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糖尿病の医療費 合併症を発症すると負担が数倍に跳ね上がる
2018年06月14日

 糖尿病の医療費を抑えるために必要なのは、合併症の予防であることが、ドイツの研究で明らかになった。
 2型糖尿病の医療費は年間65万円ぐらいだが、糖尿病合併症のひとつである腎症により人工透析を開始した場合、医療費ははじめの四半期だけで300万円に跳ね上がるという。
糖尿病合併症が医療費を増やしている
 糖尿病のさまざまな合併症は医療費の負担を増加させることが、ドイツで30万人以上の糖尿病患者の医療保険のデータを調査した研究で明らかになった。

 世界全体では糖尿病の医療費は、医療費全体の12%を占め、80兆円(7,270億ドル)に上る。

 「糖尿病の医療費を抑えるために必要なのは、適切な治療を続けて、合併症を予防することです」と、研究者は強調している。

 研究は、ドイツ糖尿病研究センター(DZD)が資金提供して行われたもので、米国糖尿病学会(ADA)が発行する医学誌「Diabetes Care」に発表された。
糖尿病による社会的な負担が増大
 糖尿病は初期の段階であっても、高血糖や脂質異常などが長時間持続することで、血管や臓器に障害がもたらされる。

 全身のあらゆる臓器に障害が起こりうるが、とくに細小血管症では、失明につながる網膜症や、腎不全を引き起こす腎症がある。大血管症では、心筋梗塞などの冠動脈疾患、脳血管障害などがある。足の切断につながる足病変も、深刻な糖尿病の合併症だ。

 ドイツの2型糖尿病の患者数は約700万人と推計されている。糖尿病の医療費は患者1人当たり年間に約65万円に上るとみられている。

 「糖尿病患者の数が増え、糖尿病による社会的な負担は増大しています。研究の目的は、医療保険で負担している糖尿病の医療費を調べることです」と、ミュンヘン環境健康研究センター(HZM)のカタリナ カーム氏は言う。
糖尿病合併症の医療費は高額
 研究チームは、ドイツの2型糖尿病患者31万6,220人の2012〜2015年のデータを調べた。

 ドイツの保険診療の明細書のデータをもとに、2型糖尿病の有病率が高い60〜69歳の男性の医療費を抽出した。糖尿病の合併症により四半期にどれだけの医療費がかかったかを調べた。

 その結果、糖尿病の合併症の医療費は、下記の通り高額になることが分かった。

  ・ 糖尿病網膜症 9.1万円(700ユーロ)
  ・ 失明 39万円(3,000ユーロ)
  ・ 腎障害 44.2万円(3,400ユーロ)
  ・ 腎不全(透析導入) 300万円(2万3,000ユーロ)
  ・ 糖尿病足病変 16.9万円(1,300ユーロ)
  ・ 足切断 182万円(1万4,000ユーロ)

 「糖尿病の医療費は、治療が長期にわたり続く慢性疾患です。糖尿病合併症を発症すると、医療費は数倍に跳ね上がります」と、カーム氏は言う。

 心血管疾患および脳血管疾患の医療費の負担は幅がある。狭心症の医療費は35万円(2,700ユーロ)ほどだが、致死性の高い虚血性心疾患は260万円(2万ユーロ)になり、いずれも深刻だ。
合併症を長期にわたり防ぐ予防プログラムが必要
 「糖尿病の合併症は発症した四半期の医療費が高いのですが、その後も医療費は増えていきます」と、カーム氏は言う。

 合併症を発症すると、患者の生活の質(QOL)が大きく低下するだけではない。増加する医療費は、患者にとって大きな負担になるが、国の財政にとっても深刻なダメージになる。

 糖尿病の医療の重要な目標は、合併症を長期にわたり防ぐ予防プログラムを整備することだという。「糖尿病の医療費について詳しい解析をできたことで、合併症を防ぐことがいかに重要であるかが、より明確になりました」と、研究者は述べている。

 「2型糖尿病の予防・治療するためのプログラムを策定し、糖尿病をコントロールすることが、国の政策として優先度が高いことが示されました。今後は高血圧や脂質異常症など、併発している疾患による経済的影響についても調査する予定です」としている。

Type 2 diabetes: the costs of treating complications(ミュンヘン環境健康研究センター 2018年2月2日)
Health Care Costs Associated With Incident Complications in Patients With Type 2 Diabetes in Germany(Diabetes Care 2018年5月)
[ Terahata ]

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