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2007年07月06日

カナダ流 健康的な食生活のための食事ガイド

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 カナダ保健省は今年2月に、「カナダ:健康的な食生活のための食事ガイド(Canada's Food Guide to Healthy Eating )」を発表した。
Health Canada ホームページ

 カナダ糖尿病協会の発表によると、カナダの総人口約3,100万人のうち、2000年の糖尿病有病数はおよそ200万人以上。2010年までに300万人に増加すると予測している。90%が2型糖尿病で、10%が1型糖尿病とみている。
カナダは多民族の国
 カナダといえば、豊潤な大自然を思い描く人が多い。極北のオーロラやロッキー山脈、広々とした大平原。しかし、カナダが移民の受け入れに積極的な、多様な民族や文化のある国であることは、意外に知られてない。

 様々な民族を抱えているので、国民のライフスタイルも多様だ。糖尿病の予防や治療に向けた対策を講じるのは簡単ではない。

 白人では、全体に高齢化し肥満が増えており、不健康なライフスタイルが定着しているおそれがある。また、移民の77%は中南米、南アジア、アフリカなどから移住してきた。これらの地域はもともと2型糖尿病の発症率が高い。カナダの先住民の糖尿病発症率も高く、発症率はカナダ平均の3倍から5倍高い。子供の肥満や糖尿病が増えているという報告もある。

 年齢や民族などによって2型糖尿病になりやすい人と、そうでない人がいる。こうした個々の人にそなわった条件は変更できない。しかし、食事や運動を見直し、肥満を解消し、高血圧や脂質異常を治療して改善すれば、糖尿病の予防や、糖尿病合併症の予防は可能だ。

 カナダ糖尿病協会は、年齢が40歳を過ぎると2型糖尿病の発症リスクが高くなっていくので、糖尿病の兆候を見逃さないようにし、検診を受けることが大切と呼びかけている。

食生活を改善するための食事ガイド
 カナダ糖尿病協会がつくった食事ガイドでは、食品は4つの群に分けられる。それぞれの群から適正な量(サービング)をとることを勧めている。

1. 食事を1日3食、決まった時間にとりましょう。食事と食事のあいだに6時間以上空けないようにしましょう。 規則的な生活をおくれば血糖の変化は安定します。
2. デザート、お菓子、ジャム、蜂蜜など糖分の多い甘い食品を控えましょう。 糖分をとりすぎると血糖値は高くなります。薄味であっても、続ければ味覚が慣れてきて、おいしく感じるようになります。
3. 油で揚げた食品や高カロリーの食品を控えましょう。 体重を増やさないように注意しましょう。
4. 全粒粉のパン、豆類(レンズ豆、エンドウなど)、玄米、野菜、果物など、食物繊維の多い食品をとりましょう。 食物繊維は食後の血糖値や、コレステロール値の上昇を抑える助けになります。
5. 喉が渇いたら、糖分の多い飲みものを避けて、水を飲みましょう。 カロリーの多い飲みものがたくさんあるので気をつけましょう。
6. からだを動かす習慣を身に付けましょう。規則的な食事と運動が、血糖コントロールを改善します。 運動はストレス解消の手段にもなります。
カナダでも糖尿病の増加は深刻
 カナダでは毎年4万1,500人が、心筋梗塞などの心疾患や、脳梗塞など糖尿病に関連した病気で亡くなっている。糖尿病のある人は、そうでない人に比べ死亡率が高くなる。例えば、35歳の糖尿病患者では同年齢の健常者に比べ死亡率が4倍高くなり、2型糖尿病の患者の平均寿命は健常に比べ5年から10年短くなると警告している。

 糖尿病の医療費の負担も深刻だ。糖尿病患者の医療費は、健常者に比べ2倍から3倍になる。年間医療費は日本円に換算すると12万円から180万円。合併症の治療費を含む糖尿病による経済的な損失は毎年132億円に上る。有効な対策を施さないと、糖尿病の医療費は2010年に156億円に、2020年に192億円にふくれあがるという。

詳しくはカナダ糖尿病協会のホームページへ(英文)

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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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