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メトホルミンの副作用「乳酸アシドーシス」を抑える治療法を開発
2017年07月14日

 メトホルミンの深刻な副作用である「乳酸アシドーシス」を抑える可能性のある治療薬を発見したと九州大学が発表した。
メトホルミンの副作用「乳酸アシドーシス」は深刻
 九州大学は、糖尿病治療薬である「メトホルミン」の深刻な副作用である「乳酸アシドーシス」に対して、低酸素状態に対する生体応答反応(低酸素応答)を活性化する薬剤が、治療薬として極めて有効であることを明らかにしたと発表した。

 「メトホルミン」は、ビグアナイド(BG)薬に分類される血糖降下薬の一種。筋肉細胞のインスリン抵抗性を改善しブドウ糖の利用を促したり、肝臓の糖新生を抑えることで血糖値を下げる。

 メトホルミンは、世界でもっとも多く処方されている2型糖尿病の治療薬で、血糖値を下げる以外にも、がん細胞の増殖抑制・発がん率の低下・寿命の延長など、さまざまな作用があることが報告されている。

 60年以上使用されている実績のある薬で、薬価も安いことから、今後世界中で利用者が増加すると予想されている。

 しかし、腎機能が低下した人がメトホルミンを内服すると、致死率が約50%の「メトホルミン関連乳酸アシドーシス」(MALA)を副作用として発症するおそれがあることが問題となっている。

 ブドウ糖がエネルギーとして利用される際、酸素供給が十分でない場合に、乳酸という物質が発生し血液中に放出される。この乳酸の量が多くなり過ぎると、それによって血液が酸性化して「乳酸アシドーシス」と呼ばれる状態になる。治療の緊急度が高い、危険な状態だ。

 症状は、腹痛、嘔吐、早い呼吸、意識障害、昏睡など。原因として、肝臓や腎臓、心臓の病気のほか、糖尿病もあげられる。とくに、多量の飲酒時や感染症にかかったときなどに起こりやすくなる。

 腎機能障害は乳酸アシドーシスのもっとも注意が必要な危険因子だ。高齢者では、潜在的に腎機能が低下していることが多いことから、十分な注意が必要となる。

PHD阻害薬が「乳酸アシドーシス」の特効薬となる可能性
 研究チームは、酸素濃度センサー分子である「プロリン水酸化酵素PHD」の酵素活性を抑制する薬剤(PHD阻害剤)によって、乳酸からのブドウ糖の合成(糖新生)に関与する遺伝子群の発現が上昇し、血中乳酸の肝臓や腎臓への取り込みが亢進することを発見した。

 さらに、乳酸アシドーシスを発症したマウスにPHD阻害剤を投与すると、生存率が劇的に改善することを確かめた。

 この成果により、これまで対症療法しか治療法がなかった乳酸アシドーシスに対して、PHD阻害剤が特効薬となる可能性が示された。

 メトホルミンは全世界で1億2,000万人以上が服用している優れた糖尿病治療薬だが、発症頻度は低いながらもひとたび発症すると致死的な乳酸アシドーシスという副作用が利用の拡大を妨げていた。

 この研究は、九州大学生体防御医学研究所の南嶋洋司特任准教授および慶應義塾大学医学部医化学教室・麻酔学教室の研究グループが行ったもの。研究成果は米科学誌「Molecular and Cellular Biology」オンライン版に発表された。

 今回の研究成果により、メトホルミン内服に限らず、致死的乳酸アシドーシスへの確実な救済策の確立を期待したいと、研究グループは述べている。
九州大学生体防御医学研究所
[ Terahata ]
カテゴリー :  医薬品/インスリン  医療の進歩  

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