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27海外での食事とインスリン注射量
2007年10月
1. どうも海外では日頃の勘が働かない?
 少量のインスリンを注射している方ははっきりとわからないかもしれませんが、1型糖尿病の方などは、しっかりとそれなりの量のインスリンを注射しなければなりませんので、食事量や食事内容がいつもと異なると血糖値に大きく影響し、インスリン注射量を変更することがよくあります。

 その例として、海外(たとえば欧米)で、「日本で食べている食事量とボリュームが同じだ」と考えてインスリン注射量を決めていると、低血糖になることがよくあります(もちろん高血糖になることも)。

 日本では「これくらいの食事量ならこれくらいのインスリン注射量」でうまくいっていたのに、どうしてアメリカの食事ではうまくいかないのだろう、となります。自分のこれまでの勘が働かなくなったのではないかと、これまでの自信が揺らいだりもしたりします。
2. 炭水化物の割合に注目
 欧米の食事と日本食の違いの大きな点は、炭水化物の量にあります。逆にいうと、たんぱく質と油(脂質)が日本食と欧米食では大きく異なりますね。これは、カロリーはほぼ同じでも、ということです。炭水化物のエネルギーとたんぱく質・油のエネルギーの比率が日本食と逆になった、ということです。よって、とくに食前インスリン注射量が変わってくることになります。

 なぜなら、食前の速効型または超速効型インスリンの注射量は、食物中の炭水化物の量が一番大きく影響します。炭水化物をどの程度摂取するのか、ここに重点をおいて考えましょう。

食前の速効型または超速効型を減らす
 具体的には、アメリカにいって向こうの食事をするとなると、速効型または超速効型インスリンを日本の時の量より減らさないといけなくなります。日本にいたときと同じ量を注射すると食後2時間くらいでも、低血糖になりやすくなります。

 ある方は、日本での食前インスリン(速効型または超速効型)の量を2/3くらいにするとちょうどよかったとおっしゃっていました。

 まずは、食前インスリン(速効型または超速効型)の量をいつもの量より減らして、やってみるのがいいでしょう。

持効型溶解または中間型を増やす?
 食前インスリン(速効型または超速効型)の注射量が減った分、ベースのインスリン量(持効型溶解または中間型)を増加することになるかもしれません。これは翌朝の血糖をみて、調節できますね。

混合型製剤2回打ちの方は?
 混合型製剤の2回注射している方は、夕食前のインスリン量を減らすことになると、一度は寝る前の血糖測定も必要になるかもしれません。そして、調節していきます。

 ただ、混合型製剤2回注射の方は、使っている混合型製剤にあった調節のやり方を海外にでかける前に先生に聞いておきましょう。
 さて、いずれの場合も、帰国したらまた、もとに戻す必要があります。
3. 民族によって異なる食文化
 このようなことを考えていますと、民族によって、食事の内容が違うなあ、ということが分かります。もっと大所高所に立ちますと、農耕民族か狩猟民族かなどによって異なるのかもしれません。

 我々日本人はもちろん農耕民族です。タイもベトナムも同じ農耕民族です。お米が主食です。タイやベトナムに出かけるときは、日本と同じでよい、といえますね。

 中国も同じ農耕民族の食事かなと思っていたのですが、北京に出掛けてみて思うのですが、お米が主食であるとはいえないように思いました。食文化がどうもすこし違うように思いました。肉や油を多く使いますね。北京に住んでいる人は、騎馬民族の末裔でしょうか。

 日頃親しんでいる日本のお米食文化について知っておくことも、海外へ出掛けたときにインスリン注射量をきめるためにも必要になるのだと痛感する次第です。
©2007 内潟安子


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