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2015年12月25日

冷え性を克服するための6つの方法 冷え性で苦しまないために

 特に女性に多くみられる「冷え性」。適切に対処せずに、我慢していると、さまざまな症状や病気を引き起こすことがある。衣食住を中心に生活習慣を改善すれば、冷え性を予防できる。
手足の冷えやむくみの原因
 冷え性は、「入浴後すぐに手足が冷える」「手足が冷えて眠れない」「体が温まりにくい」などの症状があり、女性に多いのが特徴だ。冷えだけでなく、むくみ、腹痛、頭痛、生理不順、抑うつ感など、さまざまな体や精神面のトラブルを伴うことがあり、切実な問題となる。

 米国のラッシュ大学医療センターによると、冷え性が女性に多い理由として、女性の生活習慣の方が冷えを招きやすいこと、一般に女性のほうが男性より筋肉量が少ないこと、月経・出産・閉経などに伴ってホルモンのバランスが崩れやすいことなどがあげられる。

 体が冷える原因として、「体質・体格」「自律神経の働きの乱れ」「女性ホルモンの変動」「生活習慣」などが考えられる。なかでも、生活習慣では衣食住が冷え性の原因となる場合が多い。

 手足などの末端型冷え性は血流不良が原因で起こることが多く、糖尿病の人は血糖コントロールが悪い状態が続くと血流が悪くなりやすい。手足がずっと冷たいという人は動脈硬化や神経障害が進行しているおそれがあるので注意が必要だ。

こうすれば冷え性を改善できる
 寒さを感じると体内の熱を外に逃がさないように末梢の血管が収縮し、体が緊張状態になり、冷えにつながる。次に、血行が悪いと体内の熱を末端までうまく運べず、手足に冷えを感じるようになる。また、筋肉の量が少ない人は、体内で十分な熱がつくられず、体の芯から冷えを感じるようになる。

1 栄養バランスの良い食事

 体には37度より低い温度の飲食物を摂取すると体熱放散を少なくし体温を上げ、37度より高い温度の飲食物を摂取すると、皮膚表面の血管を拡張させ体熱放散を増やし、体温をもとに戻す仕組みが備わっている。

 こうした体温の恒常性を保つメカニズムを良好に維持するために、栄養バランスの良い食事が必要だ。

 体を冷やす食品を控え、体を温める食品を積極的にとると冷え性を解消できるという考え方があるが、実際には冷えをすぐに解消できる食品はない。

 例えば体を温める食材として知られるトウガラシは、その主成分である力プサイシンが体温を上げる作用をもつ。しかし、トウガラシを含むカレーなどを食べて一時的に体温が上昇しても、発汗により体温を下がってしまう。

 また、身体を温めるといわれているショウガは、成分にジンゲロールを多く含み温感を高め血流を増加させるが、その働きは一時的なもので大量に摂取しても冷え性は改善しない。

 特定の食品にこだわらず食事全体の栄養バランスを整えることが、冷え性を解消するために効果的だ。例えば野菜や果物は葉・茎・皮など丸ごと食べると、その食材がもつ栄養素を無駄なくとれる。

 ただし、冷たい食品や飲料を大量にとると、内臓が冷やされ一時的に胃腸障害が起きることがあるので気を付けよう。

2 タンパク質を十分にとる

 食事で摂取したエネルギーのおよそ8割は熱になるが、食事の量が少ない場合や、胃腸が虚弱で栄養吸収が悪い場合は、熱産生が不足して体温が低下しやすい。そのため、冷え性の治療では、胃腸を整えることが大切となる。

 栄養素によりカロリーは異なり、食品の1g当たりのカロリーは、脂肪が9kcal、タンパク質が4kcal、炭水化物が4kcalとなっている。このうち熱として消費される量を示す「食事誘発性産熱量」がもっとも多いのはタンパク質だ。

 タンパク質は、脱アミノ反応やアミノ基から尿素を生成する反応の過程で運動とは関係なく熱を産生する。これに対し、それに対し炭水化物は肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄えられ、筋肉を動かすとグリコーゲンが産熱する。

 このため、炭水化物の摂取の多い人は体動かすと熱が発生し、運動量の少ない人ではタンパク質の摂取量を増やすと熱が発生しやすくなる。

 女性は一般的に男性に比べ身体活動量が少ないので、タンパク質を十分にとることが冷え性に対策するために必要となる。

3 温度差を調整しやすい衣類の選び方

 スカートやストッキングなどの女性の衣類の多くは保温性が低く、薄着も多いので冷えやすい。

 指先やつま先などの体の末端が冷える人は、靴下を重ねて保温したりカイロで温めても、全身の交感神経の緊張がゆるまず血管が広がらないため冷え性は改善しにくい。

 下着は腕・胸・背中・お腹を覆う面積の広いものを着用して体幹部の深部を温めると、熱放散が増え交感神経の緊張がゆるみ、体の末端の血流が増え温かくなる。

 ただし、厚着をしすぎると汗をかきやすくなり、体を圧迫して血流が悪くなる場合もあるのでご注意を。低温には重ね着で対応すると温度差を調整しやすい。

 皮膚に直接触れる下着など衣類は、吸湿性が良く乾燥しやすい素材のものを使うと、体が温まりやすい。吸湿性は良いが乾燥しにくく汗が冷えやすい綿などの素材は冷え性の対策に向いていない。

4 生活に運動を取り入れて筋肉を鍛える

 冷えの原因は「筋肉量が少なく、体の熱を多くつくることができない」「血流が悪いため熱をうまく運べない」こと。

 体の熱の約6割は筋肉によってつくられるため、背中・お腹・お尻・太股などの大きな筋肉を鍛えると、冷え性を改善できる。また、血液を心臓に戻すポンプのような働きをしているふくらはぎの筋肉を鍛えると、効果的に血流を改善できる。

 運動を続けると、体の代謝が向上し、自立神経バランスが整えられ、筋肉のこりを解消する効果も得られる。

 「冷え性だから」と諦めず、生活に運動を取り入れて筋肉を鍛え、冷えない体づくりに取り組もう。

 歩幅を拡げて歩くウォーキングを1日30分、毎日行うと足腰の筋力を強化でき、下肢の静脈の流れを改善できる。

5 長時間の入浴は逆効果

 入浴は体を温めるのに効果的だ。半身浴だけだと、冬には上半身が温まりにくく、肩や首のこりも改善しにくいため、全身浴が勧められる。

 一般的に冷え性には湯温40~42度の全身浴が良いとされている。全身浴はただ体を温めるだけでなく、筋肉のこりをほぐし、体の細胞が熱にさらされると増える熱ショックタンパク質による体の修復作用も期待できる。

 ただし、入浴が長時間続くとのぼせるため、湯船に肩まで浸かるのは5分間まで、全体は10分を目安にすると安全だ。入浴しながらの足のストレッチも効果がある。

6 アルコールを飲み過ぎない

 アルコールには体を温めると思われがちだが、冷たいビールも燗をした日本酒でも、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドが血管を拡張させるため、皮膚から熱が大量に放散される。お酒を飲み過ぎると体温が低下しやすくなるので、飲み過ぎに注意しよう。

How the Body Regulates Heat(ラッシュ大学医療センター)
Female thermal sensitivity to hot and cold during rest and exercise(Physiology & Behavior 2015年12月1日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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