1. 糖尿病とは「基礎編」

監修
東北大学名誉教授 後藤由夫先生

編集
日本医科大学客員教授
HDCアトラスクリニック 院長 鈴木吉彦先生


糖尿病の人口と病気の特徴

 厚生労働省の調査によると国内の糖尿病患者数は約950万人と推定されています(2012年国民健康・栄養調査)。ところが同じ調査で、その患者さんのうち治療を受けているの約65%と報告されています。つまり、糖尿病であることに気付かないでいる人や、気付いていても治療をしないでいる人が、いかに多いかがわかります。
 糖尿病は自覚症状が少ないためにこのような状況となっているのですが、治療しないでいると、やがて全身にさまざまな障害を起こすのがこの病気の特徴であり、恐ろしい点です。
遺伝ストレス
食べすぎ飲みすぎ

糖尿病の誘因

 糖尿病は加齢のほか日常の生活習慣が誘因となって発病するので、「生活習慣病」といわれています。そして、糖尿病の患者数は年々増え続けています。その理由は、現代社会そのものが糖尿病を増やす生活習慣を生みやす造にあるからです。食べすぎ、運動不足、ストレス、アルコールの飲みすぎなど、どれをとっても現在増え続けている事柄で、外食産業の隆盛や自動車社会の繁栄、肥満の増加、ストレス社会など、糖尿病を招きやすい条件はたくさんそろっています。
 また、これらの生活習慣にかかわる誘因とともに、糖尿病の発病には遺伝的な素因も深く関係しているため、血縁者に糖尿病の人がいる場合にはとくに注意が必要です。なお、加齢や生活習慣とは関係なく発病するタイプの糖尿病もあります(「糖尿病のタイプ」の項参照)。

インスリンの作用が不足し
血糖値が上がります

 インスリンは膵〈すい〉臓で作り出されるホルモンで、細胞が血液の中からブドウ糖を取り込んでエネルギーとして利用するのを助ける働きをしています。インスリンの作用が不足すると、ブドウ糖を利用できなくなり、血液中のブドウ糖濃度「血糖値」が高くなります。これを高血糖といい、この状態が継続するのが糖尿病です。
 インスリンの作用不足には、膵臓のインスリンを作る出す(インスリン分泌)能力が低下してしまうことと、インスリンに対する細胞の感受性が悪くなることの二つの原因があります。

    炭水化物をエネルギーとして利用する仕組み

     私たちは、食べ物を消化・吸収することで、生命を維持し活動するためのエネルギーを得ています。食物中の栄養素には、炭水化物、脂質、たんぱく質があり三大栄養素と呼ばれていますが、エネルギー源として最もよく使われるのが炭水化物です。
     炭水化物は、消化・吸収されブドウ糖となって肝臓へ送られます。そのうちの一部は脳や筋肉で利用され、残りのブドウ糖は肝臓内にグリコーゲンとして蓄えられます(さらに余った分は脂肪になります)。
     身体活動で血液中のブドウ糖を消費すると、グリコーゲンが分解されて再びブドウ糖となって血液中に放出されます。このようにして、活動のためのエネルギーが常に維持され、血糖値は一定の範囲内の変動におさまっているのです。

糖尿病3分間ラーニング 関連動画

糖尿病3分間ラーニングは、糖尿病患者さんがマスターしておきたい糖尿病の知識を、テーマ別に約3分にまとめた新しいタイプの糖尿病学習用動画です。

  1. 糖尿病とは「基礎編」
  2. 食事療法のコツ(1) 基礎
  3. 運動療法のコツ(1) 基礎
  4. 高齢者の糖尿病
  5. インスリン療法(2型糖尿病)
  6. 血糖自己測定とは
  7. 肥満と糖尿病
  8. 小児の糖尿病(1) 基礎
  9. 薬物療法(経口薬)
  10. 糖尿病生活Q&A
  11. 糖尿病用語辞典(より簡潔に)
  12. 病気になった時の対策 シックデイ・ルール
  13. 結婚から、妊娠・出産
  14. 糖尿病による腎臓の病気
  15. 糖尿病による失明・網膜症
  16. 糖尿病と脳梗塞・心筋梗塞
  17. 足の手入れ
  18. 糖尿病による神経障害
  19. 糖尿病の検査
  20. 低血糖
  21. 食事療法のコツ(2) 外食
  22. 糖尿病の人の性
  23. 口の中の健康
  24. 動脈硬化と糖尿病 メタボリック シンドローム(内臓脂肪症候群)
  25. 糖尿病と感染症
  26. 食事療法のコツ(3) 腎症のある人の食事
  27. 糖尿病と高血圧
  28. 小児の糖尿病(2) 日常生活Q&A
  29. 運動療法のコツ(2) 合併症のある人の運動
  30. 骨を丈夫に保つには
  31. 痛風・高尿酸血症と糖尿病
  32. 糖尿病予備群
  33. 小児2型糖尿病
  34. 糖尿病とストレス うつとの関連、QOLの障害