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2012年10月12日

2型糖尿病患者の半数以上が「低血糖の経験あり」 EASD2012

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第48回欧州糖尿病学会(EASD)
 2型糖尿病患者の半数以上が低血糖の経験をもっているが、低血糖について医師に相談したのは3分の1に過ぎないという調査結果が欧州糖尿病学会(EASD)で発表された。調査は、オーストラリア、中国、ドイツ、インド、メキシコ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、英国の8ヵ国の、病院の糖尿病専門医とプライマリケア医や一般医の治療を受けている2型糖尿病患者899人を対象に、インターネットを使い行われた。

 血糖コントロールに影響を及ぼす生活要因はさまざまだが、調査によると、患者の76%は職業や労働時間について、83%は食事を抜いたときの対処について、主治医に相談していなかった。これらは場合によっては低血糖の原因となるおそれがある。

 また、2型糖尿病患者の53%は低血糖が疑われる経験をもっていたが、患者の76%は不規則な生活スタイルについて「血糖コントロールに影響することに気が付かなかった」と回答した。

 低血糖の管理について実際に主治医に相談したことがある患者は37%に過ぎなかった。28%は低血糖そのものについて医師に相談したことがなく、6%は認知すらしていなかった。

 欧州糖尿病学会(EASD)と米国糖尿病学会(ADA)は、2型糖尿病のより効果的な治療を実現するために、個々の患者に最適化された治療計画が必要とのガイドラインを発表した。低血糖の予防と心臓病や脳卒中などの深刻な合併症の危険性を減らすことがとりわけ重要視されている。

 「糖尿病は世界的に公衆衛生上の問題となっているが、糖尿病患者のおよそ半数は血糖コントロールの目標を達成できていない。米国健康・栄養調査(NHANES)の1999〜2006年の調査によると、医療機関で治療を受けている患者のうち、血糖コントロールの目標値(HbA1c7.0%未満)を達成できているのは半数足らずで、LDLコレステロールの目標値(100mg/dL未満)を達成できている患者は42%、血圧コントロールの目標値(130/80mmHg)を達成できているのは43%にすぎない」と英国のバーミンガム大学病院のWasim Hanif博士は話す。

 「調査で食事療法と運動療法への意欲が高い患者が多いことが示されたのは明るい展望だ。しかし、血糖コントロールに生活スタイルが深く関わっており、血糖降下薬の中には低血糖の危険性を高めるものがあり、低血糖を予防するために注意が必要であることを十分に認知している患者が少なかったのは問題だ」と英国のバーミンガム大学病院のWasim Hanif博士は話す。

 「よりよい血糖コントロールを実現することが重要だが、低血糖の危険性が増えるのは避けたい。低血糖のリスクと、個々の生活スタイルに最適化された血糖コントロールについて、患者と医師の双方が話し合わなければならないことは多いようだ」としている。

欧州糖尿病学会(EASD)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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