14. 糖尿病による腎臓の病気

2017年4月 改訂

血液透析と腹膜透析

 透析には血液透析と腹膜透析の二つがあります。血液透析は一般に週3回通院し1回あたり4〜5時間かけ、血液を浄化します。腹膜透析は時間や場所に縛られず、連続的に血液を浄化できます。ただ、患者さん自身の管理がよくないと腹膜炎を起こしやすいなど、注意事項があります。日本では現在、多くの患者さんが血液透析で治療しています。なお、透析を始める時期や方法は病状に応じて主治医が判断します。
 透析療法が始まると、食事療法は透析の方法に応じて切り替えます。それまで続けていたタンパク摂取制限などが緩和されることもあります。ただし血液透析では非透析日に体内に水分がたまりやすいので、水分の摂取量には注意しなくてはなりません。
 末期腎不全のもう一つの治療法は、腎臓移植です。腎臓移植の成功率は高く、移植によって治療の負担も軽減される有効な治療法ですが、日本は常に臓器不足の状態で、糖尿病性腎症に対する移植はあまり多く行われていません。

糖尿病性腎症予防のキーポイント

 糖尿病性腎症は高血糖が最大の原因です。血糖コントロールを良好に保つことは、腎症の予防のうえでも大切なことです。
 一方、腎臓は病気がなくても、肺や心臓など他の臓器と同様、年齢とともに機能が弱まってきますが、これに加えて、過食や高タンパク・高塩分の食事が腎機能低下を速める要因として知られています。いずれも食事さえきちんと対応していれば防げることです。太り過ぎや塩からいもの、肉などのタンパク質の摂り過ぎに、日頃から注意しましょう。
 また、加齢による腎機能の低下は、50歳を過ぎると、性別差が現れることがわかっています。女性のゆるやかな低下に比べて、男性では機能の低下が強くみられます。言いかえれば、それだけ、男性の方が腎症が進行しやすい傾向にあるともいえます。同様に、家族に腎症の人がいれば、遺伝的なことや生活環境、食習慣が似ているなどの理由から、腎症になりやすい傾向があるので、気をつけてください。

腎臓にやさしい生活をしましょう

 糖尿病の合併症のほとんどは自覚症状のないまま進行します。腎症も同じで、症状の一つであるむくみに気づくころには、すでに透析開始が視野に入るほど進んでしまっています。
 また腎症を併発すると、糖尿病に対する食事管理に加えて塩分やタンパク質の摂取制限が、腎症の進行段階に応じて厳しくなり、食事療法がいっそう難しくなっていきます。さらに、腎機能が低下した状態は全身の血管に負担をかけるので、心臓や脳の発作を防ぐための治療も必要になってきます(囲み記事参照)。
 自覚症状がなくても血糖コントロールをよくし、定期的に検査を受け、食事に注意するなど、腎臓にやさしい生活を実行することが、糖尿病による腎臓障害の予防のために大変重要です。

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