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第2回
根岸内科代謝クリニック(埼玉県ふじみ野市) (3)
根岸:まず、患者さんに説明する際のポイントは2つあります。1つ目は、食前にトイレへ行って完全に排尿してくださいということ。2つ目は、食後いつ尿を採ればよいか。よく患者さんに聞かれるのは、食後1時間後か、2時間後か、ですが、別に何時間後という決まりはありませんので、食後第1回目の尿を採ればよい。だから、時間に拘束されません。

   尿糖測定は、食後1時間とか2時間とか3時間とかの間に血糖値が高ければ、それが尿糖という形で膀胱の中に尿が溜まり、チェックすることができるわけです。ですから、血糖値をピンポイントでチェックするSMBGと違い、ある一定の時間の血糖値がどのくらい上がっているかという「面積」を見ていることになるのですね。

——患者さんに試験紙を渡すということですが、その判定自体は患者さん自身に行ってもらうのでしょうか。

根岸:もちろん、そうです。判定は比較的簡単で、使い方も絵が書いてありますからあまり問題はありません。ただ、時間をきっちり守ってもらうというポイントはあります。30秒ぴったりで判定してもらうということ。試験紙に尿をつけた後の時間が40秒、45秒となるとどんどん色が濃くなっていきますから。

 もうひとつは、直接測定には関係ないのですが、試験紙を入れるボトルはきっちり蓋をしておかないと色が変わって緑色になってしまうんです。お渡しするときは、必ず容器に乾燥剤を入れます。

 このような点だけ気をつけていただけたら、色の判定も含めて、誰でもできると思います。

——測定結果はどのように管理してもらいっていますか?

根岸:簡単な表をつけてもらっています。朝・昼・夕と書いてあって、尿糖の−、±、+、++、+++、という目盛りに○印をつけてもらう。備考欄には、例えば尿糖が「+++」だった日には、何を食べたのかというようなことをメモしていただく。細かい情報はいらなくて、例えば、トンカツや天ぷらを食べたとか、食事前に間食をしてしまったとか。


尿糖測定記録表


 逆に、いつも尿糖が出ているけれど、出なかった日、マイナスが続いたときは、どうして尿糖が出ていなかったのか、例えばここはよく運動をしていたとか、天気が良くて毎日ウオーキングができたとか、患者さんの推測を書いてもらうんですね。

 こういう情報をたくさん貯めることによって、ご自身の行動パターンがわかってきて、これを食べると尿糖がたくさん出るとか、これをやると尿糖が減るということが徐々にわかってきます。すると、やっぱりこれを食べるとマズイよなとか、一人前食べてしまうとこんなに血糖が上がってしまうから半分にしておこうとか、自己管理の有用な指標になってくるのです。

——自分の身体の変化を知ることができるんですね。

根岸:そうですね。あともうひとつ、(尿糖測定の良いところは、)血糖自己測定だと数字が出るだけなんですよ。たとえば200mg/dLだったとか150mg/dLだったとかですね。しかし実は、数字は記憶にあまり残らないんです。1〜2日経つと、昨日の食後の血糖値は200mg/dLだった、まあちょっと高かったなというのが、その場では数字が出るからわかるんですが、記憶が持続しないというか長く残らない。イメージとして。

 ところが、尿試験紙で色が変わるというイベントは、患者さんにとってはすごいインパクトがあるようです。"こんなに緑色になっちゃった!"という驚きは、相当記憶にも残るようで、気をつけなくてはという動機付けになる。そんな視覚効果は、やっぱり尿糖試験紙のひとつの良いところかもしれません。

——食事と運動では、どちらが大きく影響が表れると思いますか?

根岸:それは、個々の患者さんによって違うように思います。どちらが大きいかというよりも、やっぱりモチベーションの違いなんです。「食べ過ぎてるな、気をつけよう」とか「運動しないと下がらないな」など、ご自身で振り返ってどこを修正できるか。

 患者さんは1カ月とか2カ月に1回、診察にいらっしゃるわけですよね。診察のときに血糖を測って、ヘモグロビンA1cがわかる。で、今日は血糖が高いですね、A1cが高いですねと言われ、糖尿病の手帳に記入して、その時は患者さんは「今日は高かったな、気をつけなきゃ」と思うのですが、もうその晩には忘れてしまうんです。おそらく、翌月(の診察)までは手帳を開くこともないんですよ。きっと閉じたまま、どこかにしまい込んでしまう。そういう人がほとんどなのです。

 だけど、次の診察までの間、尿糖測定をやってもらうことによって、どれだけ尿糖が出ていて、血糖が高いかどうかっていうことを、実際に目で見て意識することになるので、改善へのモチベーションにつながっていくんですね。それが本当に大きなポイントです。日頃、常に「自己管理」ということを頭の中に入れておいてもらうという目的でやってもらうということですよね。

——継続的に意識しているのは大事ですね。

根岸:尿糖自己測定をはじめて、ヘモグロビンA1cが大部分の人では良くなっているというデータをとりました。なかには、全然変わらない人や、ある種悪くなった人もいるけれど、ほとんどの人は、少なくとも始めて数カ月間は良い状態が続いています。

 なかなかコントロールが良くならない患者さんに尿糖測定を勧めることが多いので、測定を行い、その原因を自覚して、改善点を修正できれば、成績も良くなるわけです。

——患者さん自身でパターンをつかまれた方は、自分でコントロールができるようになっていくわけですね。

根岸:そうすると、自分でどのくらいまで食べても大丈夫だとか、本当に自己管理がやりやすくなりますよね。ここまで食べても、あるいはここまで飲んでも大丈夫だとか、そんなに尿糖が連続してたくさん出ていなければA1cはそんなに上がらないなとか、そういうことが長く(尿糖測定を)やっている人はもうわかっていて、自分でうまくやっています。 ところが、自分自身でそういう評価をまったくできず、ただ測定しているだけでは、あまり意味がなくなってしまいます。

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2010年07月 


※2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わされるようになりました。過去のコンテンツの一部にはこの変更に未対応の部分があります。

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