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糖尿病のデータベース「J-DREAMS」 国立国際医療研究センターと日本糖尿病学会が共同で立ち上げ 全国的な糖尿病の調査研究事業
2016年04月05日
カテゴリー:  糖尿病合併症 

 日本糖尿病対策推進会議の第5回総会が3月に東京で開催され、病院と診療所を対象とした全国規模の大規模なデータベースをつくることが発表された。
 日本医師会や日本糖尿病学会などの医療関係団体や医療機関だけでなく、自治体、保険者、経済団体とも協同して、糖尿病の重症化を予防する対策づくりが進められる。
 糖尿病患者の治療の実態を記録し、糖尿病の治療の進歩につなげるために、全国規模のデータベースをつくる研究が日本医師会、糖尿病学会などが主導し始められている。

 糖尿病患者のデータベースを全国規模で構築することで、糖尿病治療の実態を把握できるようになる。「どのような患者が多いのか」「どういう患者に対して、どういう治療をするのが最適なのか」を解明し、日本の糖尿病治療の質を高めることを目的としている。
糖尿病患者の大規模データベース「J-DREAMS」
 日本糖尿病対策推進会議は3月24日に東京で第5回総会を開催した。そこで、全国の病院と診療所に通院する糖尿病患者を対象とした大規模なデータベースを構築する計画が発表された。

 国立国際医療研究センターと日本糖尿病学会が共同して、全国の病院に参加を呼びかけ、糖尿病患者の大規模データベース「J-DREAMS」を構築する研究を開始した。過去に類をみない大規模な研究で、2015年度で3万人の患者の参加を目指している。

 「J-DREAMS」は、厚生労働科学研究・日本医療研究開発機構委託研究の「電子カルテ情報活用型多施設症例データベースを利用した糖尿病に関する大規模な臨床情報収集に関する基盤的研究」(研究代表者:梶尾 裕・国立国際医療研究センター糖尿病内分泌代謝科診療科長)を基盤としている。

 「J-DREAMS」では、カルテに記載された糖尿病患者の背景や糖尿病の指標を抽出し、個人を特定できないように匿名化した後、症例データベースを構築し、症例全体の情報の集計と糖尿病関連項目についての解析を行う。

 研究ではカルテ情報はデータベース化され、国立病院機構の病院などに導入されているSS-MIX2と呼ばれるクラウドセンターに収集される。

 全国の病院で治療を受けている糖尿病患者の情報を統合して、糖尿病についての実態調査も行う。患者の血糖管理状況、治療状況、合併症の有病率などを解析し、現在の日本における糖尿病患者の状況を確認できるようにする。
データベースでより効果的な糖尿病治療を実現
 糖尿病はさまざまな合併症を引き起こす疾患だ。血糖コントロール不良の状態が続くと、腎臓病を引き起こし、やがて透析に至る。透析療法を新たに始める患者の43.5%は糖尿病が原因だ。

 また、糖尿病のある人では、心筋梗塞などの冠動脈疾患の発症リスクは3倍に、脳卒中のリスクは2倍にそれぞれ上昇するという調査結果がある。

 データベースを構築することで、どのような治療を行えば血糖コントロールをより改善でき、合併症を予防できるかが明確になる。血糖コントロールが困難な患者や、合併症が進行している患者を把握できるようになり、データを追跡調査することで治療と血糖との関係、合併症の発生率、生命予後との関係などを解析できるようになる。

 全国の病院や診療所に通院している糖尿病患者を対象となるデータベースは、多施設で共同で行われる研究で、多くの患者の協力を得ることで実現が可能になる。そのため、医療施設では患者の参加を広く呼びかけている。

 政府は「IT新改革戦略」を2006年に策定し、その中で「ITによる医療の構造改革」は、IT施策のトップに位置づけられた。しかし、「電子カルテ上に保管されているデータの形式が統一されていない」という理由で、全国規模のデータベースをつくるのは困難とされてきた。

 今回の研究では、標準診療テンプレートと呼ばれる入力システムを開発したことで、参加する全ての施設で、個々の患者の検査情報や薬剤情報に加えて、合併症情報も一括で取り込めるようになった。
診療所の患者を対象とした糖尿病データベース 日本医師会
 J-DREAMSが病院受診患者を対象とするのに対し、診療所で受診している患者を対象とした糖尿病疾病管理のデータベースの構築を目指すのが、日本医師会が中心となって進めている診療所データベースだ。

 データベース構築を担当する日本医師会総合政策研究機構によると、日本の糖尿病患者の約65%は診療所のかかりつけ医の診察を受けており、その割合は年々増加している。そのため診療内容を把握し、診療支援に活かせるデータベースの構築が必要とされている。

 診療所のデータの収集については、日本糖尿病対策推進会議(2015年9月)で日本医師会が症例データベース構築案を提示した。かかりつけ医の機能の充実を進め、かかりつけ医の診療の現状を把握するため、日本医師会がデータ収集を実施することを計画している。

 かかりつけ医は、なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師だ。

 診療所ほベースとした糖尿病データベースでは、紙カルテの診療所に関しては日医標準レセプトソフト(ORCA)と地域医療ネットワークデータを作成するための医療情報システム(MI_CAN)を用いてデータを収集するという。

 日本医師会が計画しているデータベース構築に協力することで、患者にとっては、▽糖尿病患者の状況を把握することでより効果的な治療につなげることができる、▽病院のデータと併せて糖尿病治療の向上のための基盤ができる、▽診療ガイドラインをもとにした患者を支援するツールがより充実する、▽集積されたデータをもとに国の政策に提言を行えるようになる――といったメリットがある。

「日本糖尿病対策推進会議」の活用を全国に拡大
 「J-DREAMS」や日本医師会の診療所データベースは、医療関連団体や医療機関にとどまらず、より広域での活用も視野に入れられている。日本医師会、日本糖尿病学会、日本糖尿病協会の三者が中心となり活動している「日本糖尿病対策推進会議」とも連携する。

 日本医師会や日本経済団体連合会、日本糖尿病学会などが参加し設立された「日本健康会議」も、糖尿病などの生活習慣病予防や重症化予防に向けて取り組んでいる。

 日本健康会議の活動指針となる「健康なまち・職場づくり宣言2020」には、かかりつけ医と連携して全国の800市町村、24団体以上の広域連合が参加し、「日本糖尿病対策推進会議」の活用を計画している。

 最終的には、47都道府県の保険者協議会すべて、健保組合等保険者と連携して健康経営に取り組む企業500社以上も参加する計画だ。

 糖尿病がもたらす障害を乗り越えようと、日本医師会や日本糖尿病学会だけでなく、経済団体・保険者・自治体とも連携して、糖尿病治療の進歩、糖尿病合併症の予防を効果的に推進する仕組み作りを全国に拡大していく計画だ。

J-DREAMS - 診療録直結型全国糖尿病データベース事業
日本糖尿病対策推進会議(日本医師会)
[ Terahata ]
カテゴリー :    糖尿病合併症  

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