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食後脂質異常が、食後高血糖よりも血管内皮機能低下に強く影響
2014年04月19日

 食後の一過性の高血糖と脂質異常はいずれも動脈硬化の危険因子であることが知られているが、その両者のうち血管内皮機能の低下により強い影響を及ぼすのは、食後脂質異常である可能性が示された。第78回日本循環器学会学術集会(3月21〜23日・東京)における、兵庫県立姫路循環器病センター循環器内科 津端英雄氏らの発表。

 慢性的に持続する高血糖や脂質異常症が動脈硬化の危険因子であることは明らかだが、近年は食後の一過性の高血糖や脂質異常も動脈硬化を加速する要因であることが明らかになってきている。例えば食後高血糖については、IDF(国際糖尿病連合)が『食後血糖値の管理に関するガイドライン』を2007年に発行し(2011年に改訂)、食後高血糖が動脈硬化の独立した危険因子であることを強調している。脂質異常に関しても、食事負荷により変動するTGやRLP-C(レムナント様リポ蛋白コレステロール)が、LDL-C低下療法後に存在する残余リスクの主要原因として注目されつつある。

 しかし、食後高血糖と食後脂質異常の催動脈硬化作用の比較検討はこれまで行われていない。津端氏らの研究は、動脈硬化の早期指標として血管内皮機能(FMD)を測定し、クッキー食負荷後の高血糖と脂質異常の影響を検討したもの。

 対象は、糖代謝異常のある冠動脈疾患患者45名。組み入れ基準は、OGTT2時間値が140mg/dL以上、かつ、HbA1c6.5%未満とした。

 主な患者背景は、年齢67.4±9.3歳、男性75.6%、体重67.6±10.4kg、BMI25.4±2.9、高血圧86.7%、脂質異常症84.4%、冠動脈疾患100%、喫煙歴あり55.6%、収縮期血圧129.1±15.4mmHg、拡張期血圧76.1±11.8mmHgで、77.8%がアスピリン、40.0%がクロピドグレル、66.7%がスタチン、44.4%がカルシウム拮抗薬、62.2%がARBまたはACE阻害薬、24.4%がβ遮断薬を投与されていた。

クッキーテストで食後代謝異常を把握し、血管内皮機能(FMD)の変化と比較
 検査前夜からの絶食後、75gの炭水化物と28.5gの脂質を含むクッキーを摂取させ、摂取前と摂取1時間後、2時間後に採血。糖代謝異常の程度と食後代謝異常の有無を下表の基準で判定したところ、対象の73.3%が耐糖能障害(IGT)、27.7%が糖尿病(DM)で、全体の4割が食後脂質異常に該当した。

 血管内皮機能はFMD(Flow Mediated Dilation)で評価し、クッキー摂取前と摂取2時間後にFMDを測定した。血管内皮機能に影響を与える可能性のある降圧薬の服用や喫煙、飲酒、カフェイン、抗酸化ビタミンの摂取は、クッキー摂取12時間以上前に中止した。

 なお、クッキー摂取前の各検査値は、血糖値が105.6±12.5mg/dL、インスリン値6.5±3.6μU/mL、TG128.6±53.4mg/dL、RLP-C10.1±6.4mg/dL、%FMD4.78± 1.98%だった。

糖代謝異常の分類と食後脂質異常の定義
検 査 項 目空腹時クッキー摂取後判 定
1時間2時間
血糖値(PG. mg/dL)110〜126160以上140〜200耐糖能障害(IGT)
126以上200以上糖尿病(DM)
トリグリセライド(TG. mg/dL)150以上Δ66以上Δ66以上食後脂質異常
レムナント様リポ蛋白コレステロール
(RLP-C. mg/dL)
7.5以上Δ3.3以上Δ3.3以上
クッキー摂取後の血管内皮機能低下は、食後脂質異常の有無で有意差を認め、
IGT群とDM群の差はなし
クッキー摂取前後のFMDの変化量と、
血糖値・TGの変化量の相関
 結果だが、クッキー摂取2時間後の%FMDは摂取前値より、IGT群で−1.9±1.3%、DM群で−1.6±1.6%と、両群ともに低下したが、その低下幅に有意な群間差はなかった。一方、食後脂質異常の有無で二分し比較すると、食後脂質異常のない群は−1.5±1.3%、食後脂質異常のある群は−2.6±1.3%で、両群間に有意な差がみられた(p=0.004)。

 クッキー摂取前後の血糖値およびTGの変化量(ΔPG、ΔTG)と、FMDの変化量(Δ%FMD)の相関をみると、ΔPGとΔ%FMDは相関せず、ΔTGとΔ%FMDはr=-0.46と負の相関が認められた(p=0.0007)。 

ΔTGのみがΔ%FMDの有意な予測因子
 クッキー摂取による%FMDの低下と関連する因子として、単変量解析では、LDL-C、インスリン値のAUC、摂取2時間後のインスリン値、ΔRLP-C、ΔTGが挙げられ、HbA1cや1,5-AG、ΔPGなど血糖関連の指標は有意でなかった。

 また多変量解析では、ΔTGのみがΔ%FMDの予測因子として抽出された。

 以上の結果から、糖代謝異常のある冠動脈疾患患者において食後の血管内皮機能低下には、食後脂質異常が食後高血糖よりも強く影響している可能性が示唆される。

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