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高齢者対象の「高血圧診療ガイドライン」 高齢者の降圧には注意が必要
2017年06月28日

 日本老年医学会は、「高齢者高血圧診療ガイドライン2017」を作成し、ホームページで公開を始めた。高血圧の高齢者に対する診断や治療に携わる医師らを対象にしたものだが、誰でもダウンロードし閲覧が可能だ。
高齢者の降圧治療は重要
 新ガイドラインでは、高齢高血圧患者においても降圧治療による合併症の一次・二次予防の意義は確立していると指摘。

 「高度に機能が障害されていない高齢者に対する降圧治療は、年齢に関わらず心血管病の発症を抑制し生命予後を改善するので行う」(グレードA)としている。

 高齢者高血圧に対する降圧薬治療を、脳心血管病予防を介してフレイルへの移行や増悪を抑制する観点から推奨している。
糖尿病患者などは「まず年齢による降圧目標を達成」
 降圧開始基準の血圧値ならびに降圧目標値については、日本高血圧学会のガイドライン(JSH2014)に沿った数値が提示された。

 「65〜74歳には140/90mmHg以上の血圧レベルを降圧薬開始基準として推奨し、管理目標140/90mmHg未満にする」(グレードA)、「75歳以上では150/90mmHgを当初の目標とし、忍容性があれば140/90mmHg未満を降圧目標とする」(グレードA)としている。

 糖尿病、蛋白尿を有する慢性腎臓病(CKD)、脳心血管病の既往患者では、「年齢による降圧目標よりも高値の血圧値を降圧薬開始基準とする」としている。「降圧目標もまず年齢による降圧目標を達成する。忍容性があれば過度の降圧に注意してより低い値を目指すことが推奨される」(グレードB)。
降圧薬が転倒やフレイルを促すことも
 一方で、降圧薬の治療と認知機能やフレイルとの関連や、介護施設の入所者や終末期の人に対する降圧療法の留意点なども盛り込んでいる。

 「新規に降圧治療を開始した際には、転倒リスクが上昇しフレイルへの移行が促進される可能性があるので注意する」(グレードB)。「高齢者では食後低血圧も考慮して、食後のめまい、ふらつき、失神等の症状に関する問診を行う」(グレードB)。

 血圧が高い高齢者への降圧薬の治療に関しては、認知症の発症を抑制したり、認知機能障害のある人の症状の悪化を抑えたりする可能性があるが、「まだ一定の結論は得られていない」とした。

 さらに高血圧治療に使う利尿薬の種類によっては、骨折リスクや夜間頻尿に影響を与える可能性も指摘している。

 また、身体機能が低下している介護施設の入所者への降圧療法については、「高度な身体機能低下を伴う場合は厳格な降圧療法が予後を悪化させる可能性がある。一方で、比較的壮健な場合は厳格な降圧療法が予後を改善させる可能性もあるため、個別に判断する」(グレード B)としている。
終末期の高齢者には「降圧の中止も検討」
 終末期の高齢者への降圧療法は、その意義が乏しいことから、「降圧薬の中止も積極的に検討する」ことを推奨している。

 なお、日本老年医学会は5月に日本糖尿病学会と合同で、65歳以上の糖尿病患者を対象にしたガイドラインを公表。今年度中に、脂質異常症や肥満の診療についても高齢者を対象にしたガイドラインを発表する予定だ。

 高齢者の身体機能や認知機能が低下して虚弱となった状態を「フレイル」と呼び、要介護予備群として注目されている。

日本老年医学会
  高齢者高血圧診療ガイドライン2017
[ Terahata ]

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