小児の糖尿病(2)日常生活Q&A
監修東北大学名誉教授 後藤由夫先生
編集
三木裕子先生
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このページは、1型糖尿病の子どもやご家族が疑問を抱くことの多い事柄を、Q&Aで三木先生に答えていただく形式でまとめたものです。小児の糖尿病の全般的なことについては、このコーナーの「小児の糖尿病(1)―基礎
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私が1型糖尿病になったのは、なにが悪かったのですか? |
| A |
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先日、うちの子が糖尿病と診断されました。親としては、何から始めればよいのか教えてください。 |
| A |
保護者の方が陥りやすいのが「うちの子はなんて可哀相、なんて不幸なんだ」という心情です。ところが実際は低年齢で発症した場合、本当に大変なのは、食事やインスリン注射を管理する保護者なのです。本人は大抵それほど大変だと思っていません。私もそうでしたし、診察中に子どもに「何か大変なことある?」と聞いても、「何が?」と逆に聞き返されます。
周囲から可哀相がられてばかりだと、子ども自身も「自分は可哀相なんだ」と思い込むようになり、それはあまりよいことではありません。保護者の方は、「一番大変なのは自分なんだ」ぐらいに考えて、過保護、過干渉にならないような注意が必要です。兄弟がいるのであれば、糖尿病でない子と分け隔てなく接するようにしてください。また、糖尿病のコントロールには、糖尿病であることを受容することが一番大切です。小児糖尿病の場合、まず、親が子どもの病気を受容できるかどうか、それがキーポイントになります。
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糖尿病だからやってはいけないこととは、どんなことですか? |
| A |
ありません。スポーツにしても、オリンピックを目指して1日3〜4時間スイミングをしている子もいますし、トライアスロンをやる人もいます。ただ、どんな場合にも、自分の血糖値を自分で管理すること(低血糖の処置など)ができなければ、やっていいこともできなくなります。![]() |
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なぜ、血糖コントロールの良い子と良くない子の差が生じるのですか? |
| A |
悪い見本が私自身で、本当の意味で受容できたのは30歳を過ぎ、網膜症が進行していると診断されたときでした。それまでは、自分も糖尿病でない人と一緒だと思いたいから、血糖測定もせず、1週間ほとんど眠らずに働くような生活をしていました。しかし、私のような劣等生患者はそう多くはありません。
ひとつの出来事をきっかけに、コントロールが改善した例を挙げます。発病して6年間 HbA1C10% 前後が続く中学生の女の子がいました。彼女は高校受験のとき、面接で自分の病気のことを話したそうです。その結果見事に合格し、病気のある自分に自信を持つようなり、それからは素晴らしいコントロールになりました。多分、彼女の中で糖尿病に対するイメージが、マイナスからプラスに変わったのでしょう。マイナス思考を変えるには、言葉としては適切でないかもしれませんが、「病気を味方にして利用する」考え方も、必要だと思います。
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子どもの糖尿病の食事療法で、大人の食事療法と異なる点はありますか? |
| A |
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食事は決まった時間に食べないといけませんか? |
| A |
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朝、時間がなくて朝食抜きになってしまうことがあるのですが… |
| A |
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誕生日やクリスマスパーティーでもケーキはがまんしないとだめですか? |
| A |
最近、厳しい食事制限をしてきた思春期以降の患者さんに、摂食障害の人が多いことがクローズアップされています。これは、子供のころから「これはだめ、あれもだめ」と制限を続けていた反動のひとつです。すべてを規制するのではなく、どうしても食べたいのならインスリンを追加して食べるという、柔軟な考え方もときには必要です。ただし、その場合は主治医に相談してください。![]() |
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夜食は必ず食べさせたほうがよいのですか? |
| A |
夜食には、血糖値をすぐに上昇させる糖分の多いものよりも、ゆっくり血糖値を上げる炭水化物(ごはんやもち)、たんぱく質や脂質が多いものがよいでしょう。そのほうが、血糖値を上げ過ぎることなく、明け方まで長時間維持できます。例えば小さなピザのようなものです。
また、昼間の運動量が多いと、夜中に低血糖を起こす確率が高くなります。運動による血糖降下作用は、運動直後だけではないためです。ふだんは低血糖だと目が覚める子も、運動で疲労こんぱいしていると目が覚めないこともあるので、激しい運動をした日の夜は、注意が必要です。
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うちの子の場合、血糖値が突然高くなったり、逆に急に下がることがよくあります。なにが原因なんでしょうか? |
| A |
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インスリン注射のときに、インスリンが漏れてしまったらどうすればいいですか? |
| A |
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塾がある日の食事・インスリンは、どう調節すればよいでしょうか? |
| A |
ただし、塾までの距離や時間帯などにより対応は千差万別ですので、必ず主治医に相談して決めてください。この質問に限らずすべてに共通していえることですが、糖尿病の治療の中の細かい部分には、「全員こうすべきだ」という一定の方法はありません。
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最近インスリンの使用量が急に増えてきました。糖尿病が悪化しているのでしょうか? |
| A |
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インスリンを増やすと太ると聞きましたが、本当ですか? |
| A |
インスリンが太らせるのではなく、インスリンを増やして食べる量を増やすから太るのです。インスリンを減らし、必要な量を注射しなければ、高血糖が続きブドウ糖は利用されないのでやせてきます。しかしそれはいうまでもなく、コントロールが悪い状態、病気でやせている状態です。健康的な成長のために、十分な栄養摂取と必要なだけのインスリンを注射することが大切です。![]() |
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血糖測定は1日何回すればよいのですか? |
| A |
血糖測定で注意することは、測定値に振り回されないことです。よく、高血糖だとわかったとたんに落ち込んだり怒り出す子がいます。それでは、せっかく良いコントロールを続けるためにしている血糖測定が、役に立ちません。大切なのは血糖値が高すぎるとわかった後の対応と、そうなった原因を探して、明日からのコントロールに役立てることです。また、血糖値を測ること自体が目的となってしまい、記録用紙にビッシリと記入するのも意味のないことです。
逆にこまめに測らなければいけないのは、具合の悪いときや、症状がはっきりしないのに低血糖だと思ったとき。低血糖と思って補食を繰り返していて、確かに補食で具合は良くなるけど、あるときちゃんと測ってみたら、それほど低い血糖値ではなかった、というのは、血糖コントロールの悪い人にはよくあることです。
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低血糖を覚えさせる方法を教えてください。 |
| A |
このようにして、徐々に自分の低血糖の症状がわかるようになります。低血糖がわからないと、生活にかなり制限が加わってしまうので、早く自覚できるようになりましょう。
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運動療法は何歳から始めればよいですか? |
| A |
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実は、親に黙ってよく間食をしています。また、血糖の測定値が高いと、低めに記入してしまいます。いけないとはわかっていても、やめられません。 |
| A |
また、保護者の方で自分の子もそうしているのではないかと思い当たるのなら、血糖値が高いときに叱ったり、がっかりした表情をしていないか振り返ってみてください。子どもはそういう親の様子を目にするのが辛くて隠すのですから。隠れて食べていることがわかったときにも叱るのではなく、隠す必要はないことを時間をかけて説明してあげてください。そして必要なら、主治医と相談して食べる量を増やしてあげてください。
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思春期に入ってから、親の言うことを全然ききません。コントロールもよくないようで、このままでは合併症が心配です。 |
| A |
ひとつだけ注意したいことは、小さいときに発病したのなら、思春期に入るまでに糖尿病の再教育(インスリン注射がなぜ必要か、合併所の怖さなど)を十分しておくことです。幼少期に発病すると、最初に聞いたうろ覚えの知識のまま大きくなってしまうことも少なくありません。理解力にあわせ、少しずつ知識を身に付けていくようにします。あとは、「やらなくて将来困るのはあなた自身なのよ」ぐらいに思うのがちょうどよいかもしれません。「血糖測ったの?」「ちゃんと注射したの?」と言い続ければ、子どもはもっと反抗的になります。仮にコントロールが目茶苦茶で、半年ぐらい HbA1Cが10% ぐらいだったとしても、その期間だけであれば、重度の合併症にはまずなりません。あまり干渉し過ぎると、子どもは自分のためでなく、親のためにコントロールするという気になり、自立した社会性を持てなくなるのが心配です。
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幼稚園や学校の友達・先生に糖尿病のことを正しく知ってもらう方法を教えてください。 |
| A |
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将来プロのサッカー選手になりたいのですが、無理でしょうか? |
| A |
スポーツの分野で活躍している1型糖尿病の患者さんはたくさんいます。プロ野球ではかつて巨人軍にガリクソン投手がいました。最近では、エアロビクスの世界大会で優勝した日本の高校生がいます。サッカーはスポーツの中でもかなり激しいですね。低血糖は避けることはできません。でも、自分の血糖値を自分で管理できるようになれば、ワールドカップに出場できるようなサッカー選手になることも、決して夢ではありません。
![]() 小児期を過ぎ、ある程度大人になってから1型糖尿病を発病した患者さんをみていると、子どもたちとは別の大変さがあるようです。 まず、保護者に面倒をみてもらう年齢でないので、最初から自分一人で勉強し、すべてを管理していかなければいけない大変さがあります。そして、発病するまでの糖尿病ではなかった期間が、小児期に発病した人より長く存在することも、病気を受容する妨げとなります。さらに、ちょうど自分の夢や希望が具体的になってくる時期でもあります。 一般には小さいころに発病するほど苦労が多いように受けとりがちですが、こういう人たちの大変さを理解することも、同じ患者として必要なのかもしれません。 |






