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2018年01月25日

糖尿病の食事療法と運動療法は「薬」より優れている 薬は減らせる

 2型糖尿病の食事療法と運動療法は、血糖コントロールを改善するのに効果的で、熱心に続ければ薬物療法よりも効果があるという研究が英国で発表された。
 食事療法と運動療法をしっかりと続ければ、多くの患者は薬の量を減らせるという。
はじめはどの患者も「血糖値は高かった」
 食事療法と運動療法を中心とする生活改善プログラムを16週間を続けると、血糖コントロールが改善し、薬の量も減らせることが、英国のグラスゴー大学の研究で明らかになった。インスリン療法を行っている患者では、インスリンから離脱できたケースもあるという。

 NHS(国民保健サービス)は、英国の国営医療サービス事業。今回の研究では、NHSが制作した生活改善プログラムに参加した1,537人の2型糖尿病患者を追跡して調査し、プログラムに参加せず通常の糖尿病治療を受けた1,934人の患者と比較した。

 NHSの生活改善プログラムは、食事療法と運動療法が重視されており、治療の成果を見てわかるよう数値化し、行動に反映させる認知行動療法が取り入れられていた。

 プログラムは2005年に開始され、90分の糖尿病教室が4回行われ、食事は男性は1日1,900kcal、女性は1日1,400kcalにコントロールし、ウォーキングなどの運動を週に5回以上、20〜60分間行うことが推奨された。

 その結果、16週間のプログラムを最後まで続けられたのは、およそ半分の808人。最後まで受けた患者では、受けなかった患者に比べ、HbA1cが平均で0.4%低下し、体重は5kg減少した。

インスリンから離脱するのに成功
 調査は2014年まで追跡して行われた。プログラムの終了後も食事療法と運動療法を3年間続けた患者では、ほとんどが服用している薬の量や種類を減らすことができ、インスリン療法に移行する患者を半分に抑えられた。

 また、インスリン療法を行っている患者では半数がインスリンから離脱したり投与量を減らすことができた。

 逆にプログラムに参加しなかった患者のほとんどは、血糖コントロールの不良のため、3年間で糖尿病の治療薬を増やさなければならなかった。

 スコットランドのイースト レンフルーシャーに在住しているイアン アームストロングさん(71歳)は、2型糖尿病でインスリン療法を続けていたが、プログラムを終了してからも食事療法や運動療法を続け、1年間で体重を8kg減らした。その後3年間も血糖コントロールを良好に保ち、ついにインスリン療法から離脱するのに成功した。
「ヨーヨーダイエット」には危険が伴う
 研究リーダーであるグラスゴー大学のジェニファー ロウエ氏は、「NHSが提供する生活改善プログラムは、血糖コントロールを改善し、体重を適正に管理するのに効果的であることが分かりました。2型糖尿病や肥満の遺伝的な因子のある患者でも、プログラムを続ければ、良好な血糖コントロールを保つことができます」と語っている。

 ハーバード大学の研究によると、体重が短期間で大きく変動する「ヨーヨーダイエット」には危険が伴う。短期間に体重を大きく減らしても、またもとの体重に戻すことを繰り返していると、心血管疾患や心筋梗塞、脳卒中の危険性が上昇する。

 体重を適正に落とすことは重要だが、リバウンドするような方法では、かえって逆効果のこともあるようだ。NHSのプログラムでは、体重の目安として、1か月に0.5~1kgずつ減らしていき、リバウンドを起こしにくくすることが考えられている。3ヵ月で1.5~3kg、1年で5kg程度のペースだ。

 「体重を減らしても、すぐにリバウンドしてしまう健康法は優れているとは言えません。NHSの開発したプログラムは、患者の行動変容を長期にわたりサポートする内容を目指しており、しかも安価に実行できます」と、ロウエ氏は言う。

 「ただし、糖尿病診療にあたる臨床医や医療スタッフには、まだ十分に普及していません。英国でも糖尿病の急増は社会問題になっており、効果的な対策が求められています」としている。

16 Week NHS Programme Can Help Treat Type 2 Diabetes(グラスゴー大学 2018年1月11日)
Effect of non-surgical weight management on weight and glycaemic control in people with type 2 diabetes: A comparison of interventional and non-interventional outcomes at 3 years(Diabetes, Obesity and Metabolism 2018年1月11日)
Much of life is beyond our control, but dining smartly can help us live healthier, longer(ハーバード大学 2017年3月3日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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