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2024年04月08日

タバコは糖尿病リスクを高める 禁煙すると合併症リスクは大幅に減少 禁煙後に太るのをどうすれば防げる?

 糖尿病とともに生きる人は、糖尿病の適切な治療を受け、タバコを吸う人は禁煙に取り組むと、糖尿病に関連する心血管疾患のリスクを大幅に減らすことができることが明らかになっている。

 一方で、禁煙後に体重が増えるのを気にして、禁煙をためらっている人は多い。

 しかし、喫煙を続けていると、とくに内臓脂肪が増えやすくなり、長期的にみるとやはり、禁煙に取り組むことで得られるメリットは大きいことが明らかになった。

 禁煙に取り組み、健康的な生活を維持していれば、寿命を最大で7年延長できることも示された。禁煙後に体重をなるべく増やさないようにするコツも紹介されている。

糖尿病の人が禁煙すると心血管疾患のリスクは大幅に減少

 糖尿病とともに生きる人は、糖尿病の適切な治療を受け、タバコを吸う人は禁煙に取り組むと、糖尿病に関連する心血管疾患のリスクを大幅に減らすことができることが、スウェーデンのヨーテボリ大学の研究で明らかになっている。

 2型糖尿病のある人は、生活改善と禁煙に取り組み、糖尿病の治療を受けることで、心臓病や脳卒中、死亡のリスクの上昇をわずか10%におさえることができることが示された。

 しかし、タバコを吸う習慣があり、治療を受けないでいると、心臓病や心不全、脳卒中のリスクは10倍に、早期死亡のリスクは5倍に跳ね上がるという。

喫煙は早死のもっとも重要な危険因子

 研究グループは、スウェーデン糖尿病データベースに登録された、約30万人の2型糖尿病患者の1998年~2014年のデータを用い、性別や年齢が一致する最大5倍の一般集団と比較対照した。

 「これは間違いなく良いニュースです。糖尿病のある人は、血糖・血圧・血中脂質・腎機能などを適切に管理できていると、心臓病・脳卒中・早死などのリスクを大きく減少できることが分かりました」と、同大学医学研究所のアイディン ローシャニ氏は言う。

 「とくに、タバコを吸う習慣のある人は、禁煙をすることが大切です。喫煙は早死のもっとも重要な危険因子であり、血糖値の上昇は心臓病や脳卒中などの危険因子であることが判明しました」としている。

禁煙後に体重が増えても禁煙のメリットは大きい

 一方で、禁煙後に体重が増えるのを気にして、禁煙をためらっている人は多い。禁煙すると、基礎代謝が落ち、食欲が増加するため、体重を2~4kg増やす人が多いという報告もある。

 しかし、デンマークのコペンハーゲン大学の研究により、喫煙を生涯続けている人は、とくに内臓脂肪が増えやすいことが明らかになった。

 禁煙後に一時的に体重が増えたとしても、食事や運動などに気を付ければ体重管理は可能であり、長期的にみれば、内臓脂肪の減少につながり、禁煙するメリットの方が多いとしている。

 研究グループは、遺伝子研究の成果にもとづくメンデルランダム化と呼ばれる手法を使い、最大69万7,734人を対象に、喫煙と内臓脂肪の増加との関連について解析した。

なぜ禁煙すると太りやすくなる?

 欧州内分泌学会(ESE)が発表した別の研究では、禁煙後に体重が増えやすくなるのは、血糖値を調整するホルモンであるインスリンの分泌に変化が生じるからである可能性が示された。

 ウィーンのヒーツィング病院が、禁煙プログラムに参加している喫煙者を対象に、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を実施したところ、禁煙に取り組んだ人は、インスリン感受性が低下し、インスリンが効きにくくなる傾向があることが示された。

 参加者は禁煙の3ヵ月後に、平均して体重を4%、体脂肪を22%、それぞれ増やしていた。それにともない、食事での炭水化物の摂取が増え、インスリンが効きにくくなっていることが分かった。

どうすれば禁煙後の体重増加を防げる?

 「禁煙に取り組む人は、インスリン分泌に変化が生じ、炭水化物への渇望が増え、体重が増える可能性があります」と、同病院のマリエッタ シュタードラー氏は言う。

 「しかし、禁煙にともなうそうした変化は、一時的なものとみられます。参加者の多くは、禁煙の6ヵ月後にはそうした変化はみられなくなりました」としている。

 長期的にみるとやはり、禁煙に取り組むことで得られるメリットは、喫煙を続けるデメリットを大きく上回るという。

 シュタードラー氏は、禁煙後に体重をなるべく増やさないために、▼健康的な食事をとり、意識的にゆっくりとよく噛んで食べるようにする、▼ウォーキングなどの活発な有酸素運動を行い、禁煙後のタバコへの渇望感やイライラなどの離脱症状を減らす、▼糖質の入っていないガムや飲み物など、間食を工夫する、▼1日1回体重測定を行い、スマホアプリなどで記録することなどを勧めている。

タバコを吸わない健康的な生活スタイルにより
寿命を最大で7年延長できる

 タバコを吸う習慣のある人は、禁煙に取り組み、標準的な体重を維持し、アルコールの飲みすぎを減らすことで、寿命を最大で7年延長でき、健康でいられる期間も長くできるという研究が発表されている。

 「平均寿命と健康寿命を短縮する3つの大きな要因は、喫煙、肥満、お酒の飲みすぎです。とくに喫煙は、早期死亡と関連していることが示されました」と、ドイツのマックス プランク人口統計研究所のミッコ ミルスキュラ所長は言う。

 「タバコを吸わず、食事や運動などの生活スタイルを見直すことで、お金をかけずに、より健康で長生きできるようになります」としている。

 研究グループは、米国の全国的な縦断調査である「健康と退職に関する研究」(HRS)に参加した、50歳~89歳の成人1万4,000人以上の1998年~2012年のデータを解析した。

 その結果、健康リスクがもっとも低いグループともっとも高いグループのあいだに、平均寿命に大きな差があることが分かった。もっとも長生きするのは、タバコを吸わず、肥満がなく、適度の飲酒をしている男性で、寿命は平均で11年長かった。

 「医療の進歩により、平均寿命は延びていますが、いくら寿命が長くなっても、身体的な制限を抱えて生きなければならない期間が長いと、生活の質は低下します。生活スタイルを改善することは、健康寿命の延長につながります」と、ミルスキュラ所長は指摘している。

Cardiovascular disease related to type 2 diabetes can be reduced significantly (ヨーテボリ大学 2018年8月16日)
Risk Factors, Mortality, and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes (New England Journal of Medicine 2018年8月15日)
The irony of smoking to stay thin: smoking increases belly fat (英国依存症研究協会 2024年3月21日)
Estimating causality between smoking and abdominal obesity by Mendelian randomization (Addiction 2024年3月20日)
Increased bodyweight after stopping smoking may be due to changes in insulin secretion (欧州内分泌学会 2012年5月7日)
Effects of smoking cessation on β-cell function, insulin sensitivity, body weight, and appetite (European Journal of Endocrinology 2014年2月1日)
A healthy lifestyle increases life expectancy by up to seven years (マックス プランク人口統計研究所 2017年7月20日)
The Population Health Benefits Of A Healthy Lifestyle: Life Expectancy Increased And Onset Of Disability Delayed (Health Affairs 2017年8月)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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