糖尿病患者さんの間食指導をどうする?

II. 「糖尿病患者さんの間食指導」、どうしていますか?

1) “間食をやめる”より“野菜を食べる”方が難しい

2009.10.31

浜野:前回は、糖尿病患者さんの間食摂取について、「原則禁止派」vs「容認派」という形で、その理由について意見を出し合いました。糖尿病患者さんにとって、なぜ間食が良くないのかを考えると禁止するのが最も理にかなっている、という「原則禁止派」。そして、いきなり禁止しなくとも、栄養指導で介入しながら答えを見つけていくという「容認派」。それぞれ、納得する意見ばかりでした。
 今回は、それぞれのお考えに基づいて、実際どのように指導をされているのか、「原則禁止派」と「容認派」のお2人を中心にお話をうかがいます。
 まず、糖尿病患者さんの栄養指導の中で、間食の話題は、初回から、食習慣の聞き取りみたいなところで出てきますか?
加藤:初回のアンケートで、“何時に食事をしますか?”“間食をしますか?”という項を設けています。例えば、職場で必ず15時にお菓子が回ってくる、といった話が出てきたりします。まずはどんな生活を送っているかを聞き、体重などからその方の適正なエネルギー量を算出します。体重を減らすという目標であれば、食べる量を減らす方針を取ります。
 下の図4をご覧になっていただきたいのですが、食事指導をした際に院内でアンケートを行いました。男女別で「食生活改善ができなかった項目」として調べたのですが、どんな項目が一番やりにくかった、改善しにくかったか、が浮かび上がりました。最も高かったのは、“野菜を1日5皿以上食べる”“ゆっくりよく噛んで食べる”に続いて“お菓子や清涼飲料水を控える”という順番だったのです。お菓子は、野菜摂取よりも改善しやすい。だから、今までお菓子を食べていた人も目標達成のためなら、決して改善できないわけはないと思うのです。
図4 食生活改善ができなかった項目 (n=53 / 複数回答可)
ここでいう野菜1皿は、食事バランスガイドに基づくもので、野菜の煮物・野菜の炒め物は2皿分と数えてよいが、その説明不足により、改善できなかったと回答した可能性がある。
作成:加藤則子
浜野:お示しいただいたような生のデータがあると、納得してしまいますね。女性より男性のほうが守れない人が多かったんですね。
加藤:男性は仕事で帰りが遅くなって、夜遅くに食べてしまうなどが考えられます。
浜野:加藤先生の患者さんは、サラリーマンの方が多いですか?
加藤:診療所ですから、平均年齢は63.5歳で、若いサラリーマンばかりではありません。
井上:一般に、リタイアされている方のほうが食事療法を行う余裕があって継続できている方が多く、サラリーマンだと時間やつきあいの関係で、なかなか遵守できないという方が多いという傾向はありますよね。

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