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2012年07月19日

糖尿病患者さんの6割がシックデイを経験するも、認知低い

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糖尿病ネットワーク
 糖尿病ネットワークは、今年5月にメルマガ会員へ行った「糖尿病患者さんのシックデイ対策」に関するアンケート調査の結果を公開しました(有効回答数は、医療スタッフ76名、糖尿病患者さん321名)。 回答した糖尿病患者さん全体の約6割(インスリン療法患者さんは約7割)がシックデイを経験しているとする中、患者さんへ説明・指導を行っている医療スタッフは約半数という結果でした。

患者さん全体の4割が「シックデイ」を知らない?!
糖尿病患者さんに聞きました
 糖尿病患者さんが風邪や下痢、外傷や手術など、他の病気で体調を崩した際、ふつうならすぐ治るような病気であっても注意が必要です。私たちの体は、病気になると血糖が上昇するようにできているので、いつもの糖尿病の治療だけでは血糖コントロールの悪化を招いたり、場合によっては深刻な事態になることがあるからです。糖尿病患者さんが他の病気になった状態を「シックデイ」(sick day)といいます。シックデイのような非常事態を適切に対応し無事に乗り切るには、「シックデイ・ルール(sick day rule=病日対処法)」を主治医と患者さんでふだんから相談しておくことが大切です。

 調査結果によると、糖尿病患者さんで「シックデイ」を経験したことがあると回答したのは全体の57%。但し、インスリン療法の方は67%、経口薬療法の方は40%と治療法によって異なる状況でした。どのような時に「シックデイ」を経験したかでは、「風邪・インフルエンザ」が約9割と最も多く、流行している時期は体調管理にはとくに注意する必要がありそうです。

 また、「シックデイ」とは何か知っているか?を訊ねてみたところ、患者さん全体の4割が「知らない」とし、インスリン療法の方でも26%、経口薬療法の方では56%が「知らない」と回答。「シックデイ」は具体的にどのようなことなのか、意外にもあまり認知されていない現状が浮かび上がりました。さらに、医療機関で説明・指導を受けたことがあるかを聞いてみたところ、全体では半数強、インスリン療法の方は43%、経口薬療法の方では66%が「とくに指導を受けていない」とし、指導が十分ではない状況がうかがえました。

患者さんへの指導は約半数
医療スタッフにに聞きました
 一方、医療スタッフで、通院する糖尿病患者さんの「シックデイ」の発生状況を把握しているか?について訊ねてみたところ、「報告のあった患者さんのみ」という4割、「必要な人のみ」の3割ら、条件付きを含めて88%の医療スタッフが「把握している」との回答でした。患者さんへの指導については、約半数が患者さん全員が対象と答えたものの、治療法などによって指導状況が異なる状況となりました。指導内容は、約9割の医療スタッフが「自己判断でインスリン注射を中断してはならない」、「食欲がないときの食事のとりかた」、「主治医への連絡や医療機関受診のタイミング」等を中心に指導しているとのことでした。

 自由記述では、医療スタッフでは、‘過剰にシックデイルールを指導することは、患者さんの不安を強めたり、不必要な服薬中止につながる恐れがある’、‘シックデイについて知りたいとの要望は多いが、なかなか真正面から取り上げられないできた’、患者さんでは、‘こんなことくらいで病院へ電話して良いものかどうか悩む’、‘インスリンの調整については家庭では自分以外分からないので、具合が大変悪い時には自分だけが頼りというのが困る’、‘シックデイという言葉自体初めて聞いた’など、多数の声が寄せられました。

詳しくはこちら >> ネットワークアンケート「糖尿病患者さんのシックデイ対策」
糖尿病セミナー「病気になった時の対策 シックデイ」

◆糖尿病ネットワークでは、ネットワークアンケートにご回答いただいた方お1人(1件)につき50円を、途上国の糖尿病患者さんに支援活動を行っている「国際糖尿病支援基金」へ毎回寄付しています。 詳しくはこちら >> 国際糖尿病支援基金
[ DM-NET ]
日本医療・健康情報研究所

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