糖尿病セミナー

27. 糖尿病と高血圧

2014年11月 改訂

監修
東北大学名誉教授 後藤由夫先生

編集
埼玉医科大学 内分泌・糖尿病内科教授
       かわごえクリニック院長
        片山茂裕先生


糖尿病の人は血圧も要チェック

 高血圧の患者数は国内で約4,300万人といわれ、まさに国民病といえます。同じように糖尿病も、予備軍を含めると患者数2,050万人に上る病気です。そして、糖尿病の人は血圧が高くなりやすく、40〜60パーセントが高血圧をあわせもっています。
 糖尿病も高血圧も、どちらも症状のないまま進行し、さまざまな合併症を引き起こします。直接死につながる可能性があり、日本人の死因の上位を占める脳卒中や心筋梗塞などの怖い病気も、糖尿病や高血圧が互いに影響しあって動脈硬化が進行した結果、発症します。また、高血圧により、糖尿病性腎症が急速に進んでしまいます。
 糖尿病の人は、血圧がそれほど高くない軽い高血圧でも、積極的な治療が必要です。血糖値とともに血圧をコントロールできるか否かが、いつまで元気で生活できるか、その人の人生を大きく左右します。

血圧とは、高血圧とは

 血圧とは、血液が流れる際に血管の内側にかかる圧力のことです。血圧が上がる直接的な理由はふたつあります。ひとつは血管が硬くなり広がりにくくなること、もうひとつは体内を循環している血液の量が多くなり過ぎることです。

血圧に影響を与えるもの 血圧は、喫煙や入浴などのすぐに影響が現れる一時的な要素と、運動不足や加齢などの徐々に影響が現れる長期的な要素に左右されます。


高血圧と診断されるのは 一般に、収縮期血圧(心臓が収縮して血液を送り出したときの血圧。最高血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(心臓が拡張したときの血圧。最低血圧)が90mmHg以上のときに、高血圧と診断されます。
高血圧の原因 患者さんの9割以上は、原因を特定することができない「本態性高血圧症」です。塩分の多い食習慣、肥満、ホルモン分泌の異常、遺伝的素因など、さまざまな要因が考えられます。これとは別に、血圧を上げるほかの病気があるために高血圧になる「二次性高血圧症」もあります。
高血圧の症状 軽症の高血圧は、全く症状がありません。中等症以上になると、頭痛や動悸、めまい、肩凝り、手足のしびれなどが現れることもあります。
高血圧の合併症 高血圧を放置すると、脳卒中、心臓病、腎疾患、網膜症など、さまざまな合併症が起きてきます。これは、高血圧状態が血管の壁を傷付け、動脈硬化を進行させることと深く関係しています。
注意点 高血圧は糖尿病と同じで自覚症状に乏しいため、血圧が高いと指摘されても、つい放置してしまいがちです。しかし、定期的な検査を受け適切な治療を継続しないと、恐ろしい合併症が進行してしまいます。

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