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第2回
清水内科(群馬県高崎市) (3)
——尿糖自己測定(SMUG)使用者のデータを取っているそうですが。

小野澤:20例ほど取っています。確認する範囲ではS1の人とS2の人は、過去に(血糖)自己測定を、自分で針を刺して測っていました。

 清水内科で最初に使っていただいたS2の方は、67歳の女性の方なのですが、もう糖尿病歴自体がとても長いんですね。ほかのクリニックでインスリン療法を勧められたそうですが、やっぱりご自分で納得できずに、当院に転院されたという経緯があります。でも、来られても、それほどの改善がなく、8%を行ったり来たりをずっと続けていたんです。そこで、試しに尿糖自己測定(SMUG)を行ってみたら、血糖コントロールが改善されたということで、ご本人の成功体験になっています。この方は、食後のウオーキングを主にされていたのですが、どのポイントで歩いたら良いのかを、ご自身でモニタリングしながら気づかれていくので、逆に医療スタッフが学ばせていただいた部分もすごくありますね。


尿糖自己測定(SMUG)継続者(15名)のHbA1c変化
 
  S1 S2 S3 S4 S5 S6 S7 S8 S9 S10 S11 S12 S13 S14 S15
年 齢 69 67 55 59 50 65 72 45 76 76 76 66 65 66 62
性 別
HbA1c:SMUG開始時 8.7 8.1 7.4 9 9.8 8.8 9.3 8.4 6.9 7.4 8.6 7.2 6.7 8.9 7.3
HbA1c:SMUG
6カ月後
5.2 6.8 6.5 7.9 9.6 5.8 8.2 7 6.5 7.3 7.6 5.5 6.6 7.7 7.2
HbA1cの改善(>0.5%)
○:6ヵ月後HbA1c:0.5%低下、△:同0.1〜0.5%未満の低下


Dr. 安部:尿糖というのは食後1時間2時間の、おしっこが溜まる時間の間の、いわゆる血糖の高さを表していますよね。おしっこに糖が出るのは、160〜180mg/dL以上の血糖の時です。おしっこは1〜2時間の間に溜まったものですから、その時点での血糖値を見ているのではなく、1〜2時間前の高血糖状態をみているのです。“閾値”を理解するのが難しいのかもしれませんね。その辺で、よく患者さんたちが混乱します。

——尿糖値の意味を理解してもらうことが重要なのですね。

Dr. 安部:尿糖自己測定(SMUG)で、尿糖値の平均をずっと記録していって、これくらいにしていくと、次の月のHbA1cはこれくらいまで下がるだろうと予測がついてきます。尿糖の食後測定での積算なら、HbA1cを予測するためには使えるのではないかと考えています。

 そうすると、患者さんたちは尿糖を観察していくことによって、‘今度行ったときには必ずHbA1cは下げるぞ!’というようなことを予想して病院に来ることになります。すると、病院に来て測定を行うと自分の予想と検査結果が合うかどうかが楽しみになってくる。そんな受診の仕方をする方も出てきています。

 尿糖自己測定(SMUG)の平均値をきちんと出せる人は、次のHbA1cを予想できるかどうかというところが、今、面白い課題のひとつですね。

——血糖コントロールへの意識が高くなるんですね。

Dr. 安部:そういうことです。

小野澤:いま先生が仰った方は男性なのですが、その方は本当に予想どおりHbA1cが下がっていきました。

Dr. 安部:不思議なことに、昼と夜はしっかり食べているけど、朝ご飯は全然食べていない、もしくは、少なめにしか食べていないのに、血糖値は午前中が高い方。こういった方を尿糖で測ってみると、高い時間は、朝が高い人とか、夕方が高い人とか、いろんなパターンがあったりします。

 いちばん高い時間に動けば(運動すれば)、いちばん効率的なんじゃないかと。運動をして、いちばん良さそうな時間はここらへんじゃないの?なんて、(医療スタッフと患者さんが)一緒に考えると患者さんの方からアイデアを出してくるわけです。すると、栄養士さんは「そうですね」といえる。そして、やってみる。すると、確かにそこが下がる。

——ウオーキングと尿糖値の関係。

Dr. 安部:どうすると効果的か? それは、その人によって違うと思います。朝が効果的な人、夜が効果的な人、いろんな人がいます。どのような運動、運動量が良いですか? これも教科書がないわけで、その人、その人が見つけていくしかないのです。こんな程度で良かったのかとか、3分間のラジオ体操で良かったのかとか、自分でやりながら気づいてもらうしかありません。


尿糖値が高い朝食後にウォーキングを実施した例

朝食後の尿糖値

尿糖自己測定(SMUG)を開始してからの期間(月)

(出典:清水内科(2008 第11回日本病態栄養学会年次学術集会にて発表) )

——食後高血糖を見つけるのにも有用ですか?

Dr. 安部:もちろんそういうことですね。食後に測定して尿糖値が高いということは、食後の血糖値が高いということが証明されているわけです。逆に、減ったら、食後高血糖が良くなったということが言えるわけです。あと、食前から糖が出ている人は、無茶苦茶血糖値が高い人ですね。

小野澤:全然関係ないですけど、学校検尿も給食後の測定になったら、結果が全然違うんだろうなと思います。

Dr. 安部:早期発見したいなら、食後の測定ですよね。

——最後に一言お願いします。

Dr. 安部:何が良いか、どうすれば良いのかなどの答えは、医者が出さなくていいんです。患者本人が出しますから。尿糖自己測定(SMUG)もそのための手段のひとつだと思います。

——丁寧にご解説いただき、有難うございました。

■Profile

●清水内科 ⇒ホームページはコチラ
 年間延べ2千数百名の糖尿病患者さんを抱える糖尿病専門病院。日本糖尿病学会での発表や著作も多く、30年以上交流の続く患者の会「きしゃご会」や、きしゃご(おはじき)を使った糖尿病食事指導なども有名。

●安部 純 先生 (前列右から2番目)
 群馬大学医学部卒・同第一内科入局、富岡厚生病院、小海赤十字病院などを歴任し、清水内科副院長就任。平成11年より同院院長、現在に至る。日本糖尿病学会専門医、群馬県糖尿病協会理事・指導医、きしゃご会指導医、群馬県糖尿病メディカルスタッフの会(グメスの会)会長、群馬県有床診療所協議会副会長、群馬県臨床内科医会副会長など。

●小野澤しのぶ さん (左端)
 管理栄養士、糖尿病療養指導士。

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2010年07月 


※2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わされるようになりました。過去のコンテンツの一部にはこの変更に未対応の部分があります。

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