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14国際糖尿病連合の「糖尿病に対して団結して立ち向かおう」キャンペーン
2006年09月
 糖尿病に関する研究、臨床、その他、すべて糖尿病に関する国際的な会議が3年ごとに、世界のどこかの国で開催されます。この会議の主催者は、国際糖尿病連合(International Diabetes Federation, IDF)という組織で、会議の名前は国際糖尿病会議(World Diabetes Congress)です。第15回が1994年に神戸で開催されたのが日本ではじめてのことでした。今年(2006年12月)は、第19回国際糖尿病会議が南アフリカ連邦のケープタウンで開催されます。今回の会長は国際小児思春期糖尿病研究会の会長を長らく勤められたオーストラリアの小児科医シリンク教授*です。
*Dr. Martin Silink (Professor of Paediatric Endocrinology, University of Sydney, Australia)
Unite for Diabetes
 国際糖尿病連合は、世界的に糖尿病人口が爆発的に増加している現状を危惧し、糖尿病に関する研究や臨床、その他すべての糖尿病に関する活動を通じて何かできることはないかと考え、Unite for Diabetesというキャンペーンを今年に入ってから世界レベルで行ない、国連の協力のもとに最終的に国連決議を求めようとしています。
 国際糖尿病連合は過去にも、糖尿病が人類の健康を大いに損ねることを予測し、啓蒙活動を十分にすること、そして糖尿病ケアを充実させることなどをセント・ビンセント宣言(1989年)として声明しています。
 この度のUnite for Diabetesを日本語に直せば、糖尿病に対して団結して立ち向かおう、戦おうということでしょうか。シリンク先生は正式には12月まで次期会長(12月から正期の会長)の立場ですが、先生の意気込みが伝わって、もうこのキャンペーンに呼応する各分野での活動がはじまっています。  
Unite for Diabetesの活動
 Unite for Diabetesは、以下の対象別グループに分かれて活動を開始しています。1型および2型糖尿病のヤング(小児と思春期)の方々、糖尿病をもつ高齢者の方々、糖尿病を持つ原住民の方々、糖尿病をもつ移民の方々、そして糖尿病妊婦の方々です。
 わたしは「糖尿病のヤング」グループの6名の実務実行委員会のひとりとして、異なる事情と様々な考えを持つ他国のメンバーと共に、この仕事を進めています。ちなみに、妊婦グループには大森安恵東京女子医科大学糖尿病センター前センター長(同大学名誉教授)がメンバーになっておられます。

 ヤンググループの第1回の会合は、2006年アメリカ糖尿病学会(シカゴ)の期間中に行ないました。その後は電話会議で補い、2006年に英国で開催される国際小児糖尿病研究会やデンマークで開催される2006年ヨーロッパ糖尿病学会、2006年の国際糖尿病連合の世界糖尿病会議などの機会に会合をもちながら、最終的にひとつの憲章という声明文を作成していくことになります。
 第1回の会合でメンバーのいろいろな話を聞きますと、国の経済状態と治療状況ないし治療の厚みが、いまなお相関していることを再確認できます。悲惨な国がまだまだ多いようです。  
国際糖尿病連合憲章から国際連合決議へ
 予定では2007年11月14日の世界糖尿病デーに、この憲章が糖尿病に関する国連決議(UN resolution)として昇華されるであろうといわれています。

 具体的には、全世界の糖尿病をもつ若者(1型も2型も)がどのように大変な思いをしているか、そして糖尿病に対してどのようなまちがった認識をされているか、経済的なことで治療がどのようにうまくいっていないのかなどを明らかにし、それらに対して今後どのようにしていくといいのか、実務実行委員会はまず叩き台の文章を作成し、そして、メンバーを増やした拡大委員会に答申し、討議してもらい、さらに文章を練っていきます。

 この憲章あるいは決議は、それ自体、国や地域に何かを行なわせる権限をもっているものではありません。しかし、21世紀の今、我々医療従事者、健康に関する行政に従事している者などがどの方向に向かって、糖尿病撲滅のために活動しなければならないのかをより明らかにするでしょう。
 2007年に国際糖尿病連合(IDF)ならびに国連から発せられる、各グループの声明を統合した憲章あるいは決議が、流行病のように広がりつつある地球規模的糖尿病人口の増加および糖尿病に対する無理解に対して、強力な歯止めの力となることを願っています。

<追伸>好学のために
 世界医師会は1964年にヘルシンキ宣言を発表しています。これは、ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則を述べたものです。たとえば、臨床試験や医学的な実験などは、この宣言に則って、倫理的配慮をし、不利益がないように配慮しています。
©2006 内潟安子


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