危険性との関連も指摘されている。

 特に糖尿病患者は狭心症や心筋梗塞を発症しやすいことから、脂質管理目標値は厳しく設定されている。動脈硬化性疾患の発症を予防するために、自分のコレステロールや中性脂肪の数値に注意することが必要だ。

脂質異常症の管理目標値

糖尿病患者
一次予防(冠動脈疾患にならないための治療)
LDLコレステロール 120mg/dL未満
HDLコレステロール 40mg/dL以上
中性脂肪 150mg/dL未満
冠動脈疾患にかかったことがある人
二次予防(冠動脈疾患の再発・悪化を防ぐための治療)
LDLコレステロール 100mg/dL未満
HDLコレステロール 40mg/dL以上
中性脂肪 150mg/dL未満
脂質異常症の治療では生活習慣の改善が重要
 糖尿病の人が肥満になると、脂質異常症がより起こりやすくなり、脂質異常症の治療では生活習慣の改善がとても重要になる。

生活習慣改善の具体的なポイント
(1)減塩に留意(食塩は1日6g未満を目標)し、伝統的な日本食のバランスをこころがける。伝統的な日本食は、動脈硬化性疾患の予防に有効だ。
(2)過食を抑え適正体重を維持する。
(3)肉の脂身、乳製品、卵黄の摂取を控え、魚類、大豆製品の摂取を増やす。野菜、果物、海藻の摂取を増やす。
(4)アルコールの過剰摂取を控える。
(5)ウォーキングなどの適度な有酸素運動を毎日30分以上行う。

 しかし、生活習慣の改善に努めても管理目標値に達しない場合や、心筋梗塞などの既往がある患者では厳格に脂質を管理するために薬物療法が必要となる。

 主にコレステロールを下げる働きをもつスタチン系薬や、中性脂肪を下げる働きをもつフィブラート系薬などがあり、患者の状態に応じて薬が選択される。糖尿病患者を対象とした臨床研究では、薬物療法でコレステロール値などをコントロールすることで狭心症や心筋梗塞の発症が抑制されることを明らかにされている。

第58回日本糖尿病学会年次学術集会

[ Terahata ]
カテゴリー :2015年    運動療法  食事療法  糖尿病合併症  

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