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2012年05月14日

大豆イソフラボンがTGを低下させ、FMDを改善

 閉経後女性の心血管疾患抑制作用が知られているイソフラボンが、中性脂肪(TG)値を低下させ、血管内皮機能(FMD)を改善することが3月に開催された第76回日本循環器学会学術集会で報告された。市立奈良病院臨床検査室 辻恵理子氏の発表。
短期の介入で変化を把握できるFMDや、高感度CRPで評価
 イソフラボンにはインスリン抵抗性改善作用や血管内皮機能改善作用のほか、動物実験においてIL-6やAMPKなどの脂質・エネルギー代謝経路を活性化し血管保護的に働くことが確認されている。辻氏らの研究は、イソフラボンによる動脈硬化抑制作用を、血管機能の変化を敏感に把握できるFMD、および、高感度CRP、脂質関連検査、IL-6との関連性から検討したもの。

 対象は20〜60歳の成人男性24名。FMDや炎症マーカーに影響を及ぼす可能性があるため、喫煙者や内服薬を服用している患者は除外した。大豆イソフラボンアグリコン61.25mgを7日間にわたり夕食後に摂取してもらい、ベースライン時と終了時の変化を比較。なお、FMD検査と採血は早朝空腹時に行った。

FMDとTGが有意に改善し、高感度CRPは低下傾向
 ベースライン時と終了時の変化を各検査項目別にみると、FMDとTGが有意な改善(それぞれ、p=0.044、p=0.0254)、IL-6、LDL-C、HDL-Cは有意な変化がなかった(同順に、p=0.89、p=0.72、p=0.97)。高感度CRPについては、有意でないものの改善する傾向がみられ(p=0.19)、その変化はFMDの変化と有意な負の相関が認められた(r=-0.631、p=0.037)。

イソフラボンアグリコン7日間連続摂取前後のFMDとTGの変化

 以上より同氏は、イソフラボンの摂取により1週間という短期間であっても血管内皮機能の改善がみられ、その背景としてTGの改善や高感度CRPの低下の影響も考えられるとまとめた。

◇FMD関連情報:
[ DM-NET ]
日本医療・健康情報研究所

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