糖尿病Q&A1000

Q.609 低血糖の予防と糖尿病のより良い治療を両立させることは、難しことのようですね。昔からずっとそうだったのでしょうか?

 低血糖は、インスリンが発見されて糖尿病を治療できるようになったあとに、治療上の障害として浮かび上がりました。それでも糖尿病の治療目的が高血糖症状を解消することに主眼が置かれていた時代は、低血糖は相対的に現在ほど大きな問題ではなかったのです。その反面で糖尿病の患者さんは、糖尿病でない人に比べると寿命は短く、合併症が高頻度に起きることが避けられない時代でした。
 しかしその後の治療法の進歩により、現在では血糖値を厳格にコントロールすることで、合併症を起こさず糖尿病でない人と同じ天寿を全うできるようになってきています。それとともに低血糖のことが治療上の障害として、よりクローズアップされてきました。治療法が進歩したために生じたジレンマのような面もあるわけです。
 とはいっても低血糖を防ぐための工夫がなにもなされていないわけではなく、血糖降下作用のぶれが少なく長時間安定して効果を現す新しいタイプの持続型インスリン(持効型インスリン)や、その反対に作用時間が短いために食間の低血糖を起こしにくい超速効型インスリンなどが登場するなど、より良い血糖コントロールと低血糖予防を両立しやすくなってきています。
2006年05月11日

※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。

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07 低血糖の対処法 [Q.561-610]のQ&A

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