糖尿病セミナー

6. 血糖自己測定とは

2016年4月 改訂


監修
東北大学名誉教授 後藤由夫先生

編集
タニタ体重科学研究所名誉所長
糖尿病治療研究会名誉顧問
東京慈恵会医科大学元教授 池田義雄先生


血糖自己測定(SMBG)とは

 糖尿病の治療は、血糖のコントロールが基本です。しかし、血糖の動きは、厳密にいうと人によって全部異なり、また、いつも一定とは限らないのです。インスリンや経口薬などの薬を使っていると、その動きはさらに複雑になります。
 そんな血糖を適正にコントロールするには、血糖の動きをモニターし、コントロールがきちんとできているかどうかを、チェックする必要があります。とくに、インスリン療法では、血糖の状態によって、インスリンや食事の調整が必要なため、きめ細かい血糖のチェックが必要です。日常の生活でもそのチェックをできるようにしたのが、血糖自己測定です。医療機関でしかできなかった血糖測定を、自宅でも24時間いつでも測定でき、揺れ動く血糖をリアルタイムでとらえる。そして、その血糖の値を治療にフィードバックする。このシステムが、より正常に近い、厳密なコントロールを可にします。この方法に関する研究を、私たちは1976年、世界に先駆けて開始し、実用化をはかったのです。
 その結果、血糖自己測定は、インスリン療法を支える重要な手段であると同時に、健康人と変わらない社会生活を実現する頼もしい「助っ人」となるに至ったというわけです。
  【SMBG:Self Monitoring of Blood Glucose の略で、血糖自己測定のこと】

血糖自己測定は、コントロール改善の強力な助っ人です

主治医の
B先生

2型糖尿病のA子さん

(中間型インスリンを1日1回注射)

A子さん:まぁ、これが私の血糖値ですか? ずいぶん高いですねえ。
B先生:その通りです。今後の課題は正常値との差(青色部分)をどう縮めるかですね。血糖を自己測定すると、どこを治せばいいかがはっきりしてきます。

メリットがこんなにあります

 自分で血糖を測ると、いろいろなことが見えてきます。ひとつひとつの行為が血糖に及ぼす影響、病状との関係などなど、理解が深まるにつれ、治療にフィードバックする内容も充実してきます。
 その結果、血糖のコントロールが一段と向上し、短期的には低血糖やケトアシドーシスなど急性の合併症の回避、長期的には網膜症や腎症など慢性合併症の発症や進展の防止など、さまざまなメリットが得られるようになります。
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