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眼底網膜像を「自撮り」できる小型眼底カメラシステム開発
2018年06月22日
カテゴリー: 医療の進歩 糖尿病合併症 

 奈良先端科学技術大学院大学(奈良先端大)と科学技術振興機構(JST)は、毎秒1,000枚の高速撮像が可能な高速ビジョンシステムと近赤外光を応用し、ユーザーがひとりで眼底網膜像を撮影できる、新しい小型眼底カメラシステムの開発に成功したと発表した。
眼底網膜像を自宅で気軽にひとりで撮影
 研究は、奈良先端大先端科学技術研究科物質創成科学領域の太田淳教授らの研究グループと、東京大学大学院情報理工学系研究科の石川正俊教授らの研究グループが共同で行ったもの。6月に開催される国際会議「2018 Symposia on VLSI Technology and Circuits」で発表される。

 1秒に1,000枚の画像を信号処理する高速ビジョンと高速化した周辺装置を融合した知能システムは、人間の視覚をはるかに超えた機能と性能を実現し、さまざまな分野でイノベーションを起こすと期待されている。

 一方、眼底網膜は身体の外から血管の様子を詳細に観察できる唯一の場所であり、毛細血管をも観察することで、眼の様々な疾患だけでなく、高血圧、動脈硬化、糖尿病などの状態を観察できる。

 眼底網膜像は通常は、眼科医や検査技師などが眼底カメラを用いて眼科病院などでを撮影している。瞳孔と眼底の光軸を正確に合わせ、暗い眼球内を強いフラッシュ光で隈なく照らすなどして撮像する必要がある。その際、眼球が高速に細かく動くことやまぶしさのため、患者が自分で撮像するのは困難だ。
瞳孔から眼底内を観察するためには高速に動く目を追尾(トラッキング)する必要がある
眼底網膜像をインターネットで医師に送信 遠隔診断も可能に
 今回、研究グループが開発したシステムでは、(1)高速微動する眼球を高速ビジョンシステムによりトラッキングし、(2)まぶしくない近赤外光を用いることで眼底に十分な強度の光を到達させることができる。近赤外光は波長700〜2500nmの光で人間には見えない。そのため眼に負担をかけることなく眼底像を得ることができる。

 高速トラッキング技術は、同プロジェクトの分担グループである東北大学大学院情報科学研究科の鏡慎吾准教授が開発したシステムをもとにしている。また、近赤外光照明で得られる画像は白黒だが、ナノルクスの開発した3波長近赤外光からカラー画像を再現する技術を用いることで、近赤外光でもカラーの眼底網膜像を得ることができる。

 今回の成果は、眼底網膜像を自宅で気軽にひとりで撮影するパーソナルヘルスケアへの応用が期待される。また、眼底網膜像をインターネット経由で医師に送ることで遠隔診断も可能となるほか、小型軽量な特徴を生かし、眼病が多いとされる途上国への展開も可能となる。
自撮りできる小型眼底カメラ(プロトタイプ)。もう片方の目で自分の眼底を見ながら撮像できる。3波長近赤外光で撮像した眼底像をカラー化して表示している。
スマートフォン向けの小型化も計画
 同システムによる装置は、現時点では未承認医療機器のため販売・授与できないが、今後は自宅で気軽に眼病や生活習慣病をチェックするヘルスケア機器として、実用化を目指すとしている。

 なお、今回は高速ビジョンシステムと近赤外光技術を個別に実証しているが、今後ふたつの技術を融合することで、いっそう鮮明な眼底網膜像をより簡単に取得できることが可能になる。カラー画像の色再現性についても検討を進めていくという。

 小型化を進めスマートフォンのアタッチメントとして実現することも計画している。これらの技術展開により、誰でも容易に使えるこれまでにないパーソナルヘルスケア機器の実現を目指す。
小型自撮り眼底カメラのイメージ。眼底カメラをハンディータイプとし、スマートフォンと組み合わせることで、どこにいても気軽に自分の眼底像を撮ることができる。
奈良先端科学技術大学院大学
科学技術振興機構
[ Terahata ]
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