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食事療法のコツ(2) 外食

監修
東北大学名誉教授 後藤由夫先生

編集
元東京都済生会中央病院食養科長 西原豊子先生


上手な外食のとり方が食事療法のポイントです

 わが国は食事産業が非常に発達しています。街にはレストランやファーストフード店、持ち帰り弁当屋が軒を連ね、24時間営業のコンビニエンスストアでは調理済みの食品をいつでも買い求めることができます。忙しい現代人にとって、この状況は大変ありがたいことです。
 糖尿病で食事療法している人も、外食・調理済み食品のお世話になることは多いことでしょう。とくに外で働いている方は、外食をせざるをえないことがあり、外食を無視した食事療法はあまり現実的ではありません。そんな人にとって外食は、食事療法を上手に続けていけるかどうかを左右する大切なポイントといえます。

外食メニューの特徴

 それでは、外食のどんな点が食事療法を左右するポイントとなっているのでしょう。
 まず、外食メニューは一般にカロリーが高いことがあげられます。これは糖尿病の方にとって大きな問題です。そして、野菜が少なく炭水化物や脂質が中心の料理が多いのが特徴です。また、味付けが濃いことや、メニューを見てもどんな食材が使われているのかわかりにくいという難点もあります。
 このページでは、昼食が外食となることの多い方が、どのような工夫をすればよいかを中心に解説していきます。

食事療法に外食を取り入れるために

外食も「食品交換表」が基本です

 糖尿病の食事療法は、その人の体格や運動療法にあった「指示エネルギー量」の中で、必要な栄養分をバランスよくとることです。具体的には「糖尿病食事療法のための食品交換表(以下、食品交換表)」を使って進めていきます。
 外食をするにあたっても、まず第一に食品交換表をよく理解していることが前提になります。外食をする人は、この際にもう一度、食品交換表を使った食事のとり方を確認してください。(食品交換表を使った食事療法の実際については、このコーナーの「
食事療法のコツ(1)―基礎」のページをご覧ください)。

目で見てカロリーがわかるようになろう

自分で料理を
していれば、
料理前と料理後
の量の違いか
わかり、
外食コントロール
もしやすくなります。
 次に、自分がよく食べる外食料理に使われている食材の1単位の量を、自分の見た目の量=目安量で覚えましょう。料理前と料理をした後では見た目の大きさが変わりますので、実際に料理をして実感することが大切です。調味料の量と味付けの加減なども、料理をすることで覚えられます。
 目安量は、一度正しく理解したつもりでも、だんだんと見当がずれてきます。定期的に秤を使って自分の目安量の確認をしましょう。空腹のときも満腹のときも、常に正確に1単位量を取り分けられるようにしてください。
 料理された物を見たときに、表1から表6のどれにあたるものが、どの程度使われていて、何 Kcal〈キロカロリー〉 ぐらいになるかがわかるようになればベストです。

外食を基準に3食バランスよく

 続いて外食にあてられるエネルギー量と単位配分を覚えます。表1から表6それぞれを3食均等に分けるのが理想ですが、外食ではどうしても配分に偏りが出てしまいますので、とくに野菜類などの不足した分は、家庭の食事で調整しましょう。

上手な残し方が上手な食べ方

 料理が運ばれてきたら、まず目安量で自分が食べるのはどのくらいかを判断します。例えば1日1,600kcal、20単位の人で昼食が7単位の人は、7単位分各表の目安をつけ、おかずやごはんでオーバーする分を食べる前に器の端によけておき、手をつけないようにします。
 魚料理など食材の形がそのまま残っているものは目安量をつかみやすいので、外食初心者にはお薦めです。また、よける量がほんの少しの場合も「ちょっとぐらいは・・・」といって食べてしまわずに、必ず残すようにしましょう。
 なお、昼食が外食となるとわかっている場合は、若干昼食分を多く割り当てておくようにすると、残さなくてすんだり、残す量を少なくできます。もちろん極端に昼食分を増やすことはいけません。また家庭での食事の配分を加減することが大切です。

油や砂糖の量にも注意!

 外食で注意しなくてはいけないのは、味付けが濃く、油や砂糖がたくさん使われていることです。和食ではさとうやみりんの量、洋食では肉の脂と料理に使われるバターや生クリーム、ソースなどに気をつけます。
 中華料理は、油がたっぷり使われています。食材自体が油で下処理されていますし、かかっているあんの量も大変なものです。油が多い外食メニューの場合、揚げ物の衣をはずしたり、ソースやスープを残すなどの工夫が必要です。
 なお、合併症がなければ医師や栄養士に相談のうえ、表1の1単位を表5に変更することもできます。
 塩やしょう油などはエネルギーを考えないでとれます。しかし、塩分のとり過ぎにならないように注意しましょう。

こうすれば簡単!

外食コントロールの手引き

それでは実際に、どのように外食を食べたらよいか、メニューごとにみていきましょう。なお、単位数はお店ごとに違いますので、ここでは一例を示します。また、外食は表2、表4が含まれていることは希ですので省略してあります。家庭の食事で必要量をとってください。
焼き魚定食 8.7単位
 和風のメニューは食材の形が料理にそのまま生かされていて目安量を判断しやすく、油も少なめです。さらに定食であれば、栄養のバランスもとりやすいので、外食の中では最もお薦めのメニューです。
 イラストはさんまの焼き魚定食。さんまは表3が2.5単位。表1がごはんとポテトサラダ合計で5.5単位になりますから、指示エネルギー量が20単位の人でもごはんを1単位とさんまをいくらか残したほうがよいでしょう。
●表1=5.5 表3=2.5 表5=0.2 表6=0.2 調味料=0.3
しょうが焼き定食 8.5単位
 豚肉を全部食べると表3が2.5単位になってしまい、朝食や夕食での表3のとり方が難しくなります。自分の指示エネルギー量から判断して、残す量を考えて食べてください。
●表1=5 表3=2.5 表5=0.3 表6=0.2 調味料=0.5
親子丼 7.5単位
 どんぶり物は栄養のバランスがとりにくいので、朝、夕での調節が大切です。また、店によってごはんの量に差がありますので、目安量に注意してください。親子丼はカツ丼や天丼に比べ低カロリーに抑えられたメニューです。
●表1=4.5 表3=2.5 表6=0.2 調味料=0.3
天ぷらそば 5.8単位
 一般的に麺類は低カロリーで栄養は炭水化物に偏り、たんぱく質や脂質はほとんどとれません。また、汁は塩分が多いので、全部は飲まず残すようにします。
 イラストは天ぷらそばですが、天ぷらは高カロリーの食べ物として有名です。衣が大きすぎると判断したときは、自分の指示エネルギー量を考え少し衣を外すことで、油(表5)を朝食や夕食に少し使うことができます。
●表1=4 表3=0.5 表5=1.0 調味料=0.3
にぎり寿司 5.0単位
 寿司はネタによって栄養が若干変わってきます。上寿司だとトロやウニが入るので、表3が増えます。また、寿司は砂糖や塩が意外に多く使われていることも知っておきましょう。
●表1=3 表3=1.6 表5=0.1 調味料=0.3
ハンバーグライス 10.0単位
 洋風メニューは肉類の脂や味付けに用いるバターなどで、油が多くなりがちです。表5に気をつけながら食べましょう。
 ハンバーグはひき肉が使われていて、高カロリーのメニュー。全部食べては指示エネルギー量をオーバーしてしまいます。20単位の人でも3分の1ぐらいは残すようにしましょう。
●表1=5.5 表3=2.5 表5=1.5 表6=0.1 調味料=0.4
ヒレカツ定食 10.0単位
 ヒレ肉はひき肉やロースに比べれば低カロリー。といっても全部食べると10単位です。とくにイラストのケースでは、カツの衣とポテトなどで、表1が6.5単位。カツの衣を少し外して食べないと表1と表5をとり過ぎます。ごはんの量も指示エネルギー量を考え残すようにしましょう。
●表1=6.5 表3=1.5 表5=1.5 表6=0.1 調味料=0.4
五目ラーメン 7.5単位
 中華料理は油が多くカロリーは大変高くなっています。しかし、実際にはラーメンやチャーハンは、最も食べる機会の多い外食メニューともいえます。ラーメンを食べるときは、具に野菜が多く用いられている五目ラーメンにするとよいでしょう。あとは、麺の量に気をつけて食べます。
●表1=5 表3=1.5 表5=0.7 表6=0.3 調味料=0.3
チャーハン 7.6単位
 チャーハンはごはんが主体で表1に偏りがちです。また、油を使っているので、見た目が同じなら、ふつうのごはんより高カロリーになります。正確な目安量を身に付けましょう。
●表1=5 表3=1 表5=1.5 表6=0.1
かた焼きそば 8.3単位
 かた焼きそばは麺を油で揚げていますので、脂質が多くなります。麺とかかっているあんを残すとよいでしょう。柔らかい焼きそばなら、表5は若干少なくなります。
●表1=5 表3=1 表5=2 表6=0.3
ファーストフード
 ファーストフードのメニューは高カロリーで栄養バランスが悪く、あまりお薦めできません。ポテトやジュースと一緒に食べると、ますます偏りがひどくなります。飲み物は糖分の少ないものを選び、サラダを加えるなどの工夫をしましょう。
■チーズバーガー 4.0単位
●表1=2 表3=1.5 表5=0.3 表6=0.2
■フィレオフィッシュ 5.0単位
●表1=2.5 表3=1 表5=1.5

一週間の外食メニューを作ってみる

 ここまでは、各メニューごとに工夫の仕方をみてきました。それでは家庭でとる食事との組み合わせで食事療法を考えてみましょう。月曜から金曜までの外食メニューを作り、それで食事療法がうまくいき、血糖値がコントロールされているようなら、そのパターンを繰り返してゆけばよいのです。ここでは、1日20単位の人が、外食に焼き魚定食を食べるケースで考えてみます。なお、この配分は一例です。各表の配分の増減は、医師、栄養士に相談してください。

朝食

 朝食はごはんかパンか、どちらか一つのパターンで通したほうが、残り2食の食べ方が簡単になります。ここではパンのケースで考えてみました。
●朝食
献立名食品名使用量(g)表1表2表3表4表5表6調味料
チーズトースト食パン90 3      
プロセスチーズ30  1.5     
野菜サラダきゅうり30     0.3 
レタス10      
トマト60      
レモン汁5      
0.7       
フルーツリンゴ70 0.5     
牛 乳 180   1.5   
合 計  30.51.51.5 0.3 

昼食

 昼食はさばの焼き魚定食です。全部食べると表1と表3を多くとり過ぎますので、ごはんと魚を残します。
●昼食
献立名食品名使用量(g)表1表2表3表4表5表6調味料
ごはん 2505      
焼き魚さば80  2    
1       
大根おろし大根30     0.1 
ひじきの炒め煮ひじき2       
にんじん5      
1    0.1  
砂糖2      0.1
しょうゆ3       
みそ汁とうふ15  0.1    
ねぎ10      
みそ13      0.3
漬け物きゅうり30     0.1 
白菜      
合 計全部食べた場合5 2.1 0.10.20.4
ごはんと魚を正しい
目安量で食べた場合
4 1.5 0.10.20.4

夕食

 昼が魚だったので、夕食には肉を使ってみましょう。この日は表5をまだ0.1単位しかとっていないので、油を使えます。豚肉と野菜の炒め物などはいかがでしょう。比較的カロリーの低いモモ肉なら、肉を多く使えます。
 なお、フルーツのいちごには砂糖4グラムをかけますが、砂糖をかけない場合はその分を野菜炒めの味付けとして、ケチャップ6グラムを使うことができます。
●夕食
献立名食品名使用量(g)表1表2表3表4表5表6調味料
ごはん 2004      
豚肉と野菜の炒め物豚もも肉30  0.5    
いか50  0.5    
にんじん20     0.4 
たけのこ20      
キャベツ50      
たまねぎ30      
しいたけ(生)10       
9    0.9  
1       
すまし汁おぼろ2       
ねぎ5      
フルーツいちご120 0.5     
砂糖2      0.1
合 計  40.51 0.90.40.1
総合計
(昼食を目安量通りに食べた場合)
11141.5110.5
 ※表6は1日の合計300グラムで1単位

―作り方

1.豚肉は薄切りにしておく。いかはたんざく切りにして、さっとゆでる。野菜を適当な大きさに切っておく。
2.油を熱し豚肉といかを炒めて一旦取りだし、野菜を炒めて水を少々加えながら煮る。
3.塩で味付けし、豚肉、いかを加える。

外食を楽しむ知恵、いろいろ

●どんぶり物より定食のほうが栄養のバランスをとりやすい。
●目安量がつかみやすい、食材の形が生かされたメニューを選ぶ。
●外食での栄養の偏りは、家庭の料理で調節。
●自分で積極的に料理をして料理好きになろう。
●天ぷらやフライなど、油が使われている料理は、高カロリーなのでなるべく控える。衣をとって食べるのもよい。
●ポケット版の食品交換表や外食ガイドブックなどを携帯するのもよい方法。
●目安量の確認にハンディータイプの秤が便利。
●糖尿病の人は禁酒が原則。飲酒は主治医に相談を。
●残業するときは、夕方にクッキーと牛乳などの軽食をとり、その分は夕食で調節する。
●宴会はなるべく避けたほうがよいが、参加する日は昼食を少なめに。
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