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2017年10月24日

結婚生活が安定すると男性の肥満は改善 夫婦仲が健康に影響

 結婚生活が「改善している」男性は、「悪化している」男性に比べ、体重や血圧、コレステロール値や良好であるという研究が発表された。夫婦がカウンセリングを受けることで健康に好ましい影響が生じる可能性があるという。
独身者に比べ既婚者は健康である傾向
 結婚生活における家族の関係性が、男性の健康状態に大きく影響しているという調査結果を、英国のブリストル大学が発表した。

 「エイボン親子縦断調査研究」(ALSPAC)は、ブリストル大学などが1万4,500人の家族の健康について長期にわたり調査している研究で、1991年に開始された。

 研究チームは、この調査に参加した620人の既婚の父親を対象に、心血管などのリスクについて追跡して調査した。

 独身者に比べ既婚者は健康である傾向を示した研究は過去に報告されているが、結婚している人の健康が家族の関係性からどのような影響を受けるかを調べた研究は少ない。

 ほとんどの研究は結婚生活の一時点に集中して調査しており、時間の経過によりもたらされる潜在的な影響を継続して調べた研究は今回の研究がはじめてだという。

 研究に参加した父親は、子供が3歳のときに、親子の親密な関係性について調べる12項目のアンケートに答えて、家族関係の質が評価された。子供が9歳になったときに再びアンケートに答えた。

 研究チームは、参加者の夫婦や家族の関係性を「一貫して良い」「一貫して悪い」「改善している」「悪化している」のいずれかで評価した。さらに2011~2013年に健康診査を実施し、血圧、安静時の心拍数、体格指数(BMI)、血中脂肪量、空腹時血糖値などを評価した。

夫婦の関係性が「改善」すると検査値が良好に
 その結果、夫婦の関係性が「改善している」と評価された父親のLDLコレステロール値は平均して4.5mg/dL低下し、BMIは1低下した。総コレステロール値は4.3mg/dL低下し、拡張期血圧は2.24mmHg低下した。

 一方で、夫婦関係が「悪化している」と評価された父親は、拡張期血圧が平均して2.74mmHg上昇していた。

 「良好な結婚生活は、とくに男性において、健康状態を改善することが示されました。結婚生活は、社会的・経済的な状況や社会心理的なメカニズムの影響を受けます」と、ブリストル大学のイアン ベネット ブリトン氏(社会コミュニケーション医学)は言う。

 「一貫して良い」または「一貫して悪い」と判定された男性では、あまり変化が確認されなかった。これについて研究チームは、男性がそうした状況に時間をかけて「順応」していることが理由ではないかと推測している。

 「女性は一般的に、職場以外の地域社会などで社会ネットワークを豊富にもっています。また、パートナーに依存することなく、社会的な交流するのが得意です。男性はこうした恩恵を受けるのが苦手な場合が多いのです」と、ブリトン氏は指摘する。

 今回の研究は観察研究であり、良好な結婚生活が男性の健康を向上させるという結論を決定付けることはできない。また、参加者は若い男性が多かったので、長期にわたる影響については不明の点が多いと、研究者は付け加えている。

 ただし、結婚生活と健康状態の因果関係について考えるとき、「関係性が悪化しているカップルは、結婚カウンセラーに相談して問題解決に取り組むことが、心理的な幸福度を向上するのに役立つ可能性があります。夫婦の関係性を改善することで多くの健康上のメリットを得られます」と、ブリトン氏は結論付けている。

 今回の研究は医学誌「Journal of Epidemiology&Community Health」に発表された。

Risk factors for heart health linked to marital ups and downs(ブリストル大学 2017年10月12日)
Changes in marital quality over 6 years and its association with cardiovascular disease risk factors in men: findings from the ALSPAC prospective cohort study(Journal of Epidemiology&Community Health 2017年10月12日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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