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2024年04月05日

「植物ベースの食事」が糖尿病リスクを軽減 高血圧も改善 肝臓と腎臓を守る

 植物ベースの健康的な食事スタイルにより、糖尿病リスクを24%軽減できるという研究が発表された。

 植物ベースの食事がもたらすプラス効果として、肥満リスクの低下に加えて、代謝の改善や、肝臓と腎臓の機能の改善をあげられている。

 植物ベースの食事は血圧を下げるためにも有利であることが示されている。肉や乳製品などの動物性食品を食べるときは、野菜などの植物性食品も食べることが大切としている。

植物ベースの食事が糖尿病リスクを24%軽減

 植物ベースの健康的な食事スタイルにより、糖尿病リスクを24%軽減できるという研究を、オーストリアのウィーン医科大学が発表した。

 新鮮な野菜・全粒穀物・豆類・大豆類・海藻類・ナッツ・キノコ・果物などを十分に食べる食事スタイルは、2型糖尿病の遺伝的素因があったり、肥満などの危険因子があったり、高齢者や運動不足の人でも、糖尿病リスクの減少と関連しているという。

 「2型糖尿病のリスクの少なくとも75%は、健康的な生活スタイルを実行することで、抑制できる可能性があります」と、同大学公衆衛生センターのティルマン キューン氏は言う。

 「とくに工業的に大量に生産された超加工食品や、糖質の多い多い高カロリーの食品を、植物性食品に置き替えると、効果を期待できます」としている。

 研究グループは今回、英国で実施されている大規模コホート研究である「UKバイオバンク」参加した11万3,097人を対象に、12年間追跡した調査のデータを解析した。研究成果は、「Diabetes & Metabolism」に掲載された。

肝臓と腎臓の機能を良好に保つことが大切

 植物ベースの健康的な食事スタイルがもたらすプラス効果として、肥満リスクの低下に加えて、代謝の改善や、肝臓と腎臓の機能の改善をあげている。

 「今回の研究で、2型糖尿病を予防・改善するために、肝臓と腎臓の機能を良好に保つことが、いかに重要であるかが示されました」と、キューン氏は指摘している。

 2型糖尿病の人は、糖の代謝を調節し、血糖値を一定に保つ働きをするホルモンであるインスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」がある場合が多い。

 炭水化物を摂取して、腸管から吸収されたグルコース(ブドウ糖)は、門脈を通って肝臓に取り込まれる。インスリンは、肝臓内の糖の量を減らしたり、血液中の糖を肝臓に取り込んだりして、血液中の糖の量(血糖値)が適切になるように管理している。

 インスリン抵抗性があると、肝臓内の糖の量が増え、血液中の糖を肝臓に取り込むことができなくなり、血糖値が高くなる。

 また、食事で過剰に摂取した脂肪が肝臓にたまったり、食事で過剰に摂取した糖が中性脂肪に変換されて肝臓にたまり、脂肪肝にもなりやすい。

健康的な食事で肝臓と腎臓を改善

 さらに腎臓は、糸球体で血液中の余分な水分や塩分、老廃物などをろ過するなど重要な働きをしているが、その働きが低下すると慢性腎臓病になる。

 腎臓病の発症には、糖尿病と高血圧がもっとも大きく影響する。透析治療の原因となる腎臓病の原因では、糖尿病が約4割を占めている。さらに、肥満やメタボ、脂質異常症、動脈硬化なども、腎臓病に影響する。

 「植物ベースの健康的な食事により、肝臓と腎臓の機能を改善でき、それにより糖尿病リスクを軽減できることが示されました」と、キューン氏は言う。

 糖尿病とともに生きる人は、医療機関で検査を定期的に受け、血糖やHbA1c、中性脂肪(トリグリセリド)、炎症のマーカーであるC反応性タンパク(CRP)、インスリン様成長因子(IGF)などの値に注意を向ける必要があるとしている。

植物ベースの食事は血圧を下げるのにも効果的

 植物ベースの食事は血圧を下げるためにも有利であることが、英国のウォリック大学による別の研究で示されている。肉や乳製品などの動物性食品を食べるときは、野菜などの植物性食品も食べることが大切としている。

 「植物性食品を十分に食べることを習慣にして、血圧が大幅に低下すると、脳卒中のリスクは14%減少し、心臓病のリスクは9%減少し、全体の死亡リスクは7%減少することが示されました」と、同大学生命科学部のジョシュア ギブス氏は言う。

 高血圧は、脳卒中や心血管疾患、腎臓病など、糖尿病の人にも多い疾患のリスクを高める。糖尿病と高血圧は相互に関連しており、糖尿病の人は高血圧にも注意が必要となる。

動物性食品を食べるときは植物性食品も食べることが重要

 研究グループは、計8,416人を対象とした41件の研究を解析し、高血圧の予防・改善のために開発された食事スタイルである「DASHダイエット」は効果が高いことを明らかにした。

 「DASHダイエット」は、米国国立心肺血液研究所(NHLBI)が開発したもので、減塩しながら、脂肪分の少ない肉や魚、玄米や全粒パンなどの全粒穀物、野菜・ナッツ・豆類などを積極的に食べ、タンパク質・カリウム・カルシウム・マグネシウム・食物繊維などを十分にとることが勧められている。

 この食事法を続けている人は、不健康な食事をしている人に比べて、平均して最高血圧は8.74mmHg、最低血圧は6.05mmHg低いことが示された。

 「すべての人が植物性食品のみを食べるヴィーガンダイエットをしなければならないわけではなく、肉や牛乳などの乳製品など、動物性食品を食べることも必要ですが、意識して植物性食品も食べるようにすると、健康への好ましい影響を期待できます」と、ギブス氏は指摘している。

 研究者によると、植物性食品を増やすことで、食品の生産の過程で排出される温室効果ガスも大幅に削減できる。人間の活動による土地利用の削減や、地球規模の水の保全にも貢献し、世界の食料の持続可能性と安全保障にも役立つとしている。

Healthy plant-based diet reduces diabetes risk by 24 per cent (ウィーン医科大学 2023年12月11日)
A healthful plant-based diet is associated with lower type 2 diabetes risk via improved metabolic state and organ function: A prospective cohort study ( Diabetes & Metabolism 2024年1月)
Plant-based diets shown to lower blood pressure even with limited meat and dairy (ウォリック大学 2020年7月25日)
The effect of plant-based dietary patterns on blood pressure: a systematic review and meta-analysis of controlled intervention trials (Journal of Hypertension 2021年1月)
DASH diet: Healthy eating to lower your blood pressure (メイヨークリニック 2023年5月25日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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