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34吸入インスリンの道 けわし
内潟安子  東京女子医科大学 糖尿病センター教授
2008年04月
 アメリカなど海外ですでに市販されていた吸入インスリン製剤が、とうとう、やっと?!、日本にも上陸することになり、市販に向けての露払いとして、2007年には2社の製薬メーカーの臨床試験が始まっていたことは、以前お知らせしました。
P社は2007年臨床試験を断念
 P社の臨床試験は、日本ではL社に遅れて開始。1型糖尿病と2型糖尿病の方を対象にはじまりましたが、2007年10月に、全世界で行われていたP社の臨床試験が中止となりました。
 痛くないインスリンという触れ込みで多くの患者さんにたくさん使用されるだろうと見込まれたようですが、思ったほどアメリカでは使用されなかったようです。
 原因のひとつは、P社の吸入デバイスが大きいこと、デバイスの操作が煩雑、呼吸機能の検査が義務付けられていること、喫煙者は使えない、コントロールができていない喘息の方も使えないなどのしばりが、使用の拡大につながらなかったようです。薬剤自体の安全性には問題なかったとされています。*
* 2008年4月10日(米国では4月9日)、P社は吸入インスリン臨床試験後の警告(全員過去に喫煙歴がある)を出しました。P社のHPでリリース(英文)が公開されました。
L社も断念することに
 L社の吸入インスリンの臨床試験は、日本ではP社のそれよりも以前から準備が始まり、アジアでは日本と台湾の1型糖尿病患者さんを対象にまず開始となりました。
 6カ月間の臨床試験がそろそろ終了するころであり、また2型糖尿病の患者さんを対象に開始されはじめたのですが、2008年3月、急なことですが、全世界で展開していたL社の臨床試験もやはり中止となりました。
 P社と同様に、吸入インスリン製剤の安全性の懸念から中止されたわけではなさそうです。やはり、どんな患者さんにも使用できるというわけではない、つまり禁煙していないといけないなど、肺機能検査の義務づけなどもろもろのことが、製薬メーカーには製剤として市販されるまでの高いハードルとなるようです。コストにも跳ね返るわけですね。
今後のインスリン製剤に期待を!
 インスリン注射という方法はまんざらでもない、これは参加したみなさんの多くの意見です。比較してみれば、注射という方法もまんざらではないな、という気持ちでしょう。なぜなら、「吸うこと」が意外にやっかいなのです。それに、いつも同じ吸い込みができにくいのです。よって、血糖値にもぶれがでてきます。
 しかし、意外といったらおかしいのですが、血糖値はしっかりと下がりました。超速効型インスリンのように効き始めが早い割には、超速効型インスリンより長く効いているようです。
 咳などの副作用にはあまり気をつかわなくていいようです。
 でも、きっと、また新しいインスリン製剤の臨床試験がなされるときが来ると思っています。
©2008 内潟安子


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