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第2回
根岸内科代謝クリニック(埼玉県ふじみ野市) (1)
 経済的な負担も小さく、使い方も手軽な尿試験紙(尿検査薬)。いくつかのポイントを守ってもらえれば、高齢者でも、痛いのが苦手な患者さんでも受け入れてもらいやすく、糖尿病患者さんを指導する医療スタッフ側にも、説明や管理が楽、というメリットがあるといいます。手軽にできる自己管理の1つとして、療養指導に活用している根岸内科代謝クリニック院長の根岸清彦先生にお話を伺いました。

——貴院では、尿糖試験紙を日常的に使っているとのことですが、尿糖自己測定(SMUG)はいつごろから行っていますか?

根岸清彦先生

根岸:私が大学病院にいたころの20年以上前から着目して使用しています。血糖自己測定(SMBG)が健康保険で認められるようになって、その後、血糖自己測定が盛んに行われるようになったのですが、インスリン療法が適用されている人以外は保険適用になっていなかったので、なかなか自分の血糖の状態を簡単に把握する方法がないということで、尿糖測定を始めました。通常は、外来などでの診察の前に検尿しているので、それをご自宅でもやってもらおうと思ったのが発端です。

——血糖測定でなく、なぜ尿糖測定?

根岸:SMBGも、最近のCGM(持続血糖測定)を使って比較してみると、1日の血糖のプロファイルをそんなに反映していないということがわかってきて、たまたま低かったり、たまたま高かったりすることが結構多いんですよね。

——意味のある高さなのかが気になりますね。

根岸:そう。だから、それこそ1時間おきにでもSMBGをやれば、きっちりとした1日の血糖のプロファイルがわかるのかもしれないけれど、現在推奨されているような1日3〜7回くらいの血糖測定では、必ずしもそれが1日の血糖のプロファイルをそのまま反映しているとは限らないということが、最近わかってきた。

 もちろん、やらないよりはやった方が良いということはあるけれども、それを鵜呑みにすることはなかなかできない。この時間帯がすごく(血糖が)高かったから、ここでインスリンを増やしていきましょうとか、ここが低いからインスリンはそのまま、あるいは減らしてもいいかというと、実は、ほかの日では結構高かったり。採血するタイミングが少し違っただけでも、血糖値がずいぶん違ってくるとかいうことが、CGMを使ってみるとわかるので、必ずしもSMBGは1日の患者さんのプロファイルを表してはいないのではと感じて。

——使い分けた方が良い場面もあるんですね。

根岸:昔から患者さんに血糖測定と尿糖測定の違いをよく訊かれて、血糖値は採血をした瞬間の血糖値であり、30分前、1時間前の血糖は反映しているわけではないし、将来の血糖値もそれではなかなか予測しづらい。しかし、尿糖というのは、一般的には血糖値が160mg/dL以上になってくると尿糖が出始め、血糖値が高ければ高いほど尿糖の出方も多くなるので、ある一定時間、膀胱に溜まった尿の中の糖を調べることによって、一定の時間内にどのくらい血糖値が上がってきたかがわかります。

 それを糖尿病教室や患者さんの啓発の会のときに話をしていたら、私も尿糖を調べてみようかな、という患者さんが出てきて、それなら病院できちんと尿糖測定をやってみたら?と。それが診察で尿糖測定をやるようになったきっかけです。

——尿糖測定のメリットは?

根岸:一番のメリットは、まず経済的な負担が少ないということ。そして、痛みがないこと。尿を出すというのは自然なことなので、患者さんの心理的な抵抗感も少ない。また、検査方法が簡単なので、相当なお年寄りでもできます。

 実際はSMBGがこれだけ普及していますので、SMBGが最も良い方法だと思われていますが、実際に自分でSMBGをやってみると、インスリン注射をするよりもずっと痛いと仰る方が多いのです。針がやっぱり、どうしても。

 あれを1日7回やってくださいっていうのは、実際なかなか難しい。とくに2型でインスリン注射をしていないという患者さんにやってもらうのは、いろんな意味で非常に大変。ですから、できる人とできない人というのがどうしても出てくるんです。ところが、尿糖だったら、まず誰でもできる。

 それでまったく役に立たないのであれば、あまり意味がないのかもしれないけれど、少なくとも今までやっていて、非常に有用なので、尿糖はもっと見直されていいと思っているんですよね。

——尿糖測定は、あまりポピュラーでないことが多いですか?

根岸:海外でもいくつか論文が出ているので、まったく扱っていないことはないと思います。日本でもそうですが、何と言っても、尿糖測定は古くから行われている検査なので、これをどう活用するかを改めて研究する人が少ないのかもしれません。

 医療者側として非常に便利なのは、SMBGはある程度トレーニングされた医療スタッフがしっかり説明して管理しないといけませんが、尿糖測定は、療養指導経験のない医療スタッフでも説明が簡単です。どこでも誰でもできるというところが大きなメリットですよね。どこの病院でも診療所でも、特別なスタッフがいなくてもできる。

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2010年07月 


※2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わされるようになりました。過去のコンテンツの一部にはこの変更に未対応の部分があります。

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