糖尿病の用語辞典


低HDL-コレステロール血症 脂質異常症

低血糖
 血糖値が正常範囲より低下した状態(およそ70mg/dL以下)。薬物療法をしている人で、薬の作用が強く現れたときに起こります。頭痛や震え、脱力、動悸、イライラ、怒りっぽくなる、発汗、目がかすむ、異常な空腹感、吐き気、めまい、物が二重に見える、霧がかかったように見える、呂律〈ろれつ〉が回らなくなる、などがおもな症状です。さらに血糖値が低下すると、意識障害から昏睡に陥ります。また低血糖は心臓発作を引き起こすことがあり、それが死亡につながることもあります。近年アメリカで行われた研究で、そのようにして亡くなったと考えられる薬物療法中の糖尿病患者さんが少なくないことがわかり、注目されています。
 砂糖やブドウ糖などの糖分を口にすることですぐに血糖値は上がって回復しますが、意識障害や昏睡に陥っている場合は周囲の人の的確な対処が必要です。砂糖水を口に含ませたり、グルカゴン注射をします。それでも回復しなかったり対処方法がわからないときは、速やかに救急車を呼んでください。なお、低血糖になりやすいのは、インスリン注射の量が多すぎたとき、食事の量が少なかったとき、食事時間が遅れたとき、激しい運動をしたときです。

DCCT
 アメリカで1型糖尿病の人を対象に行われた調査研究。それまで標準的に行われていた注射回数が1日2回以下のインスリン療法を行う「従来療法群」と、1日3回以上注射する「強化療法群」で、合併症の起きやすさに差があるかを調べたもの。結果は、強化療法群のほうが明らかに細小血管障害(網膜症や腎症などの糖尿病の特徴的な合併症)が少なく、血糖コントロールも良好に保てるというものでした。この結果は、糖尿病の治療でよりよい血糖コントロールをめざすという今日の治療方針の確立に、強い影響を及ぼしました。
 DCCT が終了したあと、同じ患者さんを引き続き経過観察する EDIC という研究が行われました。DCCT 終了によって、強化療法群と従来療法群の間に生じていた血糖コントロール状態の差はなくなりましたが、細小血管障害の起きやすさは平均11年経過した後も、旧強化療法群で抑制されていました。また、DCCT 終了時点では差がなかった大血管障害(動脈硬化性疾患)も、旧強化療法群のほうが少なくなっていました。このことは、厳格な血糖コントロールの効果はその期間中ばかりでなく長期的にもよい影響をもたらし、とくに大血管障害については徐々にその効果が現れてくることを示しています。反対に、血糖コントロールがよくない状態が長く続くと、その穴埋めが大変なことがわかりました。DCCT/EDIC の研究者はこれを「メタボリックメモリー」と名付けています。

DPP-4 阻害薬 インクレチン関連薬

低比重リポ蛋白
 血液中の脂肪成分であるリポ蛋白の一種。LDL。コレステロールを肝臓からからだの隅々へ運び、細胞膜の形成などに使われますが、血管壁に沈着して動脈硬化を促すように働くため“悪玉”と呼ばれています。

※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。

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