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インスリン抵抗性のメカニズムを解明 肥満が炎症を引き起こす
2016年04月15日
カテゴリー: 医療の進歩 糖尿病と肥満 

 肥満した細胞から放出されるDNAの断片が、細胞の免疫反応を活性化させ、脂肪組織の炎症を引き起こし、インスリン抵抗性の原因になっていることを、徳島大学の研究チームが発見した。炎症を抑える治療法が見つかれば、インスリン抵抗性を治療できるようになる可能性がある。
インスリン抵抗性や脂肪組織の炎症を抑える治療法の開発へ
 2型糖尿病の原因のひとつである「インスリン抵抗性」は、肥満などが原因でインスリンが効きにくくなり、ブドウ糖が細胞に十分取り込まれなくなった状態をさす。

 インスリン抵抗性の発症に脂肪組織での炎症が関わっているが、その原因についてはよく分かっていなかった。

 脂肪組織は余ったエネルギーを脂肪として蓄える臓器であり、脂肪細胞は脂肪の蓄積とともに大きくなるが、サイズには限界があり、一定の大きさに達すると脂肪細胞は変性を受け細胞死が生じる。

 脂肪細胞が肥大したり変性すると、破壊された細胞から血液中にDNAが放出される。徳島大学などの研究チームは、肥満があると、遊離DNAの断片の濃度が高くなることを、肥満のヒトとマウスの細胞で確かめた。血液中の遊離DNA断片の量がインスリン抵抗性の指標と相関しているという。

 動物の細胞表面にある受容体タンパク質である「Toll様受容体9」は、本来であれば細菌やウイルスなどに反応し免疫反応を引き起こす。しかし細胞が肥満していると、脂肪細胞から遊離したDNA断片が「Toll様受容体9」によって反応を起こす。

 さらにDNA断片は、白血球の一種で、細菌や異物を取り込んで免疫の働きをするマクロファージを活性化。研究チームが肥満マウスの脂肪組織を調べたところ、マクロファージがDNA断片を取り込むのを電子顕微鏡で捉えることができた。

 「Toll様受容体9」のない肥満のマウスでは、脂肪組織での炎症が軽度であり、インスリン感受性が良好だった。また、骨髄移植により作り出した骨髄由来細胞にのみ「Toll様受容体9」を発現させたマウスでは、脂肪組織の炎症とインスリン抵抗性が起きていることを確認。

 マウスに「Toll様受容体9」を阻害する薬剤を投与すると、肥満に伴う脂肪組織の炎症とインスリン抵抗性の発症を抑えることができたという。

 糖尿病をはじめとする生活習慣病では動脈硬化が起こりやすく、肥満細胞が細胞死を起こし、慢性的な炎症の原因になっていると考えられている。遊離したDNA断片が炎症を引き起こすメカニズムを解明すれば、インスリン抵抗性や脂肪組織での炎症を抑えることができるようになる。

 「脂肪組織の炎症を抑えられれば、糖尿病などの生活習慣病の効果的な治療法になる可能税がある」と、研究者は述べている。

 今回の研究は、徳島大学大学院医歯薬学研究部循環器内科学分野の佐田政隆教授、福田大受特任講師らの研究グループと東京大学、昭和大学、大阪薬科大学が共同で行った物で、科学誌「Science Advances」に発表された。

徳島大学大学院医歯薬学研究部循環器内科学
[ Terahata ]
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