骨粗鬆症:6つの方法で予防 40歳過ぎたら骨を強くする対策を
2016年12月01日

骨粗鬆症は、女性や高齢者に多い病気だが、若い世代でも発症する可能性がある。骨質を高め、骨折を防ぐために、6つの生活スタイルが役立つ。
糖尿病の人は骨が弱くなりやすい
10月の「世界骨粗鬆症デー」に、国際骨粗鬆症財団(IOF)は、骨の健康を守り骨粗鬆症を防ぐために、いますぐに行動を起こすよう呼びかけた。
骨粗鬆症は、生活スタイルや体質が原因になり、骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気だ。最初は自覚症状はないが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合がある。
加齢とともに、人はだんだん、骨が弱くなる。皮膚の老化や血管の老化と同じように、骨も老化する。高血糖や高血圧、脂質異常症などがあり、治療をしないでいると、骨量が低下しやすいので早めの対策が必要だ。
人生でもっとも骨量が多いのは男女とも20歳頃で、20~40歳代の前半までは、骨量は平坦に推移するが、40歳の半ばを過ぎるとだんだんん落ちていく。20歳頃に骨量が少ない人は、高齢になると、さらに骨が弱くなるおそれがある。
骨折は3秒に1回発生 自立した生活ができなくなる

骨の健康を維持するために今すぐ行動を
6つの対策で骨粗鬆症を予防
国際骨粗鬆症財団は、骨質を高め、骨折を防ぐために、次の生活スタイルを勧めている。多くは糖尿病の食事療法や運動療法と重なっている。糖尿病を改善するための生活スタイルは、骨粗鬆症の予防にも役立つ。
・ 体重をコントロールする
肥満は骨粗鬆症の危険因子となるが、やせも骨粗鬆症の発症リスクを高める。ダイエットをして体重が急激に減ると、骨粗鬆症のリスクが高まる。ダイエットで栄養が不足すると、必要なカルシウムの摂取量も減少する。
女性220万人年を対象としたコホート研究では、やせは大腿骨近位部骨折と骨粗鬆症性骨折のリスクを上昇させることが明らかになった。BMI(体格指数)が18.5以上25未満の標準体重を維持することが重要だ。
・バランスの良い食事
カルシウムと、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを多く含む食品をとることが大切。カルシウムは乳製品や大豆製品、小魚、緑黄野菜、海草などに多く含まれる。ビタミンDはカツオ、サケなどの魚類、卵、キノコ類などに含まれる。
ブロッコリーやホウレンソウ、納豆などに含まれるビタミンKにも、骨を作る働きを促す作用がある。不足しないようしたい栄養素だ。
骨粗しょう症対策にはカルシウムを1日700〜800mgとることが推奨されている。毎日の食事で、200mg(牛乳1本分)を多く摂取することを心がけよう。
・骨を強くする運動
骨を丈夫にするために、食事と同じくらい運動が大切になる。運動や身体活動を活発に行うと、骨粗鬆症性による骨折を防げることが多くの研究で確かめられている。
年齢を重ねるとともに運動ははますます重要になる。ウォーキングなどの有酸素運動に筋力トレーニングを取り入れると、いっそう効果的だ。
閉経を迎えた女性がウォーキングなどの運動をすると腰椎骨密度が上昇し、さらにジョギング、ダンス、ジャンプなどのより負荷の大きい運動をすると大腿骨近位部骨密度が上昇することが確かめられている。
・たばこを吸わない
喫煙は骨粗鬆症のリスクを高める。男女25万人年を対象とした調査では、たばこを吸う人は吸わない人に比べ、大腿骨近位部骨折のリスクが2倍近く上昇することが明らかになった。禁煙をすれば骨折のリスクは下げられる。
・過度のアルコール摂取に注意
過度のアルコール摂取も骨粗鬆症のリスクを高める。エタノール換算で1日に24g以上を摂取している人は、大腿骨近位部骨折のリスクが70%上昇する。
体重の少ないやせた女性ほど、アルコールの弊害を受けやすいので注意が必要だ。なお、適度な飲酒をしている人では、骨粗鬆症のリスクが低下するという報告もある。
・検査を定期的に受ける
40歳を過ぎたら、医師に骨の健康状態を評価してもらうことも必要だ。
健康診査や保健所などで広く用いられている「超音波法」は、かかとの骨に超音波をあてて、超音波が骨の中を通り抜ける速度を測定する検査法。
エックス線を使わないので妊婦でも測定可能で、比較的簡単に骨量を測定できる。骨粗鬆症の心配があるかどうかを大まかに調べる(スクリーニングする)ことができる。
一方、「DXA」(デキサ)はより精密な検査法だ。骨に2種類のエックス線をあてて、エックス線の吸収率から骨量を測定する方法で、腰椎や大腿骨の海綿骨や、手首などを測定する。
骨量変化が海綿骨に現れやすい若い女性や、閉経直後の女性にも適した測定方法で、病院などで広く精密検査に用いられている。
治療が必要と診断された場合は治療を開始しよう。現在は多くの種類の骨粗鬆症の治療薬が使用されている。
Don’t underestimate the danger of osteoporosis, warns IOF(国際骨粗鬆症財団 2016年10月20日)
[ Terahata ]
- 「オメガ3脂肪酸」が糖尿病リスクを低下 悪玉コレステロールに注意
- 血中のビタミンD濃度が高いとがんリスク低下 日本人3万人以上を調査
- 糖尿病の人が果物や野菜のジュースを飲むとどうなる? 意外な結果に
- 糖尿病・肥満が「うつ病」リスクを上昇させる 日本人1万人を調査
- 食事を「朝型」にすると糖尿病が改善 体重が減り血糖値も安定
- 健康な食事の新しい認証制度「スマートミール」 糖尿病学会など参加
- 全国生活習慣病予防月間2018「少食」イラスト・漫画コンテスト優秀作品を発表!
- 実践!スローカロリー「上手な糖質活用のノウハウを教えます」
- 糖尿病対策に「立つだけダイエット」 座る時間を減らせば減量できる
- 「生きがい」「社会参加」で糖尿病リスクを低下 生活不活発病を予防
- 「オメガ3脂肪酸」が糖尿病リスクを低下 悪玉コレステロールに注意
- ビタミンDをつくるのに日光浴が必要 4つの方法で紫外線に対策
- 女性の「痩せ」志向は不健康 運動を通じて女性の活躍を促進
- 血中のビタミンD濃度が高いとがんリスク低下 日本人3万人以上を調査
- 糖尿病対策に「立つだけダイエット」 座る時間を減らせば減量できる
- 脈拍測定を取り入れると運動の効果を高められる
- 「運動療法”応援”医療機関リスト」を公開 全国の医療機関を紹介
- ウェアラブル機器による脈拍・体温等のモニターは生活習慣管理に有用
- 運動に適した時間帯はいつ? 「運動療法 情報ファイル」が実証実験
- 日米の運動ガイドラインの違い 米国は脈拍測定の重要性をより強調
- 運動に必要な脈拍数はどれくらい「運動療法 情報ファイル」が実証実験
- 病気のある人も効果的に運動 健康マネジメントの標準化・可視化
- 脈拍測定をしながら有酸素運動 メタボ対策に最適
- 運動が健康寿命を延ばす 脈拍測定を行うと効果的
- 腕時計型心拍数加速度計で高血圧治療の質を向上。基底血圧の推算も
- 脈拍測定を取り入れると運動効果を高められる
- 運動療法の指導を受けている患者は半数 糖尿病ネットワーク調査
- 日本IDDMネットワークが新たな研究支援 「1型糖尿病を根絶」
- 1型糖尿病とシックデイの不安 連載「インスリンとの歩き方」
- 膵島移植で1型糖尿病患者のQOLが改善 第3相試験データを解析
- 1型糖尿病妊婦にクローズドループポンプ療法が有用 SAP療法とのクロスオーバー試験
- インスリン経鼻投与、短期投与の安全性に問題なし 長期的な安全性については要検討
- 1型糖尿病発症後早期の予後因子に人種差[HealthDay News]
- 糖尿病の膵島移植の画期的な方法を開発 課題をすべて克服し安全
- 朝の血糖値と覚えてない低血糖 連載「インスリンとの歩き方」
- 「子供の糖尿病」は珍しくない時代に 対応できる教職員は7人に1人
- 5年後の自分とセールスという仕事 連載「インスリンとの歩き方」
■最新ニュース
※2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で
表わされるようになりました。過去の記事はこの変更に未対応の部分があります。
Copyright ©1996-2018 Soshinsha. 掲載記事・図表の無断転用を禁じます。
治療や療養についてかかりつけの医師や医療スタッフにご相談ください。
表わされるようになりました。過去の記事はこの変更に未対応の部分があります。
Copyright ©1996-2018 Soshinsha. 掲載記事・図表の無断転用を禁じます。
治療や療養についてかかりつけの医師や医療スタッフにご相談ください。